第七話 戦利品と新たなる扉
「おい、大丈夫か?無理そうなら担いで行くけど?」
「いえ、だ、大丈夫よ。私よりもじ.....ごほんっ!カインの方がきついんじゃない?」
俺は仰向けの状態で倒れているクレハのもとに向かう。今一瞬『じ』という言葉が出た気がするが、たまにあることなのでスルーを決め込む。
「立てるならちゃっちゃと立ってくれ。時間も結構押してるしな」
俺は虚空に指を這わせる。すると、そこに一枚の透明のプレートが出現する。そこには自分のステータスや持ち物、時間、その他諸々が記載されていた。俺は現在時刻を見る。
24:17
明日も学校があることを考えると、そろそろ上がりたい。それに、もみ、ゴホンッ!クレハも学生だし、それに女子だ。肌のケアとか考えるとそろそろ寝たほうがいいだろう。こちらの都合に合わせるのはなんか忍びない。ちなみに女子であることはまあとある事情から知っているのだが、実際本人からも中の人が女性であることを知らされていた。
「クレハ、大丈夫そうなら立ってくれ。それにほら、ドロップアイテムもそこそこあるっぽいぞ」
俺は床にまばらに落ちている品々を親指で指さす。
クレハは未だ仰向けのまま、俺の指さした方向をみる。
「うわぁ、すご!なんかキラキラしたものがいっぱいある!」
クレハはガバッと勢いよく起き上がった。なんともまぁ現金なやつだ。
「そんじゃ、報酬の分配といこうか」
俺とクレハは二人揃ってアイテムが落ちてる場所に向かう。
「ざっと見た感じ、装備が数個、アイテムが多数って感じね」
「そうだな、アイテムも加工しなきゃ使えないってのが多そうだな」
俺は適当に床に落ちているアイテムを拾ってみる。
『神龍の宝玉』
「なんかこれすごいな」
俺が手に水晶玉くらいの宝玉を見ながら感嘆の声を上げると、クレハも興奮した声を上げていた。
「こ、これ超可愛い!めっちゃ欲しい!」
俺はクレハの方を見ると、その手には純白のローブが握られていた。見た感じ普通のローブのように見えるが、うっすらとだが光り輝いて見える。背中の部分に金色の龍の刺繍が施されていた。俺からしてみれば、可愛いというよりもかっこいいって感じの方が先に来た。
俺がクレハを見ていることに気が付いたのか、クレハはこちらにぶんぶんと手を振っている。
俺はその方向へと足を進める。
「ねぇねぇ、これめっちゃよくない?」
「そんなに気に入ったのか?」
「うん!これ気に入った!」
「そっか、ならそれもらってもいいぞ?」
そう言うとクレハはまるで太陽のような笑みを浮かべ、『ありがとっ!』と言ってきた。俺は照れ臭くなって顔をプイッと背けた。
「ん?あれは.....」
顔を背けた先に、あるものが落ちていた。
「これは.....」
『神龍の外套【陰】』
宝玉神龍からドロップする装備アイテム。神龍の外套【陽】と対を成すローブ。お互いが装備することによって、装備によるステータス上昇値が上がる。レジェンドアイテムなため、売ることはできない。ただし譲渡は可能。
これまたすごいものだな。
俺は両手でローブを手に持ち、確認する。基本的にはさっきクレハが持っていたローブの色違いっぽい。純白が漆黒に変わり、金の刺繍はシルバーの刺繍に変わっている。同じく背中部分には龍が描かれていた。
「あれ?それって、これの色違い?」
クレハはローブを大事そうに抱えながらこちらへ向かってきた。
「多分そうだと思うけど、アイテムの説明になんか書いてない?神龍の外套【陰】ってさ」
クレハは目を細めてアイテムを見る。
「あ、ある。神龍の外套【陰】と対を成すアイテムだってさ。なんか陰と陽を二人で分けて着ると効果が上がるってさ。へぇ、ペアで効果が上がるなんて初めて見たかも」
「確かにな、俺も初めて見たな。装備とか装飾系のアイテムってどれも一つで完結してるのが多かったからな」
クレハは『たしかにぃ〜』と言いながら今着ているローブと純白のローブを交換していた。俺もそれに倣ってローブを今手に持っているものに変える。
改めて自分の格好を見てみると、戦士ってよりも暗殺者にも見える気がする。ローブっていうくらいだから動きづらいのかとも思ったが、そうでもないらしい。むしろさっき装備していたものよりも動きやすい。重さもまるで雲を羽織っているような感覚だ。
「うん、着心地はばっちり!この服にしよーっと」
クレハは自分の姿を確認していた。うんうんと頷いてることから満足しているようだった。
それから俺たちはアイテムを分担して回収していく。
★
それから少し立ってから床に落ちている全てのアイテムを回収し終えた。
「ふぅ、ざっとこんなもんだろ。まあまあ多かったな」
「そうね、これだけ強いボスともなるとドロップするアイテムの数も多いのかな?」
俺は顎に手を当ててから自分の考えを話す。
「それはどうだろう。今回のボス自体が元々二人で攻略するようなものでもない気がする。むしろ普通のエリアボスってよりはレイドボスとかに近いんじゃないか?」
「確かに、あんな化け物二度と二人で相手にはしたくないわね」
「俺は楽しかったからまたやってもいいけどな」
「まあ楽しかったのは認めるけど.....」
と、ふと視界に入るものがあった。
「なぁ、あそこに見える扉ってさっきからあったっけ?」
俺が指さす方向には、豪華な装飾が施された扉があった。
俺たちは二人でその扉に向かって歩き出す。扉の前に到着して確認すると、まるでドラえ○んの秘密道具にあるどこで○ドアのような感じで扉だけが独立した状態で置かれていた。見ただけではどこに繋がっているのかが全くわからなかった。
「これって、この先に行けってことよね?」
クレハが扉をチョンチョンと突く。
「多分そうなのか?てか何があるかわからないんだから極力触れない方がいいと思うけど」
「どうせ中に入るんなら今触っても触らなくても変わらないわよ」
クレハは一通りツンツンし終わると、扉の正面に立ってからこちらを振り返った。
「ねぇ、早く中に行かない?」
俺は深いため息を吐く。
「わかったよ、それじゃあ行こうか。一応武器は持っておけよ?」
「わかってるわよ。さぁ、行きましょうか」
クレハがドアノブに手をかけ、捻る。そうするとなんの抵抗もなくドアノブは回転する。それから扉を引くと、ギギギッと鈍い音を立てて開いた。
扉は開かれたが、ここからだと先がどうなっているのかがわからない。扉を開けた先は、今のところ真っ白な空間になっているように見えたからだ。
俺たちはその真っ白な空間に向けて足を踏み入れた。
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