太陽と月
いつも陽気で人気もので輝いている太陽くん。
「YEAH、ブラザー。元気かいYO?」
「うん。ワタシは、今日は元気だよ、太陽くん」
アタシは太陽くんに話しかけられて、少し横を向く。
ブラザーでもないし、てか、アタシ女だし。
「おいおい、満月が、三日月になっちまったぜ。YEAH~」
そう、アタシは月。
満月だったけれど、彼の接し方によってアタシは満月だったり、三日月だったり、新月になる。
「そんなんじゃ、いつまで経っても、オレのようになれねーぜ?ブラザー」
笑顔がすてきな彼に憧れる星は多い。けれど・・・
「アタシはキミのようにはなれないし、ならなくてもいいかな」
太陽くんはぽかーんとする。
「・・・あーはっはっはっ!!!面白い冗談言うじゃねぇか、ブラザー!!そんなツッコミ覚えたのかYO」
唖然としたのは一瞬で、お腹を抱えて笑って、両手で指を差してくる太陽くん。
「やせ我慢はいいからYO。本当のこと言おうぜ、ブラザー」
「いや、本当・・・なんだけど・・・」
「・・・」
真顔になって黙る太陽くん。
「なんか、ムカついてきたぜ、ブラザー・・・」
(いやいや、思想の自由を認めてくれないの、太陽くん?陽気なキミは素敵だと思うけれど、何様なんだろうか・・・。アタシはキミを認めているのに、キミはアタシを認めてくれないってことなの・・・?)
「よーしっ、わかったっ。勝負だブラザー。みんなにどっちが憧れの存在か聞こうじゃねーか。HEY!!」
「いや・・・いいよ・・・キミの勝ちでいいから」
そんな負けるとわかっている勝負にアタシは挑まない。
(というか、優劣とかどうでもいいし)
「いいや、だめだZE。ブラザー。そうやって言っても、YOUのHEARTは納得してないんだRO?わかってんだからYO」
アタシの肩を叩きながら、ニヤッとする太陽クン。
どうやら、ボクを公開処刑しないと、彼は納得しないらしい。
本当に嫌だけれど、アタシが拒否し続ければ、カレが怒りだし、地球くんが八つ当たりを受けて、地球温暖化してしまう。
(負けるのは悲しいけれど、まぁ、慣れっこだし仕方ないか・・・)
「わかったわ・・・」
「ヨシっ!じゃあ、ヒュイGO!!」
◇◇
「ヒャー、WEEEEE]
両手で、親指と人差し指と小指を立てて、ドヤ顔をする太陽くん。
太陽くんの圧勝だった。
「これで、わかっただろ?MOONはNONだってYO?」
アタシは太陽くんとは反対側の方を少し向いて俯く。
(わかりきっていたことだけど・・・。まぁ、ここまでだと凹む・・・。いや、アタシに入れてくれた星くんたちに感謝しよう。そうだ、これだけアタシに入れてくれたと思えば・・・アタシの心の傷だってすぐに癒える。というか、喜ぶべきだわっ)
「なっ、なっ!!NA!!?」
でも、納得しないと、どんどん僕を叩く威力が上がってきそうだ。
今でも十分痛いし・・・。
「そ・・・」
「でも、一緒にいてホッとするのは月さんだよね」
アイドルの北極星ちゃんが他の北斗七星のメンバーに言うと、みんな頷く。
「NA?」
「うん、そうだよ?君みたいに脳天気になれたらいいなって思うこともあるし、キミは輝く実力もある。けど、それでドヤってワタシたしの活躍を奪って、自分だけで独占するところは、一緒にいてしんどいもん」
アルタイルさんが結構きつめの言葉を太陽くんにぶつける。
「NANANA?」
「月さんは太陽くんには劣るかもしれないけれど、十分才能持っているし、その上でちゃんとみんなに気を使ってみんなが輝ける日を作ってくれるんだよ?」
ベガちゃんが太陽くんに追撃をする。
(いやいや、違うよ。アタシは疲れちゃうからお休みもらっているだけで・・・。アタシってそんなすごくないんだよ?すぐに凹んじゃうし、泣いたら全然輝けないし、結局太陽くんの二番煎じだし・・・みんながいるからだよ・・・)
「泣かないでよ、ツッキー」
デネブが励ましてくれる。
「だからね、太陽くんと月さんのどっちが好きかって言われたら・・・」
みんながアタシを見てくれる。
「FAAAAAAAAAA!!!!」
太陽くんはそのまま西の空へ隠れてしまった。
「あいつも悪い奴じゃないけどな」
金星くんと水星くんが顔を見合わせながらハモらせていた。
みんなもそうなんだよなぁ、って口々に言う。
「まっ、あいつが一番すげーのは間違いないしなっ」
シリウスが苦笑いしながら言う。
「みんな素敵な一等星だよっ!!」
私は嬉しくて叫ぶ。
「お前はちげーだろうがYO」
ちらっと顔を出した太陽がぼそっとつぶやいて、また逃げるように西の空に消える。
「もう・・・本当に・・・」
呆れる北極星ちゃん。
「いいの!!みんな素敵な一等星で、みんなさいこーの星なんだから!!」
みんな微笑んで私を見てくれる。
「みんな、ありがとう!!!これからもよろしくね!!!」
その日はビックバーンが起きたのかってくらい宇宙の広範囲が輝きに満ち溢れた。
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