第13話:真実
探偵を雇い、堕落嫁の身辺調査が開始した。
毎日仕事から帰ると、彼女は裸エプロン姿で性行為を懇願してきた。
だが、結果が出るまではどうしてもやりたくはない。
「先輩。托卵って言葉を知ってますか?」
「確か……鳥の習性だっけ? 他の鳥に自分の卵を育てさせるみたいな」
「そうです。それと同じようなことが人間界でも起きています」
後輩の琴美に散々脅されまくったのだ。
絶対に嫁は浮気していない。
俺はそう信じて、長いようで短かった一週間が経つのを待った。
「先輩、こちらをどうぞ」
探偵から預かってきたのか、琴美の手には封筒があった。
素早く受け取って中身を確認してみる。
大量の写真。
どこから撮ったのかは定かではないが、家のリビングも写っていた。
ソファーに横になり、だらしない格好でス●ゼロとチーカマを貪り食う楓の姿。
一日中、ゲームをするか、映画を見て過ごしているようだ。
他には、巨大なカルパスを咥え込み、舐め回すもある。
一体何がしたいのか。さっぱりである。
「何だよ……こ、これはっ……!?」
写真を捲っていくと、そこにはオシャレな格好をした堕落嫁が居た。
毎日パジャマかジャージ一択の人間がどうしてだと思ってしまう。
明らかなよそ行きの服装だ。これは……ま、まさかっ!?
続きの写真には、浮かれ気味に家を出て、外を歩く姿が。
「あ、ありえない……こ、こんなの嘘だ……アイツは……こ、こんなはず……」
現実を否定したかった。そうだ、俺は彼女を信じていたのだ。
いや、彼女を信じたかったのかもしれない。まだ大丈夫だと。
「先輩……残念ながらこれが真実です。確実に奥さんは……」
堕落嫁だと罵ってきたけど、ここまでのクズの成り下がっているとは。
俺は思いたくなかったのだ。
だからこそ、現実を認められなかった。
「琴美……嘘だろ。こ、これってドッキリだよな? 嘘って言ってくれ」
「……せ、先輩。現実はこんなものです。夫が頑張って仕事をする間に、嫁は遊ぶ生き物です」
写真に写っていたものは、楓がパチンコ狂いし、大切なお金をドブに捨てているものだった。
外しまくっているときは親指の爪をガジガジと齧り、連チャンのときは有頂天になる。
手元には相変わらずのストゼロ。
ガブガブと飲む姿は心底幸せそうな表情で、思わずこちらも笑みが溢れてしまう。
「最近通帳のお金が減ってると思ってたが……原因はこれだったのか」
「通帳の管理は先輩がやるべきだと思います。でも、奥さんがパチンカスとは……」
「とりあえずギャンブル依存症みたいだし。今日家に帰って話し合うよ。ありがとう」
「大丈夫です。先輩の悩みが解消したのなら……それにこれは自分のためでもあるし」
「えっ? 自分のため?」
「あ、今のは聞かなかったことにしてください」
——————
次回予告
帰宅後、社畜夫と堕落嫁は真剣に話し合うことに。
だが、この二人が話し合うと、喧嘩になるのは当然で。
一難去ってまた一難。
これから最終局面に向かって物語が動き出します。
最後まで付き合ってくれると幸いです。
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