第9話:裸エプロン

 気が狂ったのか、堕落嫁は裸エプロン姿でお迎えしてくれた。

 あどけない顔なのに、体付きは立派だ。

 普段はジュースやお菓子を飲み食いする日常を送っているはずなのに。


 勿論、多少の脂肪が付いているのだが、それがまた色っぽく見えてしまう。

 学生時代は痩せすぎではないかと思い、心配したものなのだが。

 現在の彼女は痩せすぎず、かと言って太りすぎでもない。

 丁度抱き心地が良さそうな女へと変貌していたのだ。


「どうしてって……海斗くんは裸エプロン好きでしょ?」


 ピンクと白を基調とした布切れ。

 その下には全く衣服を身につけることはない。

 豊かな胸のふくらみと、ぷりっと突き出すお尻。

 何度見ても今すぐにでも揉み解したくなる女体だ。


「いや好きだけども。大好きだけれども」

「えへへへ……良かった。気に入ってくれて」


 その表情には照れがあった。

 普段は仏頂面な彼女なのだが、俺から好きと言われて嬉しいのだろうか。


「んで。どんな心情の変化だ? 突然そんなもんを着て」

「今日から子作りをします」


 結婚三年目。

 実家からは孫の顔が早く見たいと催促される日々。

 そろそろ子供を考えても良い頃合いなのかもしれない。


「いや……あのさ。俺たち、昨日散々言い争いしたじゃん」

「うん。したね。でも、今朝お互いにごめんなさいしたじゃん」


 確かに俺も楓も謝った。


 だが……これで一件落着で良いのか??


「したけれども……それで、はいそれと仲直りというわけには」

「あのさ。わたしたち、結婚して三年だよ。それなのに、昨日一日の出来事でぐちぐち言うっておかしいと思う」


 もっともらしいことを言われるが、昨日一日の出来事であれほど怒ったわけではない。

 今までの生活を振り返って我慢できなかったからこそ、口を出したのだ。


「わたしたちの関係って……たった一日で崩壊してしまうようなものだったの?」

「いや……そういうわけではないと思うんだが。それでもさ……」

「きっと疲れてるんだよ。海斗くん、わたしがいっぱい癒してあげる」


 堕落嫁は両手をグーにした。

 そのまま猫のようなポーズを取って。


「お風呂にする? 食事にする? それとも子作りSEXにする??」

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