第3話 

山村ゆり子は驚愕していた。


え?なに?どうしたの?この子は本当に私のみすずなの?


ものすごい数の疑問が頭の中に広がったが、とりあえず、もっともわかりやすく、衝撃的な矛盾を解決すべきだとおもった。


みすずの身体は相変わらず椅子に座っているのに、なぜみすずはこちらを向いていられるんだろう?


首が180度回転しないかぎり無理ではないか?いや首だけではない、体もこちらを向いている、まるでこれは、そう...幽体離脱のようだ。


そんな事を漠然と考えていると、それ(たぶんみすず)は、こちらに向かってきた。


「いや!近寄らないで!」


しかし、それは(たぶんみすずは)心配そうにこちらに近づいてくるのをやめなかった。


「ちょっと!止まりなさい!」


パニックになればなるほど、逆効果らしいことをゆり子は理解できないまま、現実の光景と決別する最終手段にでるようにと、脳が決定を下した。


これ以上のパニックは精神に重大な損傷を与えかねないと脳が判断し、ゆり子の意識は徐々に現実と引き剥がされていった...。


要は気を失ったのである。

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