鉄製
それは出張先へ向かう新幹線の中だった。
私の前に座ったスーツ姿の男は、スケバン刑事の様な鉄仮面を被っている。
「あっ」
私はその鉄仮面の後頭部に、水道屋の広告マグネットが貼り付いているのに気が付いた。
きっと鉄仮面を被ったまま家の中でゴロゴロとしてる内に、マグネットが貼り付いてしまったのだろうと想像した私は、ついニヤニヤとしてしまった。
『はっ、イカン!』
…私は我に返り、表情を引き締めた。
軽いアルミ仮面が主流の時代に、未だ鉄仮面を被っているこの男は、きっと昔気質の反社会的な人間に違いないのだ。
私は目を伏せ、水道屋の広告マグネットを見て見ぬ振りをした。
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