第6話 帰り道
新学期初日の午前授業を終え、僕は翔と一緒に帰っていた。
「なあなあ、新クラスどうよ?」
「まあまあかな」
「そっかぁ?俺は楽しくなる予感するけど」
「ほんといつもポジティブだよね」
「お前がネガティブなだけだっつーの」
「そうかもしれないけど」
翔には、いつもネガティブだと言われる。自分でもわかっているのだが、直せないのだ。
「だってー、先生は美人で
クラスの女子も可愛い子多かったし」
「そんな理由!?」
「あとは仲良くなれそうな気がする」
「まぁ、それはわかる」
だが、僕と翔の予想は外れることになるのだ。そう、僕があの光景を見てしまったから。
そして、電車のホームで翔と別れた。
僕も乗り込もうとすると、見覚えのある顔を見つけた。神楽さんだ。彼女は一つ奥の車両に乗った。
へぇー、帰り道同じ方向なんだ。
てか、なんか持ってたな。なんだっけあれ、小学校で習ったやつ。あっ、そう白杖だ!
やっぱりあれって、目が見えない人にとっては大切なんだなぁ。
今日あった出来事を思い出していると、あっという間に最寄り駅に到着した。
電車を降りると、目の前を神楽さんが通っていった。もしかして、最寄りも同じ!?
彼女は僕に気づくことなく、というか僕が話しかけないかぎり、気づかないんだけど。
そんな彼女の後を追うように、僕も家へと向かう。
次で曲がるかな?
このままだと僕の方が先に着くかな?
そんなことを考えながら歩いていると、僕は自分の家に到着した。その時、少し手前で彼女も止まった。
まさか、、、
そして、彼女は僕の隣の家に入った。
えっ、ご近所さんだったの!?
そういえば、少し前に引越してきた人がいたけど、神楽さんだったの!?
信じられず、隣の家の表札を見ると、確かに神楽と書いてある。
まぁ、隣でもそんなに関わる訳じゃないしね。そう思い、僕は家の扉を開けた。
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