第5話 現代文

 キーンコーンカーンコーン♪

次は、現代文の授業かぁー

「みんなー、授業はじめるよー」

「そっか、綾瀬先生現代文担当だもんね」

「なにー、立花さん嫌なの?」

「嫌じゃないですってー」

 どうやら現代文の担当も綾瀬先生らしい。さっき会ったばかりだから、新鮮さは感じない。


「はーい、じゃあ先生がこの話音読するから、みんな聞いててね」

 そう言って先生は読み始めた。

するとしばらくして、


スー、スー

「こら、織部くん寝ない」

「すいません、先生の声心地よくてつい」

「褒めても無駄よ」

「はーい」

ハハハハハッ

翔はどんな場面でも笑いに変える力がある。

ほんと尊敬するな。


「じゃあ板書書くから、写してね」

 カキカキ

先生は黒板に書き始めた。

僕も同じくノートに板書を書き留める。

すると、トンッ、トントン

隣からトントン聞こえていると思ったら、どうやら神楽さんは、ノートじゃなく点字?を打って写しているらしい。なるほど、ああやって板書取るのか。だけど、ちょっと気になる音だなぁ。でも、しょうがないか。

トンッ、トントン

「このとき、彼の気持ちはこうよ」

 カキカキ、トントン、カキカ、トンッ

キーンコーンカーンコーン♪

 はぁー授業終わったけど、集中出来なかったなぁ。


「神楽さーん、授業中何使ってたの?」

 百合が話しかけてきた。

「これ、点字盤」

「点字盤?」

「そう、これで点字がかけるの」

「へぇー、すごいね」

「私にとっては、これがノートなの」

「そうなんだー」

 点字盤かぁ、初めてみたなぁ。


「菊ー、初授業どうだった?奏ちゃんの」

「奏ちゃんって、先生だよ?」

「奏ちゃんは奏ちゃんだよ」

 こういうところも翔らしい。

「別に去年と変わらないよ」

「ふーん、そっかぁ、俺は去年より楽しかったよ、、、えっ、何それ?」

 翔が指差したのは、神楽さんの点字盤だ。

「点字盤っていうの、触ってみる?」

「おっ、いいの?」

 そういって翔は、点字盤に触れる。

「この下敷きみたいなのは、木でできてるんだね。そして、この金属の部分に穴が空いているんだ。へぇー、面白いありがと」

「うん、どういたしまして」

 ニコッ

 はぁぁー///

「あれ?照れてる」

 百合が冷やかした。

「照れてねぇよ、菊も触るか?」

「俺はいいや」

「そっかあ、こんなの触れる機会滅多にないぞ」

「でも、人のものだから大丈夫」

「じゃあ、大丈夫か。ありがと、神楽さん」

「うん」




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