第3話 自己紹介

「はい、一時間目はHRです。

まだお互いの顔と名前を知らないと思いま

すので、各自一分間自己紹介してくだい」

「先生はやらないのー?」

「あっ、そうですね。では、まずは先生が 

見本をみせます」

 そう言って先生が自己紹介を始めた。

「先程も言いましたが、私の名前は綾瀬奏と

いいます。担当教科は現代文です。」

「年齢はいくつですか?」

「失礼でしょ」

 質問した男子生徒を女子生徒が宥める。

「秘密です」

「えぇー」

 男子生徒から、ブーイングが起こる。

「いいでしょ、趣味は料理です」

「へぇー、先生家庭的」

「ふふ、ありがと」

 女子生徒から褒められ、まんざらでもない

ようだ。

「ちなみにー、彼氏はいますか?」

 もう一人の男子生徒が質問する。

「それも秘密です」

「えぇー、気になる」

「あっ、もう一分たちましたね」

 先生は腕時計を確認した。


「では、次は皆さんの番です。朝野くんから

出席番号順でいきましょうか」

 はぁ、僕からかぁ。

これもまた朝野という名字の運命だ。


「えぇー、僕の名前は朝野菊です。菊っていう

名前珍しいと思うんですけど、そうです花の

菊の菊で漢字も同じです。部活動は、入って

いません。一年間よろしくお願いします」

 パチパチ 


「あら、もう終わり?まだ時間あるわよ」

「大丈夫です」

「そう、じゃあ次」

 そして何人かの自己紹介が終わり、


「俺の名前は、織部翔。翔って呼び捨てでい

いぜ。部活動は、サッカー部で今年からキャ

プテンになったから応援よろしく。

好きな食べ物は、ハンバーグで、好きな飲

み物はコーラ、そして、、、」

「はいはい、一分過ぎたわよー」

「あっ、もう?」

 ハハハハハハ。

 クラス中の生徒が笑う。

さすが翔、一瞬でクラスのムードメーカー

になってるじゃん。翔とは、幼馴染じゃな

かったら全く接点なんてなかったと思う。

だって、僕と翔は正反対の性格だから。


「次、神楽さん」

「はい」

彼女はゆっくりと立ち上がる。


「先程も紹介しましたが、

私の名前は神楽向葵です。生まれつき目が見

えないんですけど、皆さんの会話や声のトー

ンで表情が想像できるので、たくさん話し

かけてください。

趣味は、花の写真を撮ることです」

「あらー、いいわね。今度先生にも見せて」

「はい、もちろんです」


 先生は普通に話しているが、待て待て目が

見えないのに写真?どうやって取るんだ。

そんなことを考えている間に、だんだんと

自己紹介が終わっていった。


「では、皆さんのことがよくわかったので、これから仲良くしていきましょう」

キーンコーンカーンコーン♪

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