矢頭マコトは、異国の地にある母国の基地に空軍パイロットとして駐留している。
主人公であるマコトは、比較的恵まれた祖国で、恵まれない幼少期を過ごしていたようだ。そんな孤独を纏ったマコトは、同じく異国の地で暮らさざるを得なくなった移民の家族と懇意にしている。
空軍パイロットということもあってか、どこか暗いものを抱えるマコトに懐くティサは本当に無邪気で、その無邪気がマコトを悩ませる。マコトとティサの関係は一見単純だが、マコトにとっては複雑なものだった。
戦闘機を操り空を駆ける描写に迫力がある一方で、地上でティサやその家族との関わりを情景的に描いていて動と静の表現に引き込まれる。また、作中に登場する御伽噺が情緒的で、かつ魅力的だ。
軍事用語が多く出てくるが、知らなくてもスイスイ読めた。
油断したら見逃してしまいそうな成長の物語をご一読あれ!