第12話 主人公からプレゼントを貰う

超絶美男美女が、頬を染めながらの、微笑み爆弾投下とか、〜〜〜〜〜〜悶え死ぬわ!!!


バフン!───ベッドへ倒れ込んだ。


「「!!ヴィオラ(様)!?」」


真っ赤になってベッドに突っ伏した私(ヴィオラ)の行動は、仕方ないと思う。


「だ、だいじょうぶ‥。ちょっと二人の笑顔が眩し過ぎただけだから…。」

「「…そうなの(か)?」」


さっきから二重で聞こえる王子とクレフィの息ぴったりな声に感心しつつ。片手を上げてピタリと二人へ手の平を向けて“復活するまでちょっとだけ待ってて欲しい”意図を伝えた。


すーーーはーーーー。すーーーはーーーー。…よし。


呼吸を整え終えて、ようやく私(ヴィオラ)は顔を上げる。


「お待たせ致しました。取り乱してしまって御免なさい。もう大丈夫ですわ。」


「そうか…。では、フィーよ。」

「あっ、そうですね。ヴィオラ様…これ、新婚旅行のお土産なんですけど、受け取ってくれますか?」


そっと、クレフィが胸の前で大事そうに両手に乗せている包装された箱を差し出してくる。


それをじっと見る私の脳内は、別の事に意識を持っていかれてた。


・・・・・。え。今、王子、クレフィのこと、“フィー”って呼んだよね?


「あの…ヴィオラ様?」

「!…えっ‥あっ…御免なさい私ったらっ…。あの、えっと、…ありがとうございます…。私のせいでクレフィ様は色々大変な目にあったのに、お土産を頂けるなんて、…すごくすごく嬉しいです…。」


「そんな事ないです!ヴィオラ様は私を守ろうとしてくれてたって殿下から聞いてます!」

「えっ」


「だから私、ヴィオラ様にも感謝してるんですよ。」

「そ、そうなんですか?」


「はいっ…まぁ、ヴィオラ様の行動はちょっとビックリするものばかりでしたけど」

「うっ」


「でもほらっ‥私、ちゃんと無事ですし。これもヴィオラ様が色々と私を助けようとしてくれてたからですし。」

「……あまりお役に立ててなかったみたいですけど…。(むしろ邪魔ばかりしてたんですけど…)」


「いいえヴィオラ様。私は殿下から聞いた時、ヴィオラ様の気持ちがすごく嬉しかったんです。だからヴィオラ様、私を守ろうとしてくれて、本当にありがとうございます。」

「‥は、はい…。クレフィ様が無事で、本当に良かったです‥。」


「ふふふっ。あ、ヴィオラ様、プレゼント開けてみてください!」

「えっと…はい。‥開けますね。…!わっ…すごく綺麗…。」


クレフィからのプレゼントは、薄い金色のプレートに精密な透かし模様が入ったカードだった。


この模様は…何かの花と…文字?…なんて読むんだろう…。


「ふふっ。そのカードを光が差す方向へ向けてみてくれますか?」

「?…こう、でしょうか…。!…わぁ…。」


窓に向けてカードを翳(かざ)すと、私のベッドに精巧な花と文字が、まさかの“虹色”で浮かび上がった。


「ふふっ。驚きました?」

「‥ええ、すごく…。」


「良かった!ふふふっ。私ばかり驚かされてるままなのも、‥ねっ?」

「!」


可愛くウィンクしたクレフィの意図に、気付いた。まさかコレって…。


「これでヴィオラ様が私を驚かせた事は、おあいこって事でチャラにしましょ!」

「クレフィ様…。」


私(ヴィオラ)の行動は、いくらクレフィを想っての事だからといって、そんな軽く流せるものでもない筈なのに‥。やっぱりクレフィってなんて良い子!!!


感動する私(ヴィオラ)に、満足げに笑ったクレフィは、「殿下っ」と王子へ声をかけながらクルッと後ろを振り返る。


王子がクレフィの背後から「ああ」と言いながら隣に移動してきた。


「実はそのカード、旅行先で作ってもらった特注品なんです。ちなみに、殿下のヴィオラ様へのプレゼントとセットになってます。」


「えっ…殿下からもあるんですか?」


「はい!私はヴィオラ様をビックリさせたかったから、これくらいの大きさになったんですけど。」


「!‥そこですか…。」

「うふふっ。そこなんです♪」


「クレフィ様…実はとてもチャーミングな方だったんですね‥。」

「ヴィオラ様には負けますけどね♪」

「!…もぉ…。」

「わっ‥…(拗ねるヴィオラ様)…かわいい…。」


「…はい?」


「あっ…いえいえ、こちらの話なのでヴィオラ様はお気にならさず。それよりも殿下っ。ほら、次は貴方の番ですよ!」


「あ、あぁ…。では少しだけ、ヴィオラと二人で話したいが、フィー、構わないか?」


「勿論ですとも!二人は元婚約者同士ですから、積もる話もあるでしょうし、私は暫く席を外してますねっ。」


えっ!?クレフィ退出するの!!?


「ありがとう、フィー。」

「いえいえ、むしろ私こそお願いしたい所ですし。(殿下のたま〜に見せる辛い顔ってヴィオラ様を想っての事でしょう?だからここでちゃんと吹っ切ってもらわないと!)」


「‥そうか。(フィーは全てお見通しという訳か)」

「そうです。(全てお見通しです♪)」


な、なんか…二人の視線の間から、見えない会話が聞こえてくるんですけど…。


「それでは、どうぞごゆっくり〜♪」と言いながら私(ヴィオラ)の部屋を退出していったクレフィ。


そして私のベッド傍(わき)には王子が。


ややあって、ゆっくりとベッド側の椅子に腰掛ける王子を見ながら。


・・・・・。あれ?

これってシナリオ通りなんだろうか…。


恋宮(こいみや)をプレイして初めて攻略キャラと二人きりになった私(ヴィオラ)は、こうして最後のストーリーを進める事になったのだった。


To be continued…


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