第20話
「カルロ様~♪ お昼ご一緒しましょう~♪」
「カルロお義兄様~♪ 私もご一緒致しますわぁ~♪」
「カルロ~♪ 私達が居なくて寂しかったでしょう~♪ 今日からは一緒よ~♪」
リズ、ミラ、ルナの三人娘が復帰し、それと同時に騒がしい日常に戻ってしまった。まぁ、分かってはいたんだけどね。コイツらの反省が口だけだっていうのは。
ただそうは言っても、ここまで遠慮もせずにやって来られるというのはやっぱり面白くない。少しくらい慎みを持てよと思うけど、コイツらにそれを期待するのは無理なのかも知れないな...
私はため息を吐きながら、いつものようにただ苦笑しているだけのカルロを見詰める。カルロが三人娘にビシッと言ってくれたらいいんだけど、優しい彼には難しいだろう。
カルロとの楽しいバカップルごっこは今日で終わりかと諦めて、食堂の席に着いた時だった。
「あなた方! 端ない真似はお止めなさいな! カルロ様が困っておられるでしょう! 聖女様とカルロ様の邪魔をするなど以ての外です! 恥を知りなさい!」
なんとララが三人娘を叱り飛ばしてくれた。侯爵令嬢からそう言われたら、三人娘は大人しく引き下がるしかない。
しかしララは一体どういうつもりなんだ!? コイツらの仲間じゃなかったのか!? なんか私のことを聖女呼びしてるし。取り敢えず私はララの心の声を拾ってみた。
『全くもう! コイツらときたら! いい加減カルロ様に執着するのは止めなさいな! 聖女様にご迷惑じゃないの! 私はもうカルロ様に拘るのは止めたわ! これからは聖女様とカルロ様を応援するって決めたの! だって私は聖女様に救われたんだから! 聖女様を貶めようとした、こんな私を救って下さったんだから! 私は聖女様に一生付いて行くって決めたんだから!』
なんだこの手の平返しは!? 確かにララを癒してあげたけどさ、ここまで人間って変われるもんなの!? なんか私の信者みたいになってるんだけど...
私が呆気に取られていると、ララはとても良い笑顔を浮かべて、
「カルロ様、聖女様、お騒がせ致しました。この子達は私が連れて行きますので、どうぞお二人でごゆっくりお過ごし下さいませ。では失礼致します」
そう言って三人娘を連れて行ってくれたが...三人娘は出て行く時、私のことを鬼のような目で睨んでいた。なんかめっちゃ怖いんだけど...
こりゃこのままで済む訳ないよね...絶対何か仕掛けて来そう...
私は不穏な雰囲気を感じ取って顔を顰めたのだった。
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