天然ガスと石油はまだ産出されていません

 入口から見て左側から、


・ブックシェルフ

・茶側ソファーx4、【鉄1本脚テーブル x2】

・観葉植物、樽

・赤ドラゴンソファーx2、紫ドラゴンソファーx2、1本足木製テーブル

・白ソファーx2、黒ソファーx2、白タイルテーブル、黒タイルテーブル

・フェンスパーティションx2

・【ドラム缶スツール x4】、【車輪付き鉄骨テーブル】、狼2人ソファーx2、石天板テーブル

・観葉植物、樽


 納入完了。

 一方、端に寄せていた簡易木製家具は全て、ジェルソンの家具展示場に収納してもらいました。


 改めて、店内をみんなで鑑賞します。

 ドラゴンレザーソファーの圧倒的な存在感。

 鉄製家具が醸し出す最高の無骨感。

 鉄骨ローテーブルの車輪も、いい味を出してくれていて。

 フェンスパーティションにくくりつけられたKEEPOUT看板も、よきよき。

 大量の観葉植物が与えてくれる癒し。

 アイテムいっぱいのラダーシェルフも楽しくて。

 バーテーブルも良い高さに仕上がって。

 ブックシェルフに並んだ書籍も古びだ雰囲気を出していて。


「夢空間」


 コーヒーカップを手に持ち、少しづつ口に含みながら。

 店内を何周もぐるぐると巡った。

 その様子を優しい笑顔で見つめるジェルソンのメンバー。

 イノリ、カナエ、タマエ、ケントさん、モリタさん。

 そして、ヒヨリちゃん。


「みんなの力でここまでこれました。

 無限の感謝を。

 これからは、皆さんの夢。

 ジェルソンの家具店の成功に向けて、俺も尽力します」


「これで、勝てますね。

 競合社に」


 俺は残っているコーヒーを飲み干して、モリタさんの質問に返す。


「多分、無理です」


「弱気、ですね」


「俺たちの店もかなりの人気を獲得できています。

 しかし、敵は、それほどに強大なのです。

 私の知る限り、敵は、この世界で、最高のレストランです」


「それじゃあ、どうすれば・・・・。

 敗北の場合、相手がどんな要求をしてくるか、わからないですし・・・」


 ヒヨリちゃんが心配してくれる。


「なので、作戦を考えています」


「それって?」


 俺は、たっぷり間を開けて、答えるのだった。


「夜も営業します。

 酒に手を出します。

 バー営業をはじめます」






*****






 今回のアリサさんとのバトル。

 その決着は、営業利益でなく売上額で決まる。

 ただし、あまりに営業利益が少なくなるような値決めを行った場合。

 また前回の値決めから大きく変更を行った場合は、反則負けとなる取り決めが追加されている。

 条件の中に、営業時間や営業場所についての取り決めは含まれなかった。

 ならば、少しでも営業時間を増やして、売上を伸ばすべきとというのが、自然な考えとなるわけだ。

 が。

 夜間営業のために必要となる、とあるアイテムが存在する。

 それが、


「照明」

 

 この世界には、まだ電気が普及していない。

 天然ガスも産出していないので、ガス灯も実現できない。

 現状実現可能なのは:


・ロウソク

・オイルランプ


 以上2種である。

 しかし、オイルランプはオイル含めて非常に高価なので、自動的にロウソク1択に絞られる。

 じゃあ、ロウソクを各テーブル席に置いていくのかというと、それでは俺が納得しない。

 もっと、見た目もカッコいい照明を実現したい。

 このため俺は再び、ある場所を訪れる。


「2000Gで、どれでも3つの部材、選び放題だよ。

 料金は先払いね」


 鉄のジャンク屋。

 前回の来店時に、おおよそ目星はつけていた。

 ヒヨリちゃんに手伝ってもらいながら。

 以下のアイテムをシェルター内に格納していった。


・水道管x22

・鉄のランタンx8

 →合計30アイテム[20,000G]


 さらに、雑貨屋でロウソクを、予備分も含めて購入。

 5日分で3000G。

 かなり明るめの照明にしたいので、数が多く必要になった。


 さあ、部材は揃ったぞ!






*****






 ガンダル近郊に展開した喫茶店まで戻ってきた。

 ここからクリエーションに入る。

 作るのは、


・ガス灯もどき


 前述の通り、天然ガス、及びそのたぐいが存在しないので、本当のガス灯は実現できない。

 しかし、ガス灯のかもし出す、あのアンティーク感は、この喫茶店に最高にマッチすると予測する。

 そこで、水道管とランタンで、偽のガス灯を作ってしまおう、というわけである。

 水道管はこの街には非常に馴染みのあるアイテムであるので。

 ジャンク屋で大量に入手することができた。

 ランタンは、縦長の直方体に屋根がついて、その屋根の天井に丸い輪っかがついた形状。

 ぱかっと扉を開けると、中にロウソクが差し込めるようになっている。

 

 今回は2種類の『ガス灯もどき』を作成する。

 仮に、ガス灯A、ガス灯Bと呼称する。


 まずはガス灯Aを作成する:


・長い水道管の上側に、ランタンを溶接する

・長い水道管の下側に、横4方向に分岐するパーツを取り付ける

・そのパーツから『く』の字の水道管の脚をくっつけて、地面に立つようにしたら

・完成


「直立型擬似ガス灯!」


 次に、ガス灯Bを作成する:


・短い水道管の上側に、ランタンを溶接する

・短い水道管の下側に、『く』の字に流路を曲げれるパーツを取り付ける

・その先にまた水道管をつけて、これが壁に当たるようにしたら

・また、『く』の字に流路を曲げれるパーツを取り付け

・あとは、壁に沿ってランダムに水道管をわせるように組み立てていく

・完成


「壁取り付け型擬似ガス灯!」


 この壁取り付け型は、照明だけでなく。

 壁の装飾も目的としている。

 壁にランダムにわせた水道管は。

 この喫茶店の『インダストリアル感』を、最高に高めてくれるのである。

 別に水もガスも流れていない。

 ただのハリボテであるのだが。

 さらには、ガス灯には使わずに余った水道管は、同じく壁にわせてインテリアとする予定である。


 しかし、ここで1点問題がある。


「壁が鋼鉄性能だから、水道管を取り付けられないのであった・・・」

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