スフィンクスブルが3体集まると、3体合体魔法の『ピラミッドレイ』を使ってくることがあります

 レベルの差はあれど、経験の差では敗北。

 シオンさんと、エリンさんは、落ち着いていました。


 アイビーム発射のタイミングの見極め、回避。

 逆にその発動モーションを隙ととらえて、間合いを詰め。

 中距離から魔法で攻め。

 速度で翻弄し。

 ここぞのタイミングで風の魔法剣技。

 圧縮された空気の刃、それが相手の硬い胴を切り裂き。

 致命打を勝ち取る。


 一方では、炎、氷、風、土。

 全ての下位属性を駆使した、連続魔法攻撃が。

 敵の体力をジワジワと削り取っていき。

 倒れ込んだところに。

 必殺の光魔法で勝負有り。


 そんな様子を、先行で戦闘を終えた俺とヒヨリちゃんは。

 食い入るように見つめ。

 何かを得ようとしていたのでした。






*****






「あんたたち、何者?」


「喫茶店店員です」


 戦闘終了。

 シオンさんからの質問に対し、嘘なく答えた。

 しかし、エリンさんは、真意を見極める。


「まさかの『異能持ち』、だったわけね。

 一瞬見えた、謎の箱も。

 その、巨大鳥も」


「サブロウくんです」


「ヒヨリちゃんの守護獣なんです」


 シオンさんが、サブロウを、恐る恐る触る。


「鳥、なの?

 なんか、ひらべったいわね。

 強そうには見えない。

 余裕がなくて、この鳥の戦闘の様子まで、確認できなかったけど。

 でも、1体は、この鳥が倒した、ってことで、いいのよね」


「その通りです。

 シェルター・オープン!」


「箱・・・。

 と言うには、巨大ね」


「これが、俺の異能です。

 この箱に、食材とか詰められます。

 信じられないくらい頑丈な箱です」


「理解、不理解。

 ・・・。

 でも、2人の異能のおかげで、今私たちは生きているのね。

 スフィンクスブルの5体同時襲撃。

 そんな話、聞いたことがないわ。

 私たち2人の能力、それだけでは対処できなかったでしょう。

 スフィンクスブルが3体集まると、3体合体魔法の『ピラミッドレイ』を使ってくるのよ。

 その破壊力はピラミッドをも吹き飛ばすと言われているわ。

 2体の上に1体が乗っかって、合体した状態で魔法を使ってくるの」


「何それ・・・」


「とにかく。

 ありがとうね、マスターさん、ヒヨリちゃん。

 あと、サブロウくんもね」


「私からも礼を言う。

 助かった」


「じゃあ、1つお願いがあるのですが。

 聞いてもらえますか?」


「何?」


「スフィンクスブルを、1体、解体するのを手伝ってください。

 新手が来る可能性があるので、できるだけ早くさばきたいんです」


「スフィンクスブルの肉は、食用には向かないわよ。

 ・・・。

 まあ、何か、理由があるんでしょ。

 了解したわ」


「ありがとうございます。

 では、シオンさんとエリンさんの力もお借りしまして・・・。

 解★体!」






*****






 ここから多少グロテスクな内容を含みますので、皆さまは合体魔法ピラミッドレイの映像をお楽しみください






*****






「狙い通り!」


「スキルですね!」


 俺の言葉を受け、ヒヨリちゃんも喜んでくれる。

 俺が倒した1体、その解体の途中。

 俺の脳内に、アナウンスが流れたのだ。


・肉質:無毒、味★、硬い、土臭い、特性[アイビーム]


「ヒヨリちゃん、肉、早速、焼いてきてくれる」


「了解です!」


 ヒヨリちゃんが肉塊を持って、シェルター内に入ると。

 3分クッキング。

 すぐに、焼いたミンチ肉にケチャップをかけた、簡易ハンバーグを持って来てくれた。

 ここから、シオンさんとの問答が始まる。


「それ、どうするの?」


「食べます」


「食べると、どうなるの?」


「目からビームが出ます」


「何言ってんの?」


<<モグモグ反芻>>


「美味しい?」


「マズいです」


「・・・。

 もしかして、そういう異能なの?

 つまり・・・」


<<メカラ、ビーーーーーーーーーーーーーーム>>


 光線が大樹に衝突し、その幹に穴を開けた。


「異能、2つ持ち!!」


「3つ、ですけどねー」



 ・・・



 そこから、解体はツツガナク終わり。

 眼球素材も6体分回収。

 ポリンクのギルドへと帰還。


 1体報酬が12,000G。

 4体分を4人で分け、残り2体分は、金欠の俺が貰い受けたのだった。

 合計報酬、36,000G。

 お疲れ様でした。


 そして、お世話になった、シオンさん、エリンさん。

 2人と、お別れのとき。

 しかし、寂寥感せきりょうかんは微塵もなく。

 明るい声で述べたのだった。

 

「今、不定期で、ガンダルとポリンクの間で喫茶店を開店しています。

 是非、グレードアップしたお店に、遊びに来てください!」

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