アイビームは基本両目同時発射ですが、片目をツムると片目のみ発射となります

 次の日、ガンダルの鉄工所へとやって来た俺。

 対するは、ガンダルの技術工、コウキさん。

 お忙しい中、時間を取っていただいた。


「光の術を覚えました」


「信じられない。

 こんなに早く光魔法を覚えて、戻ってくるなんて。

 さすが、GGDを討伐した人間ですね」


「ただし、魔法は目から出ます」


「は?」


 ここから、詳細、解説に入ります。


・光魔法のレイを覚えました

・しかし、この魔法はまだ熟練度が低くて、火力、および精度が出ません

・一方で、スフィンクスブルのスキル『アイビーム』は、最初から威力が出るのです

・ただし、このスキルは両目から同時出力されます

・このとき、片目をツムっていると、片目のみからレーザーを放射することができます

・しかし、両目でも片目でも、MP消費は同じです

・つまり、レイの魔法、買わなくても、よかった


「スフィンクスブルから、スキルをラーニングした、ということなのですね」


「そうです」


「まあ、方法はどうであれ、あなたは『鉄を加工する技術』を取得したことになります。

 では、早速。

 『家具』の製造を開始しましょう」






*****






 最初の工程は『切断』。

 GGDの脚を、所定の長さになるように切断します。


「アイビーム!」


「おお!

 本当に目からビームが出た!」


 簡単!

 片目で焦点を合わせた位置にビームが照射され、真っ黒な鉄材(亀)の一部が、真赤に染まった。

 そして、熱いうちに斧で切断。

 コウキさんからも合格点をもらい。

 そして。

 あとは、切断を繰り返すことになります。

 すると、以下のような結果が生まれるのです。


・前脚材x2

・後脚材x2

・手すり部材x2

・座面材(縦)x2

・座面材(横)x2

・座面補強材(横)x2

・座面補強材(縦)x2

・背面材x3


 どこかで見たことあるような一覧表。

 これは、ジェルソンで作成した、木製ソファーの骨組みの部材一覧です。

 今回は、これが、全て『鉄(亀)』になります。

 木材よりも細いですが、強度は高くなります。

 ただ今回は、以下が追加されます。


・手すり木材x2


 つまり、手すり部のみウッドにしたい。

 鉄の手すり材の上に、乗っけるように木製の手すり材を配置するのです。


 さて、切断の作業が完了した後、尖った部分を削り。

 次の工程が、『溶接』になります。


「この万力、めちゃんこ便利ですね」


 作業場には、自由に移動できる万力アームが複数用意してされていた。

 これで、2本の部材を固定し。


「アイビーム!」


 部材の交点に焦点を合わせてビームを放ちます。

 鉄は加熱され、赤くなり、溶け、混ざり。

 そして、自然冷却されて結合。


「センスありますよ、タドルさん」


 コウキさんから、お褒めの言葉までいただいて。

 あとは地道に。

 設計図通りに。

 溶接を繰り返すのでした。






*****






 そして、場所はジェルソンに移ります。

 鉄でできたソファーの骨組みも、今、家具店の作業場中央に置かれ、みなの視線を浴びています。


「こちらも、設計図通り、出来上がっています。

 ブラウンアリゲータ革のソファークッション4つ。

 手すりとなる木材、4個」


 モリタさんの言葉を受け。


「では、ラストアセンブリ!」


 手すりの木材には穴が開けられていて、鉄の骨格の手すり材部に付けたでっぱりに、はめ込めるようになっています。

 設計図通りに、いっていれば。


「ちょっと削った方が良さそうですね」


 俺担当の鉄部が、設計通りいっていなかったようだ。

 しかし、双子ちゃんが、木材側の穴を広げてくれて。

 それで、なんとか合体に成功した。


「最後に、クッションを座面部と背中部に、配置しまして・・・」


 そして、ついに!


「夢にまで見た!

 鉄骨ソファー 、完成です!!」

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