ギルドを通さずに依頼を出すことは、規律違反ではありません

「高い!」


 価格ではない。

 物理的に高いのだ。

 やってきた、ジェルソン、家具店、作業場。

 そこに存在したのは:


・バーカウンター

・バーチェアx8


「最初に言いますが、買わなくてもいいです」


「いや、買います」


「即答ですか。

 素直に、嬉しいです。

 ちなみに、タドルさんが購入しない場合は。

 村に、応接室を兼ねた飲み屋を作る話が生まれていて。

 そこで、使うつもりでした」


「『応接室』とは、家具の顧客をモテナス場所なのですね」


「その解釈で合っています」


 さて、ここから、天才双子少女による、詳細解説が始まったのだった:


・バーチェア高さ60cm、バーテーブル高さ90cm

・バーチェアは丸イス

・4本脚で、それを、輪状の木材で補強

・この木材の輪状加工が見事

・座面には、白黒ワニのレザーを使用

・これは、ソファー作成で余った素材

・クッション材として綿花を詰め込み、レザーを釘で打ち付けている

・白4脚、黒4脚

・バーテーブルは、『一枚板にする』という要件があったが、これは断念

・1テーブルの幅は1mで、4台製作

・同サイズのテーブルをつなげれば、伸長可能

・客側には板を貼り付けている

・『店員側は棚』の要件は、今回は未達

・しかし、空洞にはなっているので、樽や箱などは配置可能

・塗装は、チェア、テーブルともに断念


「さて、いくら値をつけますか?」


「待ってください。

 実は、見てもらいたいアイテムは、もう1点あります」


 そう言って、モリタさんが指差した先。

 そこに合ったものは・・・、


「石天板のテーブル!

 しかも、4人掛け席用!」


「実は、タドr・・・」


「買います!」






*****


 俺の興奮が冷めるまで、少々お待ちください


*****






「すみません、取り乱しました」


「実は、タドルさんから、聞いていた。

 『パレルに石材店がある』、という件です。

 そこに、花崗岩かこうがんの天板を発注して。

 その間に、木材で骨組みを作っておき。

 そして、今日に、間に合いました」


「ナイス、無骨ぶこつ感です。

 石も表面ツルツルで。

 これなら、食器を置けます」


「石材の研磨技術は、パレルのものです。

 ただし、我々には、石と木材の接着技術はありません。

 これ、ただ、木の上に、石が乗っているだけです。

 取り扱いには、注意が必要です」


 ここから、再び、双子ちゃんによる詳細解説が始まったのでした:


・天板の石は綺麗な長方形

・パレルの職人に研磨してもらった

・木材、ダークブラウンで塗装済み

・今回配慮したのは、『補強材』

・天板が重いので、4本の脚を、四角い枠材で補強した

・天板を乗せる部分も、四角枠で補強

・点じゃなく、線で重さを分散

・天板、交換可能


「お金、足りへん、かもしらん」


「こちら、料金設定表でございます。

 当然、レザーの提供者がタドルさんということも、考慮した上の価格です」


 チラッ:


[3台の場合]

・バーテーブルx3:2,500Gx3 = 7,500G

・バーチェアx6:4,000Gx6 = 24,000G

・石天板テーブル:20,000G

→計:51,500G


[4台の場合]

・バーテーブルx4:2,500Gx4 = 10,000G

・バーチェアx8:4,000Gx8 = 32,000G

・石天板テーブル:20,000G

→計:62,000G


「バーテーブル、安く感じる」


「サイズは一番大きいですが、手間賃が全然違います。

 バーテーブルは俺でも作れます。

 しかし、バーチェアは、現状、双子ちゃんしか作れません」


「なるほど」


「石天板テーブルは、石天板が特注品なので高くなっています。

 あと、塗装の費用も効いていますね」


「輸送費もありますしね。

 うにゅぅ・・・。

 でも、なぁ・・・」


 この時点で、残金は59,100G。

 『3台分』であれば、購入は可能。

 しかし。


「ここで支払うと、次シーズンの喫茶店営業の食材費が、なくなってしまうのです。

 故に、俺は。

 2択をせまられています。

 『テーブル』か、『バー』か」


「実は、この点に関して、私から提案があるのです」


「それは?」


「タドルさんに、『我々が』、『素材採取依頼』を出します」

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