喫茶店の外装は、自分で増築できません

 俺は夕食の時間ギリギリまで、観葉植物の採取を続けました。

 『見取みどり』とは、このことを言うのか、と思いました。

 もう、アレです。

 ケーキバイキングに来た、OLオーエルみたいな。

 そんな心持ちで。

 もはや、正気を失っていました。

 途中で、村長さんから、『こんなに興奮して木を掘る人間、初めて見ました』と言われたので。

 『俺も初めてです』と返しました。


 喫茶店をゴム樹園の隣に展開し。

 どんどん、どんどこ。

 樹木を運び込みます。

 そして、この日のために作っておいた、木製の植木鉢に植え込みを行います。

 結果的に、以下の観葉植物を店内に持ち込むことができました:


・ガジュマル(大)x2

・ガジュマル(小)x5

・パキラ(大)x2

・パキラ(小)x1

・フィカス(中)x1

・フィカス(小)x1

・モンステラ(中)x1

・ユッカ(中)x1


 合計『14』本。

 大漁です。

 大サイズ、中サイズの植物は、喫茶店内の外周に。

 小サイズの植物は、ラダーシェルフに乗せて。

 押し出されて、乗らなくなったアイテムは、余ったテーブルを持ってきて、その上に乗せました。

 

 最初から、


・フィカス(大)x2


 を所持していたので。

 大サイズ、中サイズの植物は、合計で『9』本。

 嗚呼、これで・・・、


「夢にまでみた、『植物園』の完成やー」






*****






 喫茶店が、植物園としたあと。

 手伝ってくれた村民さんに感謝を伝え。

 俺は、夕食会場へと急いだ。

 

 夕食はすでに始まっていて。

 ミエルさんを含めて全員が、村内の食堂で食事をとっていた。


「さて、何が食べれるのかなー」


 食事は地元の食材を使った定食。

 松竹梅的な3段階の値段設定があり。

 俺は『松コース』を選択した。

 価格は1,500G。

 さすがのリゾート価格ではある。


 料理人を目指す俺は、すぐには手をつけず。

 提供された料理を、じっくりとながめた上で。

 料理を作った村民さんに、料理名をたずねたのでした。

 以下、回答です:


・ライス

・水

・ワタリガニの塩スープ

・エビの魚醤炒め


 ・・・


「『エビ』と『醤油』!

 ダブルでキターーーーーーーー!!」






*****






 まずはじめに。

 俺が、パレルの朝市で探していた食材。

 それが『エビ』でした。

 結局は見つけられなかったのですが。

 まさか、こんな場所で出会うなんて。

 

 そして、『魚醤ぎょしょう』。

 『カタクチイワシ』を材料にして作られる調味料だそうで。

 ・・・。

 残念。

 それ以上のことは、引き出せなかった。


 それらを用いて作られる『エビの魚醤炒め』。

 エビは小さくカットされて、同じく細かく切った玉ねぎと一緒に。

 魚醤を使って、香ばしく炒められ。

 これが、独特の風味を持ちながら、ご飯のお供として最高の一品であったのだった。


 さらに、『ワタリガニの塩スープ』。

 カニの身は少なかったが、カニから魚介の出汁がみ出ていて。

 味わい深い一品であった。


 そして、俺は、ここで。

 『エビ』、『魚醤』を超える、トンデモ食材と、出会うこととなる。

 

「この、『エビの魚醤炒め』の上に乗ってる。

 緑の葉っぱ。

 これ何ですか?」


「パクチーです」


「パクチャァァッァァァ!!!!(訳:パクチー、きちゃった!)」






*****







 パクチーが好きか嫌いかで言えば、俺は『まあまあ好き』程度の人間だ。

 昔は嫌いだったが、食べ続けると、なんか、乗ってないと寂しく感じるようになってきた。

 なんで、パクチーを好きなのか。

 俺はうまく言語化できない。


 この食材を、自称美食天使のミエルさんは、なんと表現するのだろうか。

 そんな、疑問がふといて。

 俺は、隣りでカニの身をほじる天使に向けて、提案を投げるのだった。


「この緑の草、食べてみてください」


「これ、食べれるの?」


「食べれます」


 そして、天使がパクチーを食べ。

 て、すぐにリバース。

 そして、しかめっつらで、感想を述べた。


「なんか、


*****






 ここから多少グロテスクな内容を含みますので、皆さまはガジュマルの映像をお楽しみください






*****


 ・・・みたいな味ね」


「慣れてくると、美味しく感じますよ」


「それ以上、調子に乗ると、はしで目を刺すわよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る