ランクE+の依頼を一人で達成すると、ランクDに昇格できます

・アリゲーター3匹討伐、および、全皮素材の納入


 俺は、この依頼に目をつけた。

 理由は簡単で、『皮素材を家具に使用できるかも?』と思ったからである。

 この依頼書を持って、再度、受付嬢さんの所を訪れる。

 茶髪をお腹の前で結ぶという、奇抜なヘアスタイルの女性だ。


「この依頼。

 受け・・・、る前に。

 詳細もっと知りたいなー、って思ってるんですけど」


「構いませんよ」


「それと、もう2つ。

 この依頼の隣に貼ってあった、『ブラックアリゲータ』、『ホワイトアリゲータ』ってのについても。

 よろしくお願いします」


 ここから、受付嬢さんの、丁寧な解説が始まる:


・普通の人間は、噛まれたら死ぬ

・あと、体当たりとか爪とか、尾撃とかも警戒すること

・皮素材は、各方面で人気なので、需要は大きい

・皮素材に大きな劣化があると、依頼不達成になるので注意

・一匹のサイズが大きいので、3回討伐に行って、3回納入してもらうことになるだろう

・『ブラックアリゲータ』、『ホワイトアリゲータ』は、アリゲータの亜種

・通常のアリゲータより大きくて強いが、そこまでの実力差はないので、D+ランク依頼

・ただし、遭遇率はとてつもなく低い

・出会えたら幸運

・でも、やっぱり、噛まれたら死ぬ

・赤いアリゲータが出たら、速攻で逃げること

・コイツは『マグマアリゲータ』と呼ばれて、炎を口から吐く

・通常はマグマ地帯にしか生息しないが、まれに普通の沼にも現れたりする

・ハミルトン西方の森を抜けると、大きな沼があって

・そこにアリゲータ種が生息している

・道中、スネーク属や、ウルフ属に注意すること


 途中、『まだ出るか、まだ出る』、と思うほど。

 受付嬢さんの説明は長く続き。

 しかし、どれも、有用な知識なのでした。






*****






・道中、スネーク属や、ウルフ属に注意すること


 その注意事項、そのままの展開になった。

 巨大な蛇や、狼。

 しかも、その色違い、高位バージョンとエンカウント。

 俺は、異世界で始めて。

 『普通の戦闘』というものを体験したのである。

 が、しかし・・・。


「弱い」


 全てが、刀の一振りで終わってしまう。

 狼の爪で引っ掻かれた後で、ステータスを確認したが。

 HPは全く変動せず。

 『痛いっちゃ痛いが、すぐ痛み消える』。

 そんな感覚だった。


 まるで、『やぶ』を振り倒すように。

 サクサクと敵を払い。

 目的としていた時間よりも、ずいぶん早く。

 お目当の沼に到着。


 この時点で、


「ステータス確認スキル、実行!」


・Lv:58

・HP:392/392

・MP:201/201

・FAT:244(+120)

・FDF:242(+80)

・MAT:248(+30)

・MDF:244(+140)


 ここで、俺が確認したかったのは、『レベル』の情報。

 10匹程度のモンスターを倒したと思うが、1つもレベルは上がっていなかった。

 この事実から俺は、『ルーラー退治でレベルがとんでもない程あがった』ということを、再確認することになったのだった。






*****






 目的地の沼に到着した。

 沼は不気味なほどに静かで、敵性反応は受信できない。


「敵感知の魔法が欲しいなぁ」


 おそらく、この沼の中に、何体もの『ワニ』が生息しているのだろう。

 ここで、『どうやって引きずり出すか』、という問題に直面し。

 簡単に対処策を考えてみるのだった。


・気長に待つ

・餌をいて待つ

・沼に入る(狂気)

・釣り、的な手段


 『餌をいて待つ』を採用します。

 と、ここで俺は、過去のある時点を思い出した。


「餌をいて、ちょっとの時間待っても。

 黒ワニや、白ワニに出会える確率は、かなり低い、だろうなー

 ・・・。

 なら・・・。

 一晩、待つ?」

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