氷魔法『アイス』は、氷の矢を召喚して、それを敵に放出する魔法です

「人力☆所持金タイムラインスキル、実行!」


・前回残金 [18,600G]

・塗料:-5,000G [13,600G]

・魔法『アイス』:-10,000G [3,600G]

・食材:-3,500G [100G]


 残金100G。

 なんともまあ、綺麗に使い切ったものだ。

 買い出しは完了し、ハミルトン近郊に設置中の喫茶店に帰還したのが正午。

 そこから昼ごはんを挟み。


「今から、営業するの?」


「いえ、今日は休みにします」


 ミエルさんの問いかけに、否定で返す。


「何をするの?」


「魔法の練習をします」


「なるほど。

 がんばって」


 ミエルさんは、それだけ言って、ソシャゲ業務に戻っていった。

 何の変哲もない、いつもの日常であった。






*****






 温めたり、冷やしたり、温めたり、冷やしたり、温めたり、冷やしたり。

 火、氷、火、氷、火、氷、火、氷、火、氷。

 2種交互の無限ループ。

 それでも俺が、試行を強制終了しなかったのは:


・徐々に、魔法が高威力に、制御性も高くなってきているのを感じたから

・どうせすぐ魔力切れで、魔力回復待ちになるので、意外とノンビリした修行だったこと


 などが、理由に挙げられる。

 以下は、今回の試行で感じ取った、2つの魔法に関する考察です:


・フランの魔法は、火の玉を飛ばす

・が、最初の頃は、その飛距離が短かった

・今やっと、5mくらいは飛ぶようになった

・火の玉のサイズも、徐々に大きくなってきた

・フランの魔法を飛ばさずに、空間中に放置しておくと、すぐに消えてしまう

・最大限魔力が溜まったら、すぐに放出するのが吉


・アイスの魔法も同様に、徐々に飛距離が伸びてきた

・氷の矢のサイズも徐々に大きくなってきた

・その氷の矢は、対象に衝突すると、すぐに霧散してしまう

・氷を作り出すのではなく、一時的に召喚する、という感覚らしい

・フランと同じく、空間中に放置しておくと、すぐに消えてしまう

・やはり、冷蔵魔法としての使用は難しい

・ただし、怪我を一瞬冷やしたりといった、瞬間的な使用は可能


 時は夕暮れ。

 1日の修行を終え。

 俺は、再び、魔法屋を訪れた。


「ミュウレイさん。

 修行してきました。

 どうですか?

 俺、強くなってます?」


「全然」


「えーーー」


 一言で切り捨てられたのだった。

 まあ、そりゃあ、そうだよね。

 だが、今回の訪問にも、ちょっとした理由がある。


「1日で、そんな成長するもんじゃないよ。

 地道に鍛錬するんだね。

 千里のみちも、ナントヤラ、ってやつだよ」


「ミュウレイさんは、わかるんですか?

 属性経験値。

 俺が、どれだけの属性経験値を、今、かせいでいるかって?」


「わからんよ」


「まあ、ですよね」


「ただ、お前さんがまだ、私が持つ魔法カード。

 そのうちの『プライマリー』以外の魔法を覚えられる。

 その可能性が『ゼロ』だということはわかる」


「なんで、わかるんですか?」


「勘」


「『魔女の勘』、ですか」


「そう、魔女の勘」


 『勘』という言葉は、昔から、酷く曖昧あいまいな言葉だと、いつも思っていた。

 そこには、『長期的熟練による、言語化できない技能』という、隠れパラメータの存在があるように思う。

 『素人しろうと』か、『玄人くろうと』か。

 今回のケースは、確実に、『後者』だ。


「理解できました。

 ミュウレイさん、これからも、よろしくお願いします。

 ちょくちょくお邪魔されていただきます。

 お金は、落としますので。

 ご指導のほど、よろしくお願いします」


「へいへいほー」






*****






 次の日、早朝。

 俺は、テーブルに向かっていた。

 お尻から、ドラゴンルーラーが力を与えてくれる、気がする。

 テーブルには紙とペン、インク。

 昨日、俺は思ったのだ。


「やること、多すぎる!」


 そこで、一旦、俺のToDoを書き出してみることにしたのだった。

 以下、列挙します:


・喫茶店営業

・剣技の訓練

・筋トレ

・魔法訓練、新魔法習得

・料理練習

・喫茶店メニュー開発、新食材確保

・調理器具購入

・新家具開発

・家具店監督

・家具素材収集

・武器素材収集

・ギルド依頼

・渡航準備、情報収集

・従業員確保


 リスト完成。

 めっちゃ、多い。

 ほんとに、イロイロ、先は長いなと、思ったのでした。


 改めて、項目を確認。

 今日やるべきことは・・・。

 『喫茶店メニュー開発、新食材確保』にします。 

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