ギルド会員証をなくした場合、ギルドランクがリセットされます

「狩りにいくわよ!」


 早朝からミエルさんは、突飛とっぴなことを言い出した。


「狩りならいつも行ってるじゃないですか。

 端末上で。

 素材集め、してるんでしょ」


「今回のギルドイベント、1勝4敗。

 大敗よ。

 今まで、こんなことなかったのに。

 この私がいながら」


「ニコニコ課金、じゃなかったんでしたっけ」


「ニコニコ課金とは、掛けた金額でなく、心の問題よ。

 心が笑っていれば、金額は関係ないの」


「何言ってんすか」


「とにかく!

 私はウップンがたまっているの。

 暴れたいの!

 暴れたいの!

 もしくは、『ウップンばらしの壺』でも持ってきなさい」


「その壺、爆発するやつでしょ!

 そして、その壺、俺に向けて投げるつもりでしょ!」


 『こんなところでも炎耐性は役にたつな』、というよくわからん思考が生まれたのち。

 なんかテンションがおかしいミエルさんとともに、喫茶店を出発したのでした。






*****






 そして、10分後。

 到着したのは。

 ハミルトン、だった。

 しかも、今立っているのは、酒場の前。

 わかりやすい、ビールのアイコンの看板が扉にかかっている。

 しかし、俺はもう、全てわかっていた。

 それは、ビールのアイコンの下に、『G』と書かれたアイコンの看板も掛かっていたからである。






*****






「冒険者登録をお願いします」


 俺はミエルさんが教えてくれた通りの言葉を伝達した。

 カウンターに立つ茶髪のお姉さんに、一切の迷いなし。

 そして登録用紙を手渡してくれた。


「なるほど、ギルドですか」


 狩りに行くのなら、どうせなら『稼げる狩り』に行く。

 それは、つまり、『ギルド依頼』という案につながるのである。

 

 ギルド登録書には、名前を書く欄しか存在せず。

 名前を記載した用紙を手渡すと、ペラッペラの紙の会員証を授与された。


「なくさないでくださいね」


「なくしたら、どうなるんですか?」


「最初からやりなおしです」


「最初、ってなんですか?」


「ギルドランクです」


「ギルドランクってなんですか?」


「あっちに置いてある、取説を読んでください」


「天界と同じ展開!」


 そんなわけで、取説を熟読する俺なのでした。






*****






 ここから単調な作業に入りますので、皆さまはギルド受付嬢の生脚の映像をお楽しみください






*****






 ギルドランクに関して、以下にまとめる:


・依頼をこなしていくとアップする

・F級からスタートして、E→D→C→B→A→S、S級が最上位

・そのランクに応じた難易度の依頼を受けることができる

・会員証をなくしたり、剥奪はくだつされた場合、ランクはリセットされる


 各ランクの大まかな解説は以下:


・F級:女性や子ども

・E級:駆け出し冒険者、下位モンスター討伐解禁

・D級:中級冒険者、上位モンスター討伐解禁

・C級:熟練冒険者、護衛任務解禁

・B級:一流冒険者、災害級モンスター討伐解禁

・A級:超一流冒険者、大災害級モンスター討伐解禁

・S級:英雄的存在、肖像画とか飾られる


 俺はF級を飛ばして、E級からのスタート。

 冒険者の多くは、みな、D級かC級冒険者で止まっていて。

 B級冒険者になれるのは、ごく一部の人間しかいないそうな。

 そしてその上に、A級とS級という、トンデモ階級が存在している、ということです。


 依頼はおおよそ全て、『依頼掲示板』に掲載される、とのこと。

 この掲示板から、自分の実力に見合った依頼を選び、依頼用紙を受付に持っていけば、依頼受注完了となる。

 というわけで、俺が次に向かうべき場所は『依頼掲示板前』となる。

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