吸魔の包丁に関する詳細は、別途添付の取説を参照してください

 ドラゴンを切り裂いた瞬間、俺は叫ぶ!


「ステータスを教えて!」


・Lv:26

・FAT:116(+120)

・FDF:114 (+2)

・MAT:120 (+30)

・MDF:116


 レベル、『15』も上がった!!

 そして、このレベルアップの確認を持って、ドラゴンを確実に仕留めた、そのことを確認できたのである。

 湧き上がった闘争本能が徐々に落ち着きを取り戻していく。


「生き、残った・・・」


 今度、こそ、死んだと思った。

 『シェルターが鉄壁なら、その鉄壁を頭上から落下させたらとんでもない威力になる』。

 シェルターの床で寝ながら考えた、そんな無謀な策略が、たまたまうまくいったのである。

 寝起きで頭が緩くなっていたのかもしれない。

 もし、『シェルターは設置可能な場所でしか召喚できません』、とアナウンスされていたら、完全に死んでいた。

 そして、もし召喚できた場合、一撃でドラゴンを倒せる、という考えも甘かった。

 レベルが一気に15も上がるということから逆算して、ドラゴンがどれだけ凶悪な相手だったのかということを理解することができる。


 俺は一旦シェルターを再召喚。

 無事に召喚可能なことを確認すると、すぐに水道へ向かい、コップに水を満タンにして、一気に飲み干した。


 そして、再度、ドラゴンと向かい合う。

 さあ、始めよう。


「解★体」






*****






 ここから多少グロテスクな内容を含みますので、皆さまは可愛い小鳥の映像をお楽しみください






*****






 ほんとうに、この包丁の切れ味は凄い。

 それでも、今まで刻んできた魔獣と比較して、肉質が硬いと感じた。

 特にその鱗装甲、革鱗かくりん(造語)は、青銅の盾のような硬さであるように思う。

 ドラゴンを解体する途中、いつものように、脳内に情報が流れてくる。


・肉質:無毒、味★、硬い、特性[ドラゴンブレス]


 『味★1個かよ』、という感想はどうでもよく。

 『ドラゴンブレス』って、なんぞ?

 食べればわかるさ。

 しかし、この硬質な肉は、ミンチにでもしなければ噛み砕けないだろう。


 まずは、全解体作業を完了させた、俺。

 今回の収穫はデカい。

 肉が食用と言って通じるかは不明だが。

 その牙、角、爪、そしてなにより革鱗かくりん

 これは、まだ、ただの予測でしかないが。

 この革鱗かくりんを用いて作製した防具は、『魔法防御力』が高くなるのでは、と想像していた。

 自身が吐く炎のブレスに対しても、ある程度の耐性があるはず。

 ならば、炎耐性、ひいては魔法耐性も望めるのではと考えるのだ。

 この素材達は、しっかりと価格交渉をして、真の価値を見極めた上で売却しよう。


 骨以外の素材は、おおよそシェルターに回収し終えた。

 さて、一旦この場所から離れよう。






*****






 天使さんが渡してくれた『取説』は2部ある。

 1部は、この世界に関する、転生者全員に渡される一般的なマニュアル。

 もう1部は、『吸魔の包丁』に関する取説である。

 俺は改めて、この包丁の取説に目を通している。


・包丁を使って倒した敵の肉を食べると、一時的にその敵の能力を発動できる

・包丁の所有者は、その能力を永久的に使用できる


 この説明を受けた上で、今、俺の前にはドラゴンミートミンチが存在する。

 とりあえず、醤油+みりん+酒で味付けはしてみたが、今は味はどうでもいい。

 『カッチカチやぞ』なドラゴンミートも、ここまで細かくすれば、飲み込むことができる。

 味は淡白で、臭みはあまりなかった。

 硬いことだけが問題な鶏肉みたいな印象だった。


 さて、ここで改めて、脳内に流し込まれた肉質の情報をおさらいする。


肉質:無毒、味★、硬い、特性[ドラゴンブレス]


「ドラゴンブレス!」


 そう叫んだ瞬間、俺の口の前に炎弾が産み出され。

 放出され。


<<ダギャーーーーン>>


 緑の草原を、一部のみ焼き尽くした。


「ブレス吐けたーーーーー!!」


 信じられないが、どうやらドラゴンの能力を吸収したらしい。

 しかも、包丁所有者である俺は永続使用可能。


 つまり、『飛び道具を手にした』、ということであり。

 この事実を、『シェルター』と組み合わせると・・・。


「俺、無敵じゃないですか!」

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