第3話 『逢魔が時』事件、捜査開始
【登場人物】
本作の主人公。22歳、駆け出しの小説家。訳あって自宅に探偵事務所を構えている。裏の顔は『
冬哉のもとを訪れた18歳の女子高校生。『
アテン(偽名・
『
イメリス:女性
『
ゼル:男性
『
???:男性
謎の人物。冬哉たちを見張っているようだ・・・。
猫:性別不明
謎の人物の仲間。猫であるが、流暢に喋っている・・・。
【本編】
【冬哉、アテン、放心状態の瑠花は、扉の先にある道を進んでいき・・・】
【《天界》『
イメリス「おかえりっ!冬哉!アテン!」
ゼル「おかえりなさいませ。」
アテン「ただいま。」
冬哉「ただいまー。っと、いきなりですまないが、ゼル。この子を頼んだ。」
【冬哉、ゼルに瑠花を引き渡す】
ゼル「この方は、例の・・・。」
イメリス「姉が失踪したとか言ってた子ね。確か・・・瑠花ちゃん、だっけ?」
アテン「ええ、そうよ。」
冬哉「なんだ、二人とも知ってたのか?」
アテン「先に伝えておいた。」
冬哉「・・・そうか。なら話は早いな。」
イメリス「じゃ、ぱっぱと始めちゃおうよ!」
ゼル「そうですね。」
アテン「・・・(咳払い)。これより、『酉川空音
瑠花「・・・はっ!?ここは!?」
ゼル「・・・正気に戻られましたかな?」
瑠花「だ、誰ですか!?」
冬哉「落ち着け。その人は俺たちの仲間だ。」
瑠花「そ、そうでしたか・・・。あの、取り乱してすみませんでした。」
ゼル「いえいえ。」
イメリス「・・・その子、あんまり『
冬哉「・・・そうだなぁ、じゃ、改めて一人一人自己紹介してくか。」
アテン「そうね。」
イメリス「じゃ、私から!私はイメリス。主に後方支援をしているよ。あと、『
ゼル「次は私が。私はゼルと申します。『
冬哉「じゃあ次は俺だな。アテンから聞いてると思うが、俺の名前は白波冬哉。人界では小説家と探偵を、天界では『
アテン「最後は私ね。私はアテン。『
瑠花「あ、あの・・・。皆さんが言っている『
冬哉「『
アテン「ここに集うメンバーは精鋭ぞろい。ゼルは剣術、イメリスは技巧、私は一応ここのリーダー、冬哉は・・・。」
イメリス「———人間でありながら逢魔狩りの素質を持つ異端者、でしょ?」
瑠花「・・・そんなに珍しいんですか?」
ゼル「まず、『
瑠花「え、じゃあ私も・・・。」
イメリス「確かに異端だねぇ〜。でも、冬哉は一味違う。」
瑠花「どういう事ですか?」
アテン「・・・冬哉は、冬哉自身が顕現させた
瑠花「・・・え?」
冬哉「自らの手で、って・・・。それは語弊があるだろ。アテンの協力が無かったら俺は確実に死んでた。」
アテン「・・・それはわからないわよ?」
冬哉「は?」
アテン「冬哉は自分の
冬哉「おいおい、冗談はよせって。」
アテン「・・・。」
ゼル「・・・話を戻しましょうか。もし、人間が
イメリス「・・・でも、何故か冬哉は
瑠花「どうしてですか?」
イメリス「さぁ?私たちもわっかんないんだよねぇ〜」
アテン「・・・瑠花ちゃん。冬哉がどれだけ異端なのかはわかってくれた?」
瑠花「は、はい・・・。」
冬哉「はいはい!俺の話はやめやめ!さっさと作戦会議するぞ。」
イメリス「なんだなんだぁ?照れてんのかぁ?」
冬哉「うるせぇ引っ込んでろ」
ゼル「冬哉さまの言う通りでございますね。では、始めましょうか。」
【『酉川空音
冬哉「じゃ、改めて。瑠花ちゃん。お姉さんについて詳しく説明を。」
瑠花「あ、はい!わかりました。」
瑠花「———私の姉の名前は
イメリス「(小声)姉思いのいい妹ちゃんじゃないか。」
瑠花「でも、一つだけ気掛かりなことがあったんです。」
ゼル「・・・ほう?」
冬哉「・・・『学校からの下校時、いつも暗い顔をしていた』、だろ?」
瑠花「はい。冬哉さんの言う通りです。いつも明るい姉があんな暗い顔をするなんて、思ってなかったです。」
アテン「・・・それで、私と冬哉は学校での『いじめ』が原因で
ゼル&イメリス&瑠花「・・・!?」
瑠花「そ、そんな・・・。」
冬哉「まだ確実ってわけじゃない。だが、可能性は大いにある。」
ゼル「以前冬哉さまが経験なされた
冬哉「その通り。」
瑠花「・・・。」
イメリス「そう絶望なさんな。まだ希望はあるよ。」
冬哉「ああ。その為に俺たち『
ゼル「・・・必ず、お姉さんを救い出しましょう。」
アテン「私の頼れる仲間たちを信じて。ね?(瑠花の手を握る)」
瑠花「はい・・・ありがとうございます。」
冬哉「さっきも言ったろ?礼は事件解決まで取っとけって。な?」
瑠花「・・・はい!」
イメリス「いい返事っ!」
冬哉「・・・とは言ったものの、事態はあまり芳しくない。」
ゼル「そうですね・・・。」
アテン「失踪したのが9年前ともなると、生きているかどうか・・・。」
イメリス「ま、考えるより先に行動した方がいいんじゃない?」
ゼル「今は情報が少ないですからね。」
アテン「・・・やってみるしかなさそうね。」
瑠花「やるって・・・何をですか?」
アテン「・・・お姉さんの
瑠花「で、できるんですか!?」
冬哉「おう!アテンの異能、《
瑠花「・・・げーときーぱー?」
アテン「私が喫茶店の扉を開いたり、ここへ繋がる扉を開いたのも、その異能があるから。《
瑠花「へぇ〜、すごいですねアテンさん!」
アテン「異能を持ってるのは私だけじゃないわ。」
瑠花「そ、そうなんですね・・・。」
イメリス「御託はいいから、早く開いちゃおう!」
ゼル「・・・一刻を争う状況かもしれませんしね。」
冬哉「よし、じゃあ瑠花ちゃん、アテンの手を握って。」
瑠花「は、はい!(アテンの手を握る)」
冬哉「じゃあ、心の中でお姉ちゃんの姿をイメージするんだ。」
瑠花「・・・わかりました。(目を瞑り、姉の姿をイメージする)」
イメリス「・・・どお?アテンいけそう?」
アテン「・・・OK。大丈夫そう。じゃあ、行くわよ・・・!」
アテン「———我、扉を護り、そして開く者。
忌まわしき黄昏の囚人に、今、救済の鍵を授けん。
汝に、神の祝福があらんことを・・・。
———《
【アテンが詠唱を終えると、目の前に鍵のかかった扉が現れた】
ゼル「・・・現れましたね。」
冬哉「・・・今までに感じたことのないような気配だ。かなりヤバそうだな。」
瑠花「あれ?でも鍵がかかってますね。」
イメリス「なんでだ?今までは普通の扉だったのに。」
アテン「おかしいわね。ちゃんと詠唱したはずなのに・・・。」
冬哉「こんな軟弱そうな鍵、無理矢理にでも・・・」
【冬哉、鍵のかかった扉を開けようとする】
冬哉「痛っ!な、なんだ!?」
アテン「・・・あっ、もしかしたら。ねぇ、瑠花ちゃん。」
瑠花「・・・はい?」
冬哉「お、おいおい!? まさか瑠花ちゃんに開けさせるつもりか!?」
アテン「そうよ。もしかしたら、何か起きるかもしれない。」
冬哉「だ、大丈夫か? 俺が触ったら電気ショックみたいなのを受けたんだが?」
イメリス「その扉から嫌われてるんじゃない?w」
冬哉「初対面でそりゃねえだろ扉さんよぉ・・・。」
ゼル「・・・ともかく、瑠花さんに賭けてみるしかありませんね。」
瑠花「は、はい・・・!私、やります!お姉ちゃんを助けるために!」
瑠花「———お願い、開いて!」
【瑠花が扉の取っ手に手をかけたその時、カチッと扉の鍵が開く音がした】
瑠花「あっ、開いた!やったぁ!」
冬哉「おいおい、マジかよ・・・。」
イメリス「・・・ぷっw(思わず吹き出す)」
ゼル「まぁ、無事に開いたことですし、いいじゃないですか冬哉さま。」
冬哉「・・・まぁそうだな。」
アテン「・・・さぁ、出撃準備を。」
冬哉「・・・ああ!」
【『
アテン「・・・それじゃ、瑠花ちゃん。行ってくるわね。」
瑠花「え・・・?私は・・・。」
冬哉「おいおい、
冬哉「———それとも、それを承知の上で言ってんのか?」
瑠花「・・・危ない場所だってことは分かってます。でも!ここでただ待ってるだけなのは嫌なんです!」
瑠花「———私は、私自身の手でお姉ちゃんを救いたいんです。」
【瑠花、冬哉を真剣な眼差しで見つめる】
冬哉「(溜息)・・・ゼル。」
ゼル「どうなさいましたか?」
冬哉「———レディのエスコート術は、心得ているか?」
ゼル「・・・最善を尽くしましょう。」
瑠花「・・・!」
アテン「本当にいいの?」
冬哉「・・・こんな目をしている少女の願い、断れないっての。」
瑠花「・・・冬哉さん、ありがとうございます!」
冬哉「・・・但し、条件がある。絶対に
瑠花「・・・はい!」
イメリス「瑠花ちゃん、これを。(瑠花に通信機を渡す)」
瑠花「これは・・・?」
イメリス「私特製の通信機!ここから私が指示飛ばすから、聞き逃すなよ〜?」
瑠花「はい、わかりました!(耳に通信機を装着する)」
アテン「・・・それじゃあ、準備も整ったことですし、行きましょう!」
アテン「———『
冬哉&ゼル「了解!」
瑠花「りょ、了解!」
イメリス「一応こっちからも支援するけど、警戒を怠るなよ〜!」
アテン「・・・ええ。頼りにしてるわ。」
【アテン、ゼル、瑠花が
【冬哉もそれに続こうとする】
イメリス「あっ、忘れてた! おーい冬哉ー!お前に渡したいもんがあるー!」
冬哉「ん?なんだ?(振り返る)」
イメリス「ほいっ!(冬哉に道具を投げ渡す)」
冬哉「おおっと!・・・って、これは!」
イメリス「ずっとコソコソ裏で調整してたんだが、遂に完成したんだぁ!」
冬哉「(独白)今渡されたのは、イメリスが開発している支援物資『Imerys Support Gear』・・・。通称『
イメリス「今渡したのは大型ISGだから、ISG-B-02ってことになるな。」
冬哉「・・・ISG-B-01が、この逢断剣だったな。」
イメリス「そうさ!この私が作り上げた至極の剣なのさっ!」
イメリス「(小声)その逢断剣っていうネーミングは嫌いだがな」
冬哉「なんか言ったか?」
イメリス「いやなんでもぉ? ・・・あ、あと小型ISGも幾つか拵えてきたから、渡しとくね〜」
冬哉「おう!いつもあんがとな!」
イメリス「・・・ま、そのISGたちでいっちょ試運転がてら暴れてこいっ! 無事に帰ってこいよっ!」
冬哉「言われなくとも!」
【冬哉、
イメリス「・・・さぁて、こっちの仕事も始めますか!」
イメリス「瑠花ちゃんのお姉さん、本当に無事なのかぁ・・・?」
イメリス「・・・なんか嫌〜な予感がする。」
【そう言いながら、イメリスは
【・・・。】
【《天界》『???』本拠地】
猫「・・・例の女の逢魔が時に侵入した者がいるようですにゃ。」
???「今私も見ている。あの者たちは・・・。」
猫「最近我々の計画を邪魔している連中ですにゃ。」
???「いずれ潰さねばならんな。」
猫「・・・!? あの人間・・・!」
???「どうした?」
猫「・・・いえ、なんでもないですにゃ。」
???「そうか。では、あの者たちの対処は任せるぞ『チェシャー』。」
チェシャー「・・・はい、ですにゃ。」
【???、その場を去る】
チェシャー「あいつ、逢魔が時に閉じ込めたはずにゃのに・・・何故なのにゃ?」
チェシャー「まさか・・・!あの隣にいる神の仕業か・・・!?」
チェシャー「あの神、女の妹まで連れてきやがった・・・!」
チェシャー「(舌打ち)・・・まぁいいにゃ。今度こそは確実に息の根を止めてやるにゃぁ。」
チェシャー「———数年振りの再会と行こうか。白波冬哉ッ!」
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