第1話 新たなる依頼
【登場人物】
本作の主人公。22歳、駆け出しの小説家。訳あって自宅に探偵事務所を構えている。裏の顔は『
冬哉のもとを訪れた18歳の女子高校生。どうやら冬哉に頼みたいことがあるようだ。
アテン(偽名・
『
イメリス:女性
『
子供:男女どちらでも
前話にて、『
母親:女性
子供の母親。
【本編】
【『
冬哉「俺の名前は白波冬哉。まだまだ駆け出しの小説家だ。そんでもって、探偵でもある。まぁ、とある分野専門の探偵だがな。」
冬哉「・・・俺は数年前、摩訶不思議な世界『逢魔が時』に足を踏み入れた。そこには、自分自身の心の闇である『逢魔』達が跳梁跋扈していた。俺は、その逢魔ってのに襲われそうになったんだ。そこにだ。」
冬哉「突然、剣を携えた少女が逢魔をぶった斬った。あぁ、そん時は驚きすぎて目ん玉が飛び出るかと思ったぜ。」
冬哉「それから、なんやかんやあってその少女、『アテン』と共に逢魔を倒していった。」
冬哉「そして、最終的にはラスボス的な逢魔を俺一人で撃破した!(誇らしげに)」
冬哉「・・・そんで、こっからが本題だ。俺は逢魔が時から脱出する際、そこで起きたあらゆる事象を忘れるらしいんだが・・・。」
冬哉「———なんでか知らんが俺は逢魔が時での出来事を覚えている。」
冬哉「その後、俺はアテンと再会し、アテン率いる組織『
冬哉「・・・その決断から時が経ち、俺は成人し『
冬哉「俺は、頼りになる仲間達と共に『
【独白終了、《人界・昼》冬哉の自宅前】
【イメリスと通信中】
冬哉「・・・っと、まだ寝てんな。ぐっすりだこと。」
《通信》イメリス「いいじゃないか。寝る子は育つってやつだよ。」
冬哉「精神的にも成長して、もう俺たちのお世話にならないことを願うばかりだ。」
《通信》イメリス「えぇ〜、その子、冬哉の背中で気持ちよさそーに寝てんのに、それは酷いんじゃないかい?」
冬哉「・・・イメリス、本気で言ってんのか?」
《通信》イメリス「・・・冗談に決まってるだろう?そう怒んなってぇ。」
冬哉「・・・さっさと母親の元に届けて、本来の生活に戻ってもらわないと。」
《通信》イメリス「それじゃ、その子の母親に連絡入れとくね〜」
冬哉「頼んだ。早くこの体勢から抜け出したい・・・。」
《通信》イメリス「おやぁ?新進気鋭の冬哉サマがこの程度で音を上げるんですかぁ〜?」
冬哉「・・・そんな口を利くなら、もう道具の試運転には付き合わないぞ?」
《通信》イメリス「・・・すんませんした。」
冬哉「わかればよろしい。」
子供「・・・うーん?」
冬哉「あ、起きた。」
子供「・・・おにいさん、だあれ?」
冬哉「俺?俺はねぇ・・・」
冬哉「———通りすがりの、旅人さ。」
【数分後、母親が現れた】
冬哉「・・・あ、こっちですー!」
母親「はぁ、はぁ・・・。遅くなってしまい、申し訳ありません・・・。」
冬哉「いえいえ、とんでもない。」
子供「おかあさん!(母親に抱きつく)」
母親「よしよし。・・・よかったね。優しい人に見つけてもらえて。」
子供「うん!」
冬哉「よかったよかった。」
母親「・・・この度は、本当にありがとうございました。(深々と頭を下げる)」
冬哉「そんな、僕はただ捜索に協力しただけ。依頼されなければ、僕は動きませんでした。お母さまの勇気ある行動が、功を奏したのですよ。」
母親「・・・ご立派ですね。まだお若いというのに。」
冬哉「僕には、頼れる仲間がいるので。」
《通信》イメリス「お?それって私た(冬哉、静かに通信を切る)」
母親「・・・では、改めて。ありがとうございました!」
子供「ばいばーい、たびびとのおにいさん!」
冬哉「・・・ばいばい。(子供に向かって、優しく手を振る)」
【子供と母親は帰っていった】
冬哉「・・・ふぅ。(通信を再開する)」
《通信》イメリス「酷いじゃないか!通信をぶった切るだなんて!」
冬哉「いや?ただ雑音が聞こえるなぁと思って。」
《通信》イメリス「むぅ〜。・・・い、一応後で通信機メンテナンスさせて!」
冬哉「やっぱ職人気質だな(小声)」
《通信》イメリス「・・・なにか言ったかい?」
冬哉「いやなんでも?」
冬哉「・・・そんじゃま、事件も解決したことだし、俺は本業の仕事があるんで。通信、切るぞ。」
《通信》イメリス「そっか。じゃ、またな。」
【通信終了】
【冬哉、家に戻り執筆作業を進める。】
冬哉「・・・。(集中)」
【数時間後、インターホンの音】
冬哉「・・・ん?俺なんか頼んだっけ?」
冬哉「(インターホンに出る)はーい?」
アテン「あ、冬哉居た。」
冬哉「ん?アテン?なんか用か?」
アテン「早く来て。」
冬哉「お、おう。わかった。」
【冬哉、玄関のドアを開ける】
冬哉「どうしたアテ・・・うん?」
瑠花「・・・っ(アテンの後ろに隠れる)」
冬哉「・・・?」
アテン「(瑠花に優しく話しかける)大丈夫。さっきも言ったでしょう? この人は私の仲間。」
瑠花「そ、そうですね・・・。(アテンの後ろから出てくる)」
冬哉「・・・もしかして、事件の依頼か?」
アテン「・・・詳しい話は、いつもの喫茶店で。」
冬哉「・・・ああ、わかった。」
アテン「さ、行くわよ。」
瑠花「え?あ、はい!」
【喫茶店へ向かう道中、アテンが冬哉に耳打ちする】
アテン「・・・前も言ったけど、私を人界で呼ぶ際は「真理亜」だからね。」
冬哉「・・・ああ。それより、アテ・・・真理亜が依頼人を連れてきたってことは・・・。」
アテン「・・・ええ、『
冬哉「はぁ、ほんっと最近多いな・・・。」
アテン「でも、今回は一筋縄ではいかなそうよ。なにせ今回は・・・」
アテン「———『
冬哉「・・・!?」
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