Episode.1 For get me not編

プロローグ 逢魔狩り達

【登場人物】




白波しらなみ冬哉とうや(一部表記『青年』):男性


本作の主人公。『逢魔を征く者ダスク・トラベラーズ』の一員。




アテン(一部表記『冷静な女性の声』):女性


逢魔を征く者ダスク・トラベラーズ』のリーダー。




ゼル(一部表記『老剣士の声』):男性


逢魔を征く者ダスク・トラベラーズ』の一員。




イメリス(一部表記『少年っぽい女性の声』):女性


逢魔を征く者ダスク・トラベラーズ』の一員。




子供:男女どちらでも


逢魔が時に囚われている子供。




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Episode.1  『For get me not』編  Starting


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【本編】




【不気味な世界の中の公園、そこに子供が一人ぼっちで蹲っている】


子供「(泣き声)!ここはどこなの・・・? パパ、ママ、どこにいっちゃったの・・・?」


【ビルの屋上に、人影が現れる】


青年「・・・っ!居た!」


青年「(耳に装着している通信機に手をあてて)聞こえるか?皆?」


冷静な女性の声「・・・ええ。バッチリ聞こえてるわ。『冬哉』。」


老剣士の声「・・・こちらも聞こえておりますぞ、冬哉どの。」


少年っぽい女性の声「おっ?通信機はしっかりと動いてるみたいだねぇ。」


冬哉「『イメリス』、今はそんな話をしている場合じゃない。」


イメリス「はいはーい(拗ねたように)。・・・後で使用感をじっくり聞かせてもらうことにするよ。」


老剣士の声「・・・それで、どうなされましたか?冬哉どの。もしや保護対象を見つけられたのですか?」


冬哉「・・・ああ。その通りだ『ゼル』。保護対象の子供を発見した。すぐに俺の位置まで来てくれ。・・・おい、イメリス!」


イメリス「・・・言われなくとも、もう『アテン』とゼルには発見した保護対象の位置情報を送ってるよ〜」


冬哉「ありがとうイメリス。流石、仕事が早いな。」


イメリス「えへへぇ、そんなに褒めても、新作の道具しか出せないよぉ〜?」


冬哉「(小声)もう実験台になるのは懲り懲りなんだが・・・。」


イメリス「ん?なにか言ったかな?」


冬哉「なんも言ってないから!・・・とにかく、早く合流するぞ!」


アテン・ゼル「了解!」


【通信を切った】


冬哉「・・・さて、二人が来るまであの子供を護らないと・・・って!?」


【逢魔が子供を見つけた】


冬哉「チッ、油断した!」


【冬哉はビルの屋上から飛び降り、着地した】


冬哉「・・・っ!早く行かないと!」


【冬哉、子供の元へと走る】


子供「・・・え?なに・・・あのくろいの・・・?こっちにきてる・・・。」


【逢魔、ジリジリと距離を詰める】


子供「・・・こ、こわい! なんでこっちにくるの・・・!?」


【逢魔、子供の前に立ちはだかる】


子供「・・・や、やだ! だ、だれか・・・たすけ・・・。」


【子供、恐怖のあまり声が出なくなる】


【逢魔、子供を喰らおうとする。その時】


冬哉「・・・抜剣ッ! はっ!(逢魔を斬り裂く)」


【逢魔、唸り声を上げながら消滅する】


冬哉「・・・ふぅ。何とか間に合ったな・・・。」


冬哉「・・・大丈夫だったかい?(子供の方を見て)」


子供「・・・う、うん(頷く)」


冬哉「そりゃ良かった。怪我も無さそうだし・・・おっ?」


【そこにアテン、ゼルが合流した】


アテン「ごめん、遅くなった。」


ゼル「忝い。」


冬哉「俺は大丈夫だ。それより・・・。」


【冬哉の背後に子供がひっついている】


冬哉「・・・大丈夫だよ。この人たちは俺の仲間だから。」


子供「・・・お、」


冬哉「・・・お?」


子供「・・・おにいさん、すっごくかっこよかった!(目を輝かせる)」


冬哉「・・・お、おう。そ、そうか・・・。(顔を赤くする)」


アテン「何照れてんのよ」


ゼル「あからさまに照れておられますね」


冬哉「・・・うるせえ。いちいち解説を挟むなっ。」


イメリス「・・・おーい、本来の目的を忘れてないかー?」


冬哉「っと、そうだった。任務任務っと。」


【冬哉、子供を抱き上げ肩車する】


冬哉「・・・保護対象を『逢魔が時ダスクエリア』から救出する、だな。」


ゼル「・・・ここの雰囲気から察するに、『空白の逢魔が時エンプティ・ダスクエリア』でしょうからね。」


アテン「・・・ここのところずうっとこのケースよね。」


冬哉「ああ。真逢魔も居なければ、迷逢魔も居ない。ただの逢魔の巣窟。だから『ゲート』さえあれば、いつでも帰れる。・・・俺自身が経験した逢魔が時より何倍もいい。」


アテン「『空白の逢魔が時エンプティ・ダスクエリア』であるのは、私たちからすれば好都合なんだけれど・・・。」


ゼル「顕現難易度が低い『逢魔が時ダスクエリア』だからか、ここ最近件数が増えてきている、ですよね?」


アテン「・・・ええ。」


子供「・・・おにいさん、おねえさん、それとおじいさん。どんなおはなしをしてるの? ぼく(わたし)、ぜんぜんわかんない!」


冬哉「君には、関係のない話だからな〜。」


子供「そう・・・なの?」


アテン「ええ、そうよ。」


ゼル「気を張りすぎて、お疲れでしょう。寝てもよいのですよ?」


子供「・・・そっか。じゃあぼく(わたし)、寝る〜」


冬哉「・・・おやすみ。(子供の頭を撫でる)」


子供「・・・Zzz...Zzz...」


ゼル「・・・寝るのがお早いですね。」


アテン「それぐらい、怖かったのよ。きっと、冬哉の背中が安心できる場所だって思ったんじゃない?」


冬哉「・・・そっか。そうなのかな。」


冬哉「じゃ、保護対象も寝たし、帰るか。」


アテン「それじゃあ、ゲートを開けておくわね。」


冬哉「ああ、頼んだ。」


【アテン、ゲートを開けにいく】


ゼル「・・・冬哉どの。」


冬哉「ん?どうしたゼル?」


ゼル「・・・成長、なされましたね。逢魔狩りとして。」


冬哉「な、なんだよ急に。」


ゼル「・・・いえ。ただの戯言でございます。」


冬哉「・・・?」


イメリス「おーいお二人さん、ゲート、もう開いてるぞ。ほら、アテンが呼んでるよ〜」


ゼル「・・・さあ、帰りましょう。冬哉どの。」


冬哉「あ、ああ。」


冬哉「(アテンに)今行く!」

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