第六章 真逢魔との死闘

【登場人物】


白波 冬哉(しらなみ とうや):男性


本作の主人公。中学3年生。心にとあるトラウマを抱えている引きこもり。前章にて、自身の幻影と手を結び、窮地を脱した。




アテン:女性


冬哉のサポートをする神様。前章にて、応答のない冬哉のことを心配している。




真逢魔:男性


冬哉の逢魔が時に住まう逢魔のトップ。冬哉を絶望へと誘う。




冬哉の心意:男性


前章にて、冬哉の幻影だったもの。




【本編】

【冬哉の逢魔が時・学校 1年3組 迷逢魔殲滅後】


冬哉「・・・ふぅ。(血振りのような動きをする)」


アテン「(泣きながら)・・・と、冬哉ぁ・・・!」


冬哉「・・・ただいま。(笑みを浮かべる)」


アテン「・・・っ!(冬哉に抱きつく)」


冬哉「うおっと!」


アテン「貴方・・・私がどれだけ心配したと思ってるの!?」


冬哉「(アテンの頭を撫でながら)・・・心配、かけたな。ごめん。」


【しばらくして】


冬哉「・・・っと、それよりも、早く『鍵』を・・・。」


【冬哉、教卓の上に置いてある『鍵』を見つける】


冬哉「あった!(鍵を握りしめる)」


冬哉「・・・よし、早く真逢魔を倒して、逢魔が時このせかいから脱出するぞ!」


アテン「(涙を拭きながら)・・・ええ、そうね。」




【教室を出て、屋上へ向かう道中】


アテン「・・・ねえ、冬哉。迷逢魔を一掃した時の斬撃、私にも太刀筋が見えなかった。一体どうやってあの斬撃を繰り出したの?」


冬哉「・・・俺にもわからん。ただ、目の前にいるアテン大切な人を護りたい、そう心の底から思ったら、自然と出た。」


アテン「(少し笑いながら)何それ。でも・・・ありがとう。私を護ってくれて。」


冬哉「・・・ああ。もうすぐ屋上だ!」


アテン「(心の中で)・・・やっぱり、冬哉にはが・・・。」


冬哉「よし、着いた!鍵を差し込んで・・・っと。よし!」


【冬哉は勢いよく扉を開けた】




【冬哉の逢魔が時・学校 屋上】


冬哉「おい!真逢魔!居るんだろ!」


【屋上には誰も居ない】


冬哉「・・・っと、そうだった。イメージが要るんだったな。アテン、確かそうだったよな?(振り返り、アテンの方を見る)」


アテン「そうよ。自分で自分を強くイメージして。」


冬哉「(深呼吸)、よし!」


【冬哉、目を瞑り、自分自身をイメージする】


アテン「・・・!! 来る!」


【アテンが告げた瞬間、怒号のような凄まじい轟音が聞こえた】


冬哉「・・・っ!(急いで目を開ける)」


【目の前に冬哉と瓜二つな人物が現れた。禍々しいオーラを放ち、手には漆黒の剣を携えている】


冬哉「・・・お前か。俺の『真逢魔』は!」


真逢魔「・・・我は汝の影。汝の悪しき感情の権化。我は汝の魂に残留しているその悪しき感情を欲す。その美しく穢れた魂を、大人しく我に差し出せ。」


冬哉「・・・生憎、大人しく従う気は・・・(剣を構える)」


冬哉「さらさらないんでね!(真逢魔に斬りかかる)」


真逢魔「・・・そうか、まだ己の運命に抗うというのか。」


冬哉「運命は、お前が決めるものじゃない!(鍔迫り合い)」




【冬哉と真逢魔の死闘が続く中、アテンはただ見ているだけではなく、闘いに引き寄せられた雑魚を蹴散らしていた】


アテン「(死闘を見ながら)・・・冬哉、本当に中3なの?あんな闘い、少なくとも今日初めて剣を握ったような人間にはできないわよ・・・。」


アテン「でも、真逢魔はまだまだ余裕そうね・・・。大丈夫かしら、冬哉・・・。」


冬哉「ぐっ!(真逢魔の一撃を受け、体勢が崩れる)」


アテン「冬哉っ!」


【真逢魔はその隙を見逃さず、冬哉の首を絞める】


冬哉「し、しまっ・・・た・・・。」


真逢魔「もう終わりか?呆気ないな。さあ、汝の魂を・・・ん?」


【真逢魔が気配を察知し、振り向くと、】


アテン「はあっ!(斬撃を真逢魔に当てる。しかし効果はない)」


冬哉「アテ・・・ン!?どう・・・して!?」


アテン「・・・お願い。彼を殺さないで!」


真逢魔「ほう。どうやらお前から殺されたいようだな。」


【冬哉の首を絞める手を離し、真逢魔がアテンへと歩み寄る】


冬哉「や、やめ・・・ろ・・・!(痛みで立ち上がれない)」






【冬哉・冬哉の心意の独白】


冬哉「償うと誓った。」


冬哉の心意「護ると誓った。」


冬哉「今、ここで立ち上がらなくてどうする!?」


冬哉の心意「今、護るべきものを護るために・・・!」


冬哉「ああ。だから・・・」


冬哉・冬哉の心意「こんなところで、倒れるわけにはいかない!」





【場面は戻り、真逢魔はアテンを追い詰めた。】


真逢魔「・・・終わりだ。」


アテン「・・・くっ!(歯を食いしばる)」


冬哉「・・・・・!!!(眩い斬撃を繰り出す)」


真逢魔「ぐああっ!(斬撃を受け、倒れる)」


アテン「・・・!? と、冬哉・・・!?」


冬哉「・・・。(アテンに歩み寄る)」


アテン「冬哉・・・目が・・・!」


【冬哉の目は赫く染まっていた】


冬哉「・・・少し、借りるぞ。」


アテン「え・・・?」


【冬哉、アテンの逢断剣を手に取り、二刀流にした】


アテン「あの赫い目は・・・。間違いない。白波冬哉は・・・。」


【冬哉、真逢魔に向かってこう叫ぶ】


冬哉・冬哉の心意「・・・さあ、反撃の始まりだッ!」


アテン「最強の・・・逢魔狩り・・・!」

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