第三章 邂逅と決意

【登場人物】


白波 冬哉(しらなみ とうや):男性


本作の主人公。中学3年生。心にとあるトラウマを抱えている引きこもり。前章にて謎の少女に窮地を救われる。そして、今章にてとある『決断』を迫られる。




アテン(一部表記「???」):女性


冬哉を救い出した『神様』。『逢魔が時』について冬哉に語る。




【本編】

【『逢魔』の脅威から逃げる二人、冬哉の通う学校へとたどり着く】


冬哉「はあ、はあ、はあ・・・(息切れ)」


???「・・・何とか逃げられたようね。大丈夫?」


冬哉「これが・・・大丈夫に・・・見えるか・・・!?(息切れしながら)」


???「はいはい深呼吸深呼吸。吸って〜吐いて〜」


冬哉「・・・(深呼吸)。運動してないツケが回ってきたか・・・。」


???「どう?落ち着いた?」


冬哉「・・・もう大丈夫。それより・・・」


???「・・・?」


冬哉「君は・・・一体何者なんだ?」


アテン「あぁ、自己紹介が遅れたわね。私の名前は『アテン』。神様よ。この世界、通称『逢魔が時』の管理者ってことになってる。」


冬哉「・・・?(理解が追いつかない)」


アテン「・・・私は質問に答えた。今度は私が質問する番。じゃあ、貴方の名前は?」


冬哉「・・・冬哉。白波冬哉だ。」


アテン「白波冬哉・・・報告通り、っと。」


冬哉「『報告通り』?どういうことだ?」


アテン「・・・貴方が逢魔が時を顕現させたと報告を受け、ここに来たのよ。」


冬哉「・・・成程な。そういえば・・・その『逢魔が時』ってのは一体どういったものなんだ?」


アテン「質問が多いわね・・・。まぁそれもそうか。『逢魔が時』。それは一人一人に存在する物。逢魔が時は『心の闇』、要するに憎しみや悲しみといった負の感情に共鳴する。そして・・・それが限界値に達すると、その人の前に顕現する。んだけど・・・。」


冬哉「どうした?」


アテン「・・・貴方、奇妙な猫から何か貰った?」


冬哉「え?・・・貰ったけど・・・。確か、ポケットに・・・あった!

ってええ!?(鳥の羽が禍々しいオーラを放っている)」


アテン「(鳥の羽を見て)はぁ・・・またこの事例かぁ・・・。最近、その猫に何か手渡されて強制的に逢魔が時を顕現させられるケースが多いのよ・・・。」


冬哉「でもその猫は『己が地獄を救済しろ』って・・・。」


アテン「・・・貴方にはまだわからないのよ。逢魔が時ここの真の怖さが。」


冬哉「まさか・・・死ぬとか言わないよな・・・?」


アテン「それは『このまま何もしなければ』の話よ。貴方が助かるには・・・自身の心の闇、その親玉『真逢魔しんおうま』を討つしかない。」


冬哉「それは・・・、俺があの化け物に立ち向かうってことか!?絶対無理だろ!?俺すぐ死ぬぞ!?」


アテン「大丈夫。ここは『貴方の』逢魔が時。この世界では、意外と貴方のイメージ次第でなんとかなったりするのよ。だから、逢魔に食われそうになってた、貴方は『死にたくない』と願ったでしょう?その願いが、私を引き寄せたのよ。」


冬哉「そうだったのか・・・。」


アテン「そして、貴方にこれを。(剣を冬哉に差し出す)」


冬哉「これは・・・アテンが持ってる剣と同じもの?(剣を手に取る)」


アテン「そう。それは『逢断剣』。その名の通り、逢魔を断ち切る剣。人や神には効果はイマイチだけどね、逢魔に対しては効果抜群よ。」


冬哉「この剣で、逢魔を・・・。」


アテン「・・・真逢魔を討つ『決意』、できた?」


冬哉「(剣を強く握りしめる)・・・ああ。できた。もう自分の問題から、目を背けたくない・・・!」


冬哉「・・・必ず、逢魔が時トラウマを断ち切ってみせる!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る