16:クエスト4 ラチオの本心
ちょっとちょっと!! こんなの聞いてないって!
予告状をトランプのように投げて
「ウルセェ、オレノスキニサセロォォォォッ!!」
「何
目が覚めた。
「ハーモニーは私かリズムを守って! リズムは高いところに!」
「「オッケー」」
指示を出してから、片耳にかけたトランシーバーのようなもので、ビートに
「ラチオの弱点は?」
「……そうだな……背中から」
そう言いつつ、ビートはラチオを正面から
これは……私が後ろに行けと?
ビートからの音声を聞いていた
「
「ありがと!」
オブリガートと目線でタイミングをつかみ、私はラチオの方向に走り出す。やはりすぐに見つかり、こちらに
バァンッ!
「グォォッ」
「相手は俺だよ」
二つのハンドガンを連結させて
オブリガートは
背後についたと同時に私は背中の銃を構え、「いけっ」と背中の中心めがけて何発も
「グ、グワァァァァッ」
ドスン
「よし」
「やったな、メロディー!」
リズムとハイタッチしたその時、横からハーモニーが前に立ち、光る
「ハーモニー! ブライト・シールド!」
防がれても伝わった
「あ、ありがとう!」
「間に合った……気をつけて!」
三人でハーモニーの
「みんな、どうやらラチオには特大の一発をおみまいしてやらないとダメみたいだ」
「一人の
「ああ」
まだだと言わんばかりに、うなりながら立ち上がるラチオ。
「オレハ……プレイヤーサマノ ヨッキュウヲ ミタスダケダ……。ホカノヤツハ オレノイウコトヲ キケバイイッッ!!」
ラチオがさっきから
コートの話からでは、私たちのような現実世界からプレイする人『プレイヤー』と、プレイヤーと同じ自我を持ちゲーム世界で暮らす『アバター』は、
それならなぜ、虎帝は『自分はプレイヤーの欲求を満たすためにある』ことが分かっているのだろうか。
起き上がったラチオからまた距離を取りながら、みんなから意見を集めてみる。
「ねぇ、ラチオって何でああいうこと言ってるのかな」
うーん……と数秒間が空く。その間に、
「……
ラチオの手を攻撃しつつ、ビートがぽつぽつと言っていく。
「……今はなくなったんだけど、一年半くらい前はプロフィールのところに自己
「それに書いてあったのを、この虎帝とやらは見たっていうことか」
オブリガートがなるほど、とうなずく。
自分がこのゲームの世界に生まれてきたのは、ただのストレス発散目的だった。
しかも、プレイヤーが自分を操っている時に、記憶がない時に、他人といくつもトラブルを起こしている。
「
「むしろ、それを楽しんでるように見えるね……」
これが本当ならば、本当にかわいそうである。気の毒としかいいようがない。
私は
「アホ、メロディー危ないって!」
リズムの忠告も無視して一歩一歩と近づく。
「虎帝!」
しっかりと自分の目を見て名を呼ばれたラチオは、振り回す腕をピタッと止める。
「私の話を聞いてくれる?」
怪物と聞いて、私は先入観で戦ってしまった。ただ自分が叫びたいことを叫び続けて、欲望のままにやりたいことをやり続ける存在だと。こちらの話は通じないと。
「グゥ」
どうやら、そんなことはなさそうだ。私の言葉は届いている。
「ねぇ、虎帝は確かにプレイヤーに作られたものだよね。プレイヤーの欲求を満たすために生まれてきたんだって。虎帝が言っていたとおり」
話は聞いてくれているが、その拳は私に
「普通は自分が何のために作られたのかまでは、アバターは知らないよね」
口から黒い
「プレイヤーと同じ心だからといって、必ずしもプレイヤーの欲求に従わなくてもいいんじゃない?」
「…………」
「生まれてきた理由がどうであれ、プレイヤーはプレイヤーで、虎帝は虎帝だよ」
ラチオはより拳を強く
「オレガ シラナイアイダニ、ナゼカ テキヲ ツクッテイルカラ ムリダ……キエタクナイ」
そうだった。
「虎帝!」
コート――いや、ほぼ案内
「キミはどうしたい? プレイヤーに操られるのが
「ラックス……オレハ ケサレルノカ」
黒いフードで
「いつもなら消されるだろうけど、虎帝は消さないよ。ボクの名にかけて約束する。ただ、今後事件を起こしたら消されるかもしれないけれど」
「ソウカ……」
ラチオの目に光が宿った。
「オレヲ、モトニ モドシテクレ……」
この言葉を受け取った私は、二十メートルほど後ろで見守ってくれた四人に「いくよ!」と号令をかけた。
「……まず低音から。ビート、コア・フラッシュ」
ビートは銃から楽器の形に変えると、スラップという弾き方で小さな光の玉を量産する。シメに四本全ての
「次はうちや! リズム! エフェクト……グラント!」
体の周りにある大小様々な光る
「よし。オブリガート! アド・フォスター!」
連結したハンドガンを縦に構え、指で
サックスのような音で、大きめの光の玉をいくつも作り、ビートの『
「じゃあこれに。ハーモニー! インスピート・ワイヤー!」
ハーモニーは体を囲む鍵盤で、指が
四人の合作が、私の方へと向かってくる。
オブリガートと同じように銃口のパーツを変え、サックスの音色を放つ。
「メロディー! ノート・バースト!」
『核』へ攻撃の力を
ビートによって土台が作られ、私が攻撃力をつけ、私のものをオブリガートが強化し、リズムは全ての力を倍増させ、ハーモニーの鎖でそれらが一体となっている。
まるで一つのアンサンブルを作るように。
「いけぇぇぇぇっ!」
「グガァ……!」
ラチオは
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