第5話 冒険者ギルド
「ほーん、ここがシャウバトロー王国ねー。」
本当に自分が異世界に来た感覚がした。
だって、さっきまで夜で、部屋にいて、急に晴れてピッカピカの山の上にいて、
見えない神様と会話しだけ………
とまぁ、若干、異世界感がなかった。
でもここに来てかなりの感動に自分の口は制御出来なかった。
「ヒャッホーイ!」
と、思わず叫んでしまった。
「うげぇ、気持ち悪い。」
アカリが、スゴイ嫌そうな顔で言う。
「う、うげぇってなんだよ!まぁ、自分でも気持ち悪いとは思うけど。」
確かに気持ち悪い、てか本当に気持ち悪い。
反省します。
今度からは気を付けよ。
「そ、それじゃあ冒険者ギルドがあると思うし、行ってみようぜ。」
魔法も城もあるこの世界に冒険者ギルドがないわけなーい。
ないかもしれない?
え、えっと、あるとー、いいなー……。
いや絶対に! あると思う。(小声)
「はいはい、行きましょうねカイト様。」
「カ、カイト様言うなー!」
カイト様とか自分で言ってたけど、言われると超絶恥ずい。
「で、どこにあるか分かるの?」
アカリが首をかしげながら訊いてくる。
「そ、そうだ、町の人に訊いてみよ。」
場所は分からんし、こうするしかない。
「さっきの門番の人に訊けば良かったなー。」
ちょっとその辺の人に話しかけるのは少々怖い。
だって、剣とか持ってんよ。
「そんなの簡単でしょ?本当情けないわね。」
「じゃ、じゃあお前が訊いてみろや。」
面と向かって頼むのは自分のプライドが傷つく。
「わ、分かったわよ。」
アカリは返事をしたあと、キョロキョロし始めて、
「すみませーん、シャウバトロー王国に冒険者ギルドってありますか?」
と、その辺のエルフらしき可愛い子に話しかける。
「冒険者ギルド?あ、あそこね!私も行こうとしてたし、連れていってあげる!」
「そう?ありがとー!」
なんだか、いい感じに話はまとまったらしい。
これが、女子に対するアカリの凄いところ。
アカリはどんな女子でも一言で仲良くなっちゃうんだよな。
ま、そこしかアカリの良いとこなんてないけど。
あ、怒られる。
「で、そこのお兄さんは?」
「あー、これ?カイト。あまり近づかない方がいいよ。念のため。」
「紹介してすぐ忠告やめて!ちょっと傷つく。」
早々近づかない方がいいよなんて、言われたら悲しい。
「えーっと、私はシャルティ、よろしくねカーイト。」
あ、かわええ。
同じぐらいの年だろうか。
年齢はわりと近いと思う。
でもエルフって長生きだよな。
分からん。
「お、おう、よろしく。」
「うん、じゃっ、アカリちゃんカイト、行こっ!」
と、シャルティに手を引かれるまま連れて行かれた。
「ここだよっ!」
いかにもそれっぽい建物。
看板のようなものには字が書かれているが、読めない。
こりゃあ、空き時間に勉強だな。
「さぁさ、二人ともっ、中に入ってー!」
シャルティは、茶色のドアを開けた後、
ドンっ!と自分とアカリの背中を押した。
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