魔法のりゆう

「ずいぶんとはねてるなヨッシー」

「人の事言えるの」


 ぼくがクッキーの家に着いた時、大木君と俊恵ちゃんはもういた。

 ぼくの家がクッキーの家から一番遠かったせいか、それともふたりがめちゃくちゃ急いで来たせいなのか。たぶん、急いで来たせいだと思う。

 だって俊恵ちゃんはひざと足首の間がぬれているし、大木君は下着が見えるぐらいシャツがぬれていた。


「しかしよ、あそこまで追い込まれてるとはな……」

「関係ないと言われても、最後まであきらめないから!」


 クッキーから、お母さんがお父さんに別れようと言い出したって聞いた時はねむけがいっきょになくなった。

 そして、たぶんこの事を一番のぞんでいた新太郎君と由美子さんにこのことについて聞かなきゃいけないと思った。


「はらしんはいると思うか」

「わからないわよ、でも止めなきゃいけない!」


 ぼくが代表のつもりでチャイムを押したけど、反応はない。大木君がまだるっこしいとか言いながらドアノブをその太いうでで回そうとすると、ドアはあっさりと開いた。

 バランスをくずしながらクッキーの家に入りこむ大木君をむかえたのは、浅野治郎さんでも浅野三郎さんでも、クッキーでもなかった。



「由美さん……!?」

「ええ?」


 由美さんと新太郎君がここに来てるかもしれない、いや来てるだろう。ぼくらは口には出さないけどみんなそう思っていた、そしてクッキーの家の中にいたのは、由美さんに似た若い女の人。まちがいなく、泰子さんじゃない。


 でも由美さんほど若くは見えない、30才ぐらいだろうか。


「あなたは?」

「私は、浅野茶子。チャコって呼んでくれたらいいなって」

「治郎さんの、妹ですか?」

「ちがうよ!」

「じゃあ誰なの!良晴君!知ってるの!」


 俊恵ちゃんが体をふるわせながら、チャコさんって名乗った女の人に呼びかける。確かに、治郎さんの妹なら30才ぐらいかもしれない。でもクッキーのお母さんは治郎さんは一人っ子だって言ってた。だからぼくがすぐさま治郎さんの妹じゃないよって言うと、俊恵ちゃんは次にぼくに食ってかかって来た。


 たぶん、三郎さんと同じように魔法で新太郎君が作り出した人なんだろう。

 でもあくまでも、クッキーのお母さんには男の兄弟しかいない。そして治郎さんは一人っ子で、三郎さんはクッキーのお母さんの弟。クッキーのお母さんが言ってたことを、ウソにしたくなかった。


 だからついちがうよって言っちゃったけど、じゃいったい誰のつもりなんだろう。

「私は原新太郎君に作られたの」

 とか思ってるとあっさりそう言われちゃって、さすがに今度はおどろいた。またなのとか思った方がいいのかもしれないけど、それより先におどろいてしまった。



 このチャコさんって言うクッキーのお母さんを少し若くした感じの女の人は、はっきりと自分が魔法により作られた存在だってわかっているし、その事を実際に言ってくれた。浅野三郎さんはそんな事を言ってない。


 ぼくらが聞いてないだけとも言うけどあるいは三郎さんもその事をわかってないのかもしれない。その事がぼくをおどろかせ、だまらせたんだろうか。


「……なぜ?」

「泰子さんは、まもなく離婚する。この家を出て行く、その代わりに私が悠太くんのママになる。そして治郎さんと三郎さんの妻にも」

「意味がわからねえよ!」

「そして3人は私、浅野チャコが守る。泰子さんには本人の希望通りのびのびと別の人生を歩いてもらうから」


 三郎さんはクッキーのお母さんを別れさせるために作られ、そしてこのチャコさんって人はその後の治郎さんと三郎さんとクッキーのために作られたって言うのか。


「なんか、あまりにも都合が良すぎないですか!」

「そうかもね、でも私はそのためにいるんだから」

「クッキーのおふくろさんを家から追い出して、その後どうするんだよ!」

「私がずっと守り続ける、そのためにいるんだから」

「それって乗っ取りじゃないの!」

「泰子さんがまた戻りたいって言うなら、私はすぐに返すつもり。その後は家政婦にでもなって、泰子さんがもう嫌だって言う時にすきまを埋めてあげる。私はあくまでもそういう存在なの」


 ぼくらがどんなにきびしく質問しても、チャコさんの言う事はまるで変わらない。  

 ロボットかゲームのキャラクターのように同じことを何回もくり返す。

 意志がかたいとか言えばカッコよく聞こえるけど、新太郎君によってそれをする事が当然だと考えさせられているとするとかわいそうにも聞こえて来る。


「クッキーのお母さんはどこですか!」

「泰子さんはそこにいるけど」


 チャコさんが顔を向けた先には、クッキーのお母さんがテーブルに向けてぐったりたおれ込んでいた。

 向かいには由美さん、おくには新太郎君がすわっている。2人の顔は、いつもとまるで変わらない。


「今日は日曜日だろ、治郎さんと三郎さんは」

「三郎さんは取材と称していつもの古本屋めぐり、治郎さんは出張中で帰って来るのはあさってよ」

「そんなんで何の話ができるって言うんだよ!」

「決断は早いに越した事はない、そう新太郎君は言ってた」

「でも、飛び出し注意って言うじゃない、速く出すぎて車にひかれて死んじゃうのは嫌だよ!」


 雨の中、急いで走って来たけどおうだん歩道の信号だけは守って来たつもりだ。自動車にひかれたりはねられたりし死んじゃうのは嫌だから、それだけは守って来た。だからその時は雨が冷たくて仕方がなくて、早く信号が変わればいいのにって思いながら、おしっこに行きたい訳でもないのに足ぶみをしてた。

 治郎さんも三郎さんもいないのにこんなに話を進めるだなんて、信号が赤なのに出て行くようなもんじゃないか!


「これ以上放置したら、本当に取り返しのつかない事になる。今は黄色信号だけど、赤信号じゃないの」

「でも」

「さっきからあなたたち、クッキーのお母さんクッキーのお母さんってばっかり言ってるでしょ、浅野泰子さんって名前を一度も呼んでないじゃない。

 私がもし、泰子さんに代わってクッキーこと浅野悠太君のお母さんになったら、またクッキーのお母さんって言うんでしょ?そういうのに泰子さんはイライラしてたの、私はこれまでずっと浅野泰子だったのにってね」


 ぼくのお母さんの名前は小堺忍、でもその名前で呼ばれることはほとんどない。

 ぼくといっしょにいる時はいつも「良晴君のお母さん」で、家族いっしょになると「小堺さんのおくさん」。


「じゃ何だよ、オレたちが泰子さんってよんでりゃよかったって言うのかよ!」


「そうじゃないの!」


 ここで、泰子さんが顔を上げた。顔はめちゃくちゃで、顔からなみだがあふれ出てる。こんなにつらくて、弱そうで、そして苦しそうな泰子さんをぼくは見た事がない。

 まあ泰子さんの顔を本気で見た事ってあまりないけど、それでもひどい顔だってのはよくわかる。それにくらべて新太郎君と由美子さんは、まったくいつも通りだった。


「私はね、ずっとずっと不満を抱えてた、もっと私の事をかえりみて欲しかった!」

「でもこの前みたいに、ぼくらがかってにやった事とは言え頭ごなしにどなるのは」

「あれは私も反省してるから、本当にごめんなさい!でも私も、このまま家の中だけでずーっと過ごすのは嫌になったの!」


「だからボクらは、その不満を解消してあげようと思った。全てはその目的を成就させるために三郎さんを作り、茶子さんを作った」


 ここで初めて、新太郎君が口を開いた。由美子さんもだまってうなずいている。

 いつものようにやたら回りくどいしゃべり方で、さらっとものすごい事を言っている。

 新太郎君にとってはまったくふつうの事であり、おどろいているぼくたちの方がむしろおかしいんだろうか。


 あるいはテスト前のお勉強をするように、こうなる事をあらかじめ予想していたからこんなに落ち着いてるんだろうか。


「でもさ、他に方法はなかったのかよ!」

「あまりにも長すぎる、こんこんと湧き出る水のごとく、汲んでも汲んでも枯れる事のない不満……」

「新太郎やみんなにも話してたぐらいだからね、もうこのままじゃどうにもならないと思ってね」


 クッキーとは、一年生のころからずっといっしょだった、もちろん泰子さんとも。でもそれが今年あたりからずいぶんと元気がなくて、ぼくらにもあれこれとぐちを言ってた。

 それでたまにこの前みたいに大きなどなり声をあげたり、急におちこんだりしてた。


「泰子さん、それでいいんですか!」

「俊恵ちゃん、あなたも大変なんでしょう、お兄さんの事」

「ええ!成績がいいのをいい事に家の中ではぐうたらぐうたらゲームばっかり、まじめにやりなさいって言ってもやるのは勉強ばかりで、後はほとんどなーんにもしないで私任せ!やればできるのにやらないでずっと家の中に引きこもり!このままじゃ確実にメタボになって生活習慣病になって苦しむってのにまるでわかってなくて!」

「落ち着けよしゅん」

「だから毎週土曜日はクッキーたちといっしょに外で遊んでるの、そうでもしないと私までまきこまれちゃうから!」

「俊恵ちゃんにはそれがある、ところが泰子さんにはそれがない」


 ぼくのお母さんは、たまに大木君や俊恵ちゃんのお母さん、それから由美子さんといっしょになんか遊んでる。でもそういう所に泰子さんは来ていないらしい。

 ぼくらがついでに行く事があっても、泰子さんは来なかった。クッキーだけが来て、一人で家まで帰ったりぼくらが家まで送ったりとかって事がよくあった。俊恵ちゃんのお母さんもあまり来ないらしいけど、それはお仕事の関係だそうだ。


「そうなのよ、お仕事お仕事ってそればっかり!それで最近はそうやって手のかかる人が2人に増えて、もうヘトヘトになっちゃって…………」

「お前が増やしたんだろはらしん、何か言う事はないのか!」

「これで治郎さんとの生活にも安心して見切りが付けられる……」

「見切りを付けさせるために、そんな事したわけ!」

「ああ」


「このやろう!」

「おっと」


 大木君が右手のこぶしを突き出し、新太郎君をなぐりにかかった。でも新太郎君はふだんとはまるでちがう動きで大木君のパンチをかわし、そして大木君のひたいを右手の親指で軽くはじいた。いわゆるデコピンってやつだ。

 いつも外遊びでも体育のじゅぎょうでも大木君にかなわない新太郎君のすがたは、ここにはない。


「少しでも未練が残っていると、新たなる一歩を踏み出す事なんてできない……だからいっその事すべてを壊そうと思った」

「でもクッキーはさ、治郎さんたちになついてるんだよね、そんなんで泰子さんが別れちゃったらどうなるの!」

「あきらめてもらわないといけない、新しい人生を送るためには、古い生活を最大限に懐かしむクッキーの存在は不要、いやマイナスになるからね」

「泰子さんは、治郎さんはともかくクッキーは大事に思ってるんだよね!それをうばってる事は何も変わらないよ!」

「でも自分をさんざん苦労させ、疲れさせてきた治郎さんの子どもだとも言える。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いと言うけど、ある意味で治郎さんの分身のような存在と一緒にいて果たして泰子さんは幸せかな?」


 由美さんは、だまってすわっているだけで何にも言わない。まるで新太郎君のいう事が当たり前だって言ってるような感じで、新太郎君よりずっと存在感があった。ぼくらが由美さんの方を見ていると、だんだんと由美さんが大きくなって行くような気がする。 


 そして、泰子さんもやっぱりなんにも言わない。なんにも言わないで、ただボーッと新太郎君の方を見てる。

 いや、泰子さんが顔を向けてる先に新太郎君の顔があるだけでとくにだれを見たいって訳でもないんだろう。泣く事さえしないで、ただボーッとしてる。お人形さんみたいだ。


「泰子さんに、ファミリーレストランでの仕事をさせたのも……」

「私よ。ちょっと一週間ほどためしにやってみたらって勧めたの。そしたらずいぶんといきいきしてて」

「ちょっとヨッシー、お前見たのかよ!」

「うん」

「だから別れたらしばらくはそれでご飯を食べてもらう。その間にまた新しい人生の道を探して欲しいの」

「こんな状態のおばさんに何ができるんだよ!」

「これまでずっと家の中に籠っていたんだから、しばらくは外で働いていてもいいじゃないの。それでもし焼け木杭に火が付いたら、つまりまた治郎さんたちとやり直したいって事になったらそれでいいの」

「その様子だと、家も用意してあるんでしょうね!」

「うん、職場から歩いて15分ぐらいの所の小さなマンションを」



 まったく、スキがない。


 このまま別れちゃうにしても、あるいはもう一回やり直すにしても、しっかりとその間の事まで考えている。新太郎君のテストやお勉強のように、何があっても外す事はない。


「でもよ、気に入らねえ事をお互い好き放題ぶつけあえば何とかなるんじゃねえか、オレんちみたいに」

「それで解決できるのは、何ヶ月に1回とか言う単位で定期的にそれをやってるから」

「数年以上の不満をいっぺんに吐き出せば、大爆発して何も残らなくなる。母さんだって」

「うん、ちょっとうちの人に不満があってね、節分の時に豆を全力でぶつけちゃって、その後最近娘に対してコンプレックス抱きすぎじゃないって言っちゃってね」

「やめてくださいよ、ぼくの家なんて何年もケンカしてないのに!」

「見てないだけとも言う、でなければいずれこうなる」


 もし大木君の家のようにそれをやらなかったせいで家族がダメになっちゃうって言うのならば、ぼくの家もダメになっちゃうんだろうか。

 でもそれは、いったい誰がわるいんだろうか。たぶん、治郎さんと泰子さんなんだろう。たぶん。やるべき事をやらなかったから、こんなことになっちゃったって事なんだろうか。要するに、テスト前に全く勉強をしなかったから0点を取っちゃうような物なんだろうか。たしかにそれは自分のせいかもしれないけど、だからと言ってここまでとも思う。


 と言っても、新太郎君やぼくらのようなよその家の人にどれだけ止められるんだろうか。もちろん、ぼくらはその事を止めに来たはずなんだけれど、いざこうなってみると自信がなくなって来る。何せ、その方向に進めようとしている新太郎君と由美子さんがあまりにも自信いっぱいすぎてせっとくできる気がしない。

 その上ケンカでも勝てない、だって大木君が勝てないのにぼくらがかなうはずもないから。


「で、でも……ぼくらは、クッキーの……あっ!」

「そうだよ、クッキーはどうしたんだよ!」


 そして一番大事な事のはずなのに、そう言えば今までまったく頭にうかんでこなかった。どうしてなんだろう、いろんなありえない事が起こりすぎてクッキーの事を考える事すらできなかったって言うの!

 お母さんがこんな事になってるのに、クッキーはいったいどこで何をしてるんだ!


「悠太君はねえ、寝てるわ」

「ねかせたんだろ!」

「だから悠太君は今寝てるの、起きたら全ての問題は解決してるから」

「魔法の力で眠らせたんですか、それじゃ電話をしたのは」


「私よ、声を変えるぐらいなら簡単だから。ほらこの通り」


 由美子さんの口から出た声は、クッキーそっくりだった。目を閉じて聞くと、もうそこにクッキーがいるようにしか思えない。

 もしかしてぼくと大木君と俊恵ちゃん、3人いっぺんに電話をかけたのかもしれない。魔法なら、そういう事もできるのかもしれない。


「ちょっと、泰子さんとチャコさんは正直似てないわよ!」

「似せるのは簡単だ」


 新太郎君が何かつぶやきながら親指を鳴らすと、たちまちチャコさんは泰子さんそっくりになった。服がちがうからわかるけど、顔も体型もほとんど変わらない。治郎さんと三郎さん以上にそっくりで、正直気持ちわるい。今から思うとぼくの知ってる治郎さんに比べ、三郎さんは色白でちょっとやせ気味、それから目が少し細かった。そういう細かいちがいすら、ない。まあ表情はずいぶんいきいきしてるのとボーッとしてるのでちがうけど、それ以外は……えっと……。


「なんかすっごーい」

「泰子さん!」

「本当に私そっくり、本当に新太郎君も由美さんもすごいんだなーって」

「あのー……」

「いやー、魔法って本当にあるんだなーって、私感動しちゃったー」


 ぼくらがチャコさんと泰子さんのちがいを探してると、泰子さんがいきなりずいぶんと楽しそうにわらった。いつもの泰子さんとまったくちがう、まるでぼくらと同じようなわらいかた。


「おい!」

「大丈夫だ、ストレスが頂点に達し今それを吐き出している最中だ、吐き出し切れば問題ない、約束する!」

「そういう事だから、たまにはこうやって弾けないとダメなの」

「にしたって、今の泰子さんはまるで子どもみたいになっちゃってるよ!こんなのをクッキーが見たらどう思うかわかってるの!」

「見る事はないわよ、寝てるんだから」

「……それが友だちのすること?」

「おや」

「おやじゃないわよ!友だちならば2人をなかよくしてもらうために何とかするもんでしょ!あんたらはさっきから別れさせよう別れさせようとして!」

「仲良くできると思えばしていた、でもいろいろ判断した結果、もう当分の間引き離さないと誰も幸せになれない段階にあると思った。だからボクはこうしてそういう方向に動いた」

「お前はクッキーの友だちじゃねえよ!」

「私だって絶交よ!」

「別にそれでもいいけど。いや何なら今後何かあったら全部ボクのせいにしてくれてもボクはいっこうに構わない」


 どんなに大木君や俊恵ちゃんに迫られても、新太郎君の顔は、まったく変わらないまんま。

 そしてその新太郎君の右のかたに手をおく由美さんの顔は、自信と満足でいっぱいだった。文句があるなら言ってみれば、何かそんな言葉が由美さんの口から聞こえて来そうだった。

 それでやたらはしゃいでいる泰子さんをのぞいて、ぼくをふくめだれも何も言わないまま時計だけが動き、やがて大木君が体と口をふるえさせながらようやく口を開いた。


「ウィズレッド……」

「こんな時にウィズレンジャーの話なんかしないで!」

「ちげえよ、はらしんのやつこの前の話のウィズレッドみたいにかくご決めてる、何と言われようと知った事か!ってかんじでさ」


 ぼくは大木君が言ってるこの前の話ってのは知らないけど、なんとなく大木君の言いたい事はわかる。

 この先、ぼくらがどんなに自分たちの事をきらいになっても仕方がない、自分たちの目的を達成するためならばかまわないって感じ。開き直ってるって言うか、これが本気でクッキーたちのためになるって新太郎君は信じてるんだ。


「…………でも……」

「でも?」

「そういうのって、やっぱりなんかちがうような……」

「どう違うのか説明して欲しい」

「いやその、他に方法はないのかなーって……」

「これまでの挙動を見ていて、もはや限界だと思った。さっき言ったようにね」


 大木君も、俊恵ちゃんも、カンペキに新太郎君に負けている。魔法とかそういう話じゃない、新太郎君のかくごに負けている。


 でも、ぼくはあきらめたくない。新太郎君たちの言う事の方が正しいかもしれないけど、それでもぼくはクッキーのお父さんとお母さんを助けたい、できればこのまんまで。





「ぼくも、それはよくないと思う」

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