第3話

 コボルトダンジョンに潜り始めてから4日が経った。


 あれかられベルアップを繰り返し、その度に快感と幸福感を味わった俺は、モンスターを狩ることに夢中になった。


 今までの生活の影響で、1日1時間しか睡眠できない俺は、使える時間全てをモンスターの討伐に充てた。


 モンスターを狩り、狩ったら喰らい、魔石を取り出す。その繰り返し。


 その結果、たった4日にも関わらず俺は飛躍的な成長を遂げた。

 今のステータスはこうなっている。


 葛川 流星

 レベル30

 攻撃 80

 防御 140

 敏捷 100

 魔力 150

 ポイント 150

 ユニークスキル 

 【努力】 【暴食】

 スキル

 【ステータス】 【剣術・6】 【睡眠回復】

 

 まず新たに睡眠回復というスキルを手に入れた。

 

 【睡眠回復】

 ・睡眠によって体力、魔力を大きく回復させる

 ・睡眠時間が短縮される


 という効果になっている。


 これによって1時間の睡眠でも十分以上に疲労を回復できるようになり、ダンジョンの探索にもより力が入るようになった。


 更に剣術スキルのレベルが上がり、6になった。


 剣術スキルはレベル5の時点でかなり有用で、自分の実力以上の力とを出すことができた。それがレベル6になったことで更に上手く剣を扱えるようになり、意識せずとも自然と体が動くようになったのだ。これによって、モンスター討伐の効率が上がった。


 魔力の値が急激に上昇したのは暴食スキルの効果だ。

 俺はモンスターを討伐したらすぐに捕食するようにしていたためモンスターの持っていた魔力が俺の魔力へと変換されたのだ。そのため、どの能力値よりも魔力の値が伸びた。


 能力値といえば、能力値の上昇の規則性に目星がついた。


 レベルアップしたときに能力値もそれに合わせて上昇するのだが、その上がり方にムラがあったように感じていたのだ。そこで、毎回レベルアップと同時に能力値の上昇の仕方を見ていたのだが、どうやら能力値はレベルアップするまでに酷使した能力ほど上昇しやすい傾向にあるようなのだ。敵に攻撃を仕掛ければ攻撃力が上昇し、敵の攻撃を受ければ防御力が上昇する、といったように、使った分だけ能力値は上昇するのだと思う。


 【ステータス】を入手した際、防御力が一番高かったのは、俺がモンスターの攻撃を受けまくっていたからだろう。


 そう考えれば、俺の考えた能力値上昇の規則性にも信憑性が生まれる。そのため、

俺は能力値の上昇の仕方をそう定義付けた。


 能力値も大きく上昇し、レベルはDランク相当まで上がった。


 もうすでにコボルトでは相手にならないため、このダンジョンを踏破しようと考えていた。


 ダンジョンには例外なくボスモンスターーが存在する。ボスモンスターはダンジョンの主人のような存在で、ボスモンスターを討伐することで、ダンジョンの踏破者として認められることになる。また、ボスモンスターのドロップアイテムは売却すれば高価になる場合が多い。そのため、俺はこれからボスモンスターに挑もうとしているのだ。単純に力試しという側面もある。


 だが、ボスモンスターに挑む前に、解決しておきたいことがある。


 それはステータス画面に表示されるポイントについてだ。今まではレベル上げに夢中になっていたため、思考から除外されていたのだ。 


 【ステータス】の説明では「ポイントを割り振って能力値を強化できる」とある。

 試しにステータス画面の攻撃の部分に触れてみる。


 すると、攻撃の値が1上昇し、ポイントが1減少していた。防御や敏捷の部分に触れても同じような現象が起きたため、説明通り能力値を強化できるのだろう。


 俺はこのスキルの強さに戦慄していた。


 レベルアップによって得られるポイントは一律5ポイントで決まっている。

 つまりレベルアップによる能力値上昇とは別に、能力値を合計で5上昇させることができるのだ。

 同じレベルの人間と戦った時、このスキルを持っている者はポイントで強化した分能力値で有位に立てる。場合によってはレベルが上の相手と戦っても勝つことができるだろう。

 このスキルを入手できて本当に良かったと心から思いながらポイントを割り振っていく。


 葛川 流星

 レベル30

 攻撃 130

 防御 190

 敏捷 150

 魔力 150

 ポイント 0

 ユニークスキル

 【努力】 【暴食】

 スキル

 【ステータス】 【剣術・6】 【睡眠回復】


 ポイントは攻撃、防御、敏捷にそれぞれ50ずつ割り振った。

 魔力は暴食の効果でレベルアップせずとも強化できるため、割り振らなくても良いと考えた。


 能力知的にはもはやレベル30を大きく超えていると思う。


 これならばボスモンスターにも負けることはないだろう。

 覚悟を決めて、歩き始める。

 俺は今日、初めてボスモンスターに挑む。

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る