第4話 恵子(周治)
一番最初に拾われたのは、池袋の恵子という女だった。
32歳の彼女は、職場ではいわゆる「いき遅れたOL」だった。
独身女性ということで、同年代の既婚女性に比べれば、容姿も若く、所帯染みたところもなく、ハツラツとしてエネルギッシュな印象を受ける女性に、客観的には見えるように彼女は仮面を被っていた。
恵子は某建築会社の住宅展示場の主任を務めていた。着ているものもセンスがよく、しっかりと独立した、現代風な女性に見える。
しかし、拾われた当日、いざベットに入って見ると、彼女にの乱れ方は尋常じゃなかった。
しっかりとした、社会的身分を確立するために日々神経を擦り減らし、洗練された外見の裏には、多大なストレスと、欲望、寂しさが詰まっていた。
自分の半分の年齢とも知らずに、彼女はベット上で僕の性を貪った。
僕の性器をとことんまで使い、行為はどんどんとエスカレートして行った。
僕は彼女の望みを叶えた。彼女の性器を口に含むことも、尿を浴びたり、アナルプレイでも、SMでも、バイブプレイでも、彼女が望むことはなんでもした。
恵子は僕を犬ころのように扱うことを好んだ。
仕事から帰るなり、いきなりスカートをたくし上げて、自ら僕の性器を挿入したり、脱ぎたてのストッキングを僕に口に押し込んだりした。
僕は彼女の求めに素直に従う。
恵子がいつも望んでいたのは、「常に新鮮なセックス」だった。あらゆるプレイを試すだけでは満足できず、常に新しい気持ちで、プレイすることを望んだ。
彼女が望むように、僕は、毎回恥ずかしさそうな、童貞を捨てたときのような感動の演技をして、快楽の波が押し寄せてきた時は、獣のように吠えた。
恵子もまた僕の名を叫ぶ「周治、周治」と。
彼女とはたった一ヶ月の付き合いだった。彼女はヤリすぎて、頭がおかしくなりそうになっていた。仕事をしていても、何をしていても、考えるのは僕とのプレイのことばかりになり、仕事でのミスが連発していた。その仕事のストレスをまた僕にぶつけ、どんどんとプレイにハマっていく。
次第に仕事を休みがちになり、毎日朝から晩までセックスをするようになった。
たまに食料を買いに外に出ても、外出先であっても、恵子の性器は濡れっぱなしで、店のトイレや公園、さらには深夜の誰も通らない歩道橋の上で僕に挿入させた。
ハツラツとした表情は曇り、目から輝きは失せ、口はだらしなく開かれ、ボーとすることが多くなった。
恵子に飼われて一ヶ月で、彼女は婚姻届を僕に渡してきた。すでに彼女の側は。記入が済んでおり、印も押してある。
僕は黙ってその紙を受け取り、「森山周治」という名前を書き、友人に保証人になってもらうという口実で100円ショップに行き、印鑑を買って、押印し、保証人の欄は字体を変えて適当な名前を記入し、住所も本籍もデタラメを書いた。
さらに念のために、ティッシュで指紋を綺麗に拭き取っておいた。
彼女が本当に役所に提出しないとも限らない。出したところで、大した問題にはならないだろう。なんせ僕は偽名の前に、法律上結婚できる歳ではない。
僕は、彼女のマンションの郵便受にその用紙を投函し、もう二度とそこには戻らなかった。
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