私がミステリを書かない理由
ミステリを書かない理由。
いや、正確には「書けない」のです。書きたくても、書けないのです。
それは、私がどのような姿勢で小説を書いているのかに繋がるものでもある。だから、これはプチ創作論だ。
では、なぜミステリを書か(書け)ないのか。
偏見込みのその理由は、こんな感じ。
【ノリで話を変更できないから。ゴールとイベントが確定されてしまって、融通が利かないから】
わかりやすく言うと、私は自分でもキャラクターのやり取りを楽しみたいんです。
抽象的な方針以外に、厳密にイベントを決めたくない。
例えば、「帰り道」シリーズ第一部の、「アルモの街」「グロスインゼルの街」編はもともとはなかった話です。あれは、ただただ勇者君とルラの会話を書きたいがためにいれた単話です。
あるいは、「百花繚乱」シリーズの短編もぼちぼち投稿していますが、あれに関しても、もともとはなかった話です。後に控えている物語のための、ほんの導入として、なんとなく思いついた話を投稿しているんです。「電信柱の話」も、「古代に触れた」もそうです。
私の話は思いつき八割、プロット二割(ひどいときは9:1)みたいな感じでできています。だから、「ああ、そういう感じになるのね」と、発見しながら書いているんです。
よくキャラクターが勝手に動いて、作者はそれを文字化するだけという理論がありますけど、私の場合はその割合がとても高いです。
話の統一性の無さと、字数の多さはそういうところから出て来ているのでしょう。
もちろん、それがよいとは言いません。
緩やかに方針だけ決めるこのやり方では、例えばこんなことが起こります。
・同名キャラ。さすがに姓や漢字まで一緒ということは少ないけれど……。
・学年の間違い。
……書いている途中で、「待て、お前高2じゃなくて高3じゃね?」みたいなことが起こる事があります。
・年齢の間違い。
……書いている途中で、「お前早生まれだな!(カミナリ風)」ということが起こります。
・学年と年齢の不一致。
……上ふたつの間違いが最悪な状態まで行くとこうなります。大抵お蔵入りになります。
・フェードアウト。段々登場しなくなるキャラが現れる。
……百花繚乱シリーズ「不在の証明」でちょっとだけ出てきた、八子五男の楓梧くん。彼は原話ではしばらく登場しない期間がありました(最初の話で出ててから、次に出てくるまで四年以上かかった)。
・口癖など、キャラの特徴が消失する。
……忘れるからです。酷い時はアイデンティティが消失(再規定)することも。
などなど。
さて、そんな人がミステリを書けるのかと。
途中で、コノヒトガハンニンノホウガオモシロクネ? と犯人を変更しかねない人間が、書けるのかと。
逆算して書くのを嫌い、キャラクターにとりあえず会話させるのを楽しむような(変態)作者が、書けるのか、と。
書ける人もいるかもしれません。
が、少なくとも、私は無理です。
多分今書いても、犯人未確定バトルロワイヤル小説になると思います。あるいは事件とは関係のないやりとりばかりになって、あれこれミステリだっけ? みたいな感じになるかと。
そんなものを投稿した日には死にたくなるでしょうね。
だから、どんなに小さな物語であっても、ミステリを書ける人を本当に尊敬します。犯人、トリック、動機、それを大事にできる人を、本当に尊敬します。
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