第672話 罠作製
罠としてイメージが浮かぶのは、音を鳴らして不審者の接近を知らせるものや、あとは害獣を捕獲する用のものだ。
迷宮型のダンジョンだと設置型の罠は目立つしあまり効果がないかもしれないが、隠蔽のスキルと組み合わせることで多少は誤魔化せるかもしれない。
あとは罠と魔法スキルを組み合わせることで、そこに触れたら魔法が発動するというものを作製することが出来ることも分かった。
「とりあえず接近を告げるような
「動きを止める、もしくは阻害してくれるものがいいと思います」
就寝中なら、その間に起こして準備をする時間を稼げるか。
「鬼人を倒すほどの強力なものは無理だろ? それならクリスの言う通り時間稼ぎ用の罠が一番効果的なんじゃないか?」
ギルフォードの言う通り、倒すどころかダメージを与えることが出来るものも作るのは難しいだろう。
罠のレベルが低いのもあるけど、そもそもクリスの精霊魔法の直撃を受けても殆どダメージがない相手だから俺の手持ちの魔法でもダメージを与えるのは難しい。
そうなると設置型の罠に魔法を使うなら時空魔法や重力魔法あたりが良さそうか?
拘束系の罠だと素材がないから作れないか。木材はあるけど、蔓とかは集めていなかったからな。
まあ、今回は鳴子と魔法で作ればいいか。
メインは間違いなく鳴子になりそうだ。
ただ罠を仕掛けても問題はある。
例えば先ほどのような姿を消す鬼人が、それこそ弓矢などの遠距離武器を持っていた場合だ。
矢に反応してそれを防ぐなんてものはさすがに作れない。
やはり寝る時は周囲に罠を設置して、あとはアースウォールで防壁を作るとかした方がいいかな?
迷宮の床が土とかだったらそれを利用して普通に防壁を作れたんだけどな……いや、木材を組んで板のようなものを作って、魔力で強化すればいいのか?
そんなことを考えながら罠作りは続く。
罠は薄い木材に魔石を溶け込ませて、そこに魔法を付与して作っていく。
それを数作って、寝る前にその板を敷く感じだ。
鳴子は二種類用意し、一つは目立つように、もう一つは隠蔽のスキルを付与した目立たないものを用意する。
その罠作りが終わったら、木の板を作っていく。
厚みを持たせて作ったが、破壊されることを考慮してこちらも多めに作る。魔力で強化しているけど、元の素材は木だからな。
それと壁で覆うと視界が遮られて周囲の状況が分からなくなるけど、ここは不意打ちを防ぐのを優先した。一番怖いのはそれだから。
一応ヒカリたち探知系のスキル持ちがいるから、視界は妨げられてもある程度は接近が分かるだろうということも考慮している。俺もⅯAPを使って確認するしね。
「準備としてはこのぐらいかな?」
「いや、十分過ぎるだろう。それで今の周囲の状況はどんなもんだ?」
「さっきの戦闘で近付いてきていた反応があったけど、今は引き返していってる。だから周囲には鬼人がいないよ。あくまで俺が分かる範囲で、だけど」
どうしても不意打ちの衝撃が抜けきれず、そんな言葉を返してしまう。
あんなのがあれば、確かにここで狩りをする人がいなくなっても不思議ではない。
問題はあんな姿や反応を消す魔眼持ちが、どれぐらいの頻度で現れるかだけど。
「……なら今日はここで休まねえか? あまり戦ってはないけど精神的に疲れたしよ。ソラも色々作ったし、そうだな。少し話し合いもしたいからな」
それはもしかしたら俺を休ませるための方便だったかもしれない。
俺はアルゴの提案に従うことにして、周囲に罠を設置すると、早速通路を塞ぐように壁を設置した。
何も知らない人が見たら、行き止まりだと思うに違いない。
外壁の色もしっかりダンジョンの壁に合わせてあるからな。
これで鬼人も騙すことが出来ればいいが、何処まで効果があるかはまだまだ未知数だ。
何事もなく一夜を過ごすことが出来た。
ダンジョン内で時間が分かるかって?
それは優秀な時間感覚の持ち主がいるから大丈夫だ。
朝食を食べ終えると、壁を回収し、罠を回収する。
もちろんその間も警戒は怠らない。
「どうせ人がいないなら、進むごとに魔法でも打ち込めばいいのかもしれないな」
罠を回収しているとそんなアルゴの言葉が聞こえてきた。
それもありかなと思ったが、結局は没になった。
角を曲がるごとに魔法を撃っていたら魔力が持たないということと、あとは魔法を撃ったことで気が緩んでしまうことがあるかもしれないからということだ。
「その辺りの対処は進みながら考えるしかないな」
ギルフォードはため息混じりに言った。
いい対処方法があればいいけど、残念ながら俺には思い浮かばない。
移動中は結界のシールドを切らさないように注意することぐらいかな? 俺が出来ることといえば。
ミアも補助魔法をかけているようだしな。
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