第664話 ズィリャダンジョン・27
ズィリャダンジョン九階。時間を置いたからなのか、この二日間で魔物の配置が大きく変わっていた。
また外周部近くにあった反応が、階段の方に近付いているのも見えた。
近付いているといっても、歩けばまだ三日以上はかかりそうだけど。かなり入り組んだところを通らないとあの人たちは帰って来られそうもない。
「うし、気合を入れていくか!」
俺がMAPに表示された情報を伝えると、アルゴがパチンと頬を叩いた。
充実した二日間を過ごせたからなのか、ロードの売り上げを渡したからなのは分からないけど言葉通り気合が入っている。
いや、アルゴたちはそもそもお金には困っていなさそうだから前者か?
もっともリフレッシュ出来たのは俺たちもだから、軽い足取りでダンジョンを進んで行く。
俺? 俺はいつも通りだ。
歩いていると疲れないし、心も落ち着いている。
最初に遭遇したのはゴブリン。数は五体だけだ。
いつもなら俺かクリスの魔法で焼き尽くすが、今回は準備運動も兼ねて接近戦で戦うことになった。
といっても全員が戦えるわけではないから、今回は俺たちのパーティーで戦うことになった。
相手はゴブリンだから、大して苦戦することなく倒したけど。
ただここのゴブリンも野良で遭遇するゴブリンと比べると力も速度もある。
きっとダンジョン仕様になっているのだろうと思うけど、それでもゴブリンはゴブリンだ。
時々野良で会うゴブリンも強い時はあるけど、ここまで強くはない。
次に遭遇したのはオーク三体で、それはアルゴたちが倒した。
体のキレが凄い。
昨日戻ってきた時には二日酔いでうなされていた人と同一人物だとは思えない。
「その辺はもうコントロール出来るようになったからな。ソラもこの先飲むようになるなら慣れておいた方がいいぞ? なんなら教えるぞ?」
なんて言われた。
今のところ飲もうとは思わないから話半分に聞いておくことにした。
実際飲むようになったら相談するといった感じかな?
きっと神様探しが終わるまではそんな機会はないだろうけど。
結局この日、さらにデーモンとオーガとも戦い、合計三七体を討伐した。
これで残り約五〇体だ。
悪くないペースだ。
ただ通常個体に交じって、普通に上位種も出てきたのは相変わらずだ。
さすがにキングやロードとは遭遇しなかったけど。
翌日もMAPを見て魔物の反応を探し、人がいないところを出来るだけ通っていく。
魔物が現れたら倒すこと優先で、遠距離で仕留める。
「残り四体か……シャマルの角笛を使うか?」
魔物を呼ぶことが出来るシャマルの角笛の残り回数は四回。
一度に呼ぶことが出来る魔物の数はランダムだから、例え全て一を引いても目標討伐数には届く。
「ソラがそういうってことは遠いのか?」
アルゴの問い掛けに頷く。
しかもその近辺で活動しているパーティーがいるから、狩りに向かっても狩られてしまう可能性もある。
「……とりあえず一回使ってみるか?」
アルゴが皆の顔を見回して尋ねた。
反対意見が上がらないためヒカリが笛を吹いた。
出てきた魔物の数は三体。出てきた魔物はデーモン二体にオークジェネラル一体だった。
まずはデーモン一体を祝福が付与された槍でミアが倒し、俺も光属性を剣に纏わせて倒した。
オークジェネラルはルリカとセラのコンビが危なげなく倒す。
これで残り一体。
ヒカリがもう一度吹くと、今度はオーク三体とオーガ二体が出た。
それをアルゴたちがオークを倒し、オーガをヒカリとクリスが倒した。
「これで終わりだな」
アルゴがしみじみと言った。
確かにダンジョン攻略を再開した初日こそ順調だったけど、残りの三日間は魔物を探すのに苦労した。
というのも、俺たちが復帰した後に結構なパーティーがダンジョン探索に現れたからだ。
そのパーティーは進路上に魔物がいれば狩っていたけど、今は外周部を目指すのか階段からは遠く離れている。
どうやら宝箱を探し求めているようだ。
「ま、帰ろうぜ」
ここからなら普通に進めば今日中に階段まで戻ることが出来る。
最後はシャマルの角笛を使ってもいいという感じで、途中から階段目指して歩いていた結果だ。
そして街に戻った翌日。九階のボス部屋に挑戦した。
待ち人数はゼロのためすぐに挑戦することが出来た。
ボス部屋で出てきた魔物はゴブリンロードが一体とオークキングが一体。他オークジェネラルやらオーガが、ゴブリンファイターと色々な種族の魔物が出た。
ただ運が良かったのか、このダンジョンで嫌われているデーモンはその中にいなかった。
戦いは俺やクリスの範囲魔法を禁止して普通に戦った。
俺は盾を構えて挑発を使い、俺が攻撃を防いでいる間にミアやクリスが一体ずつ確実に倒していく。
ヒカリ、ルリカ、セラの三人は遊撃でオークジェネラルを中心に倒せるやつから倒していく。
アルゴたちはゴブリンロードに戦いを挑み、ゴブリンロードの指揮下にいるゴブリン系の魔物とオーガを倒していった。
一体ずつ確実に仕留めて行った結果、最後に残ったのはオークキング。仲間がいなくなったキングは果敢に攻めてきたけど、最後セラの一撃を背後から受けて倒れた。
こうして九階のボスの攻略は終わり、俺たちは一〇階へと進めることになった。
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