第548話 装備強化案?

 話し合いの結果、いくつかの案が出た。

 一つはレベルを上げるか戦いの熟練度上げるということだが、それには時間が必要になってくる。

 では他には何かないかということで、装備を強化すればいいのではないかという意見が出た。

 例えば力を向上させる魔道具や、素早さを上げることが出来る魔道具をはじめとしたステータスを上げるものや、あとは武器自体を変更して攻撃力を上げるなどだ。

 ただ魔道具関係はなかなか手に入らない。

 その多くがダンジョン産というのもあるが、なかには人の手で作られたものもある。

 ただ人が作ったものは人気が高く、予約待ちだったりする。

 たまに店頭に並ぶこともが、すぐに完売するらしい。

 俺の錬金術や創造で創れるものもあるから、まずは創ってみるかな?

 ちょうど素材が手元にあるからいくつかは可能だ。人数分揃えるとなると厳しいけど。

 武器に関してもミスリル以上の武器となるとなかなか難しい。

 ダンジョンで手に入るような魔剣の類か、あとはもっと希少な鉱石や素材を入手して作るしかない。

 そんな中で一つ気になることがあった。

 それは俺の持つミスリルの武器についてだ。

 たぶん解析のスキルを覚えたからだろう。

 今までにない項目が鑑定した時に表示された。

 今までは武器名と効果と品質が表示されていたが、さらにそこに攻撃力や耐久度などの項目が追加されたのだ。

 ならこの攻撃力を上げることが出来れば、そのままの意味で解釈するなら武器が強くなるわけだが……とりあえずメンテナンスをする時みたいに錬金術を使ってみるか?

 早速やってみると攻撃力の数値に変化はなかった。ただ耐久度は上がっている。

 それならばと今度は魔力を流しながら錬金術を使ったら……攻撃力が少し向上した。

 少しというように微々たるものだが。

 ただこれは単純に魔力を籠めれば籠めるほど上がるようだ。

 次に今度は魔力を流さないで錬金術を使ったら、攻撃力は下がった。耐久値や品質はそのままだ。

 なら魔力を流した状態で錬金術を何度も繰り返せば攻撃力が積み重なって上がって行くのか試したが、それは残念ながら駄目だった。

 もしかしたら上限値のようなものが決まっているのかもしれない。


「ソラ……どうしたの?」


 手に持ったミスリルの剣を凝視していたら、怪訝そうな表情を浮かべたミアに声を掛けられた。


「ああ、いや、スキルの確認を色々してたんだ。それよりミアこそどうしたんだ?」


 今日はスキルの確認をしたいこともあって、ダンジョンに行くのは止めてもらい、パーティーメンバーは思い思いに過ごしている。


「お昼が出来たから呼びに来たのよ」


 もうそんな時間だったのか。


「全く、夢中になるのはいいけどほどほどにね」


 呆れ顔のミアに促されて、昼食を食べに食堂に行った。

 食堂は混雑していて、お城勤めの人たちの姿もあった。

 俺は皆の集まる一角に移動して食事を済ませると、午後は街に出てくると伝えた。


「何処に行くの?」

「装備品を扱う店に行く予定だ」


 解析して武器の違いを見てみたいというのがあった。

 あとは冒険者ギルドと商業ギルドに寄って、魔石や素材が買えるかの確認だな。

 そう言うとミアにクリス、エルザとアルトが付いて来ると言った。

 ヒカリたちはスキルの練習と、騎士たちと模擬戦をするとのことだった。



 俺たちはヒカリたちと別れて武器防具屋を訪れた。

 街中を歩くと、人の数が明らかに減っているのが体感出来た。

 それでも活気があることに違いはない。

 以前寄った武器屋に入ったら早速武器を見て回った。

 改めて鑑定して分かったことは、同じ品質でもやはり攻撃力は微妙に違う。

 同じ鉱石を使っていても差があるが、店主に話を聞けば作り手によって差が出ているみたいだ。


「ほう、なかなか見る目があるな。そいつはドワーフの親父が作った作品だ。ちょっと他と比べて高いが金に余裕があるなら買った方がいいぞ」


 武器を手に持って熱心に見ていたらそんなことを言われた。

 現状俺たちの武器は錬金術を使って作っているが、それなら鍛冶で打ち直したらまた変わるのだろうか?

 それともいっそ鍛冶のスキルを取ってみるか?


「鍛冶師に依頼を出すことって可能ですか? あと工房の見学とか」

「そのドワーフの親父のところは難しいかもな。気難しい奴で相手を選ぶんだ。うちのところはちょっとした縁があったから卸してくれてるんだ。それに国からの依頼が多いってのもあるな」


 国か……獣王の力を頼るとまた何か要求されそうだしな……けどダンジョン攻略のために……。


「ソラ、一人で考えないで。とりあえずリュリュちゃんに相談してみればいいよ」


 ミアはそんな俺にあっさりと言ってきた。

 確かにここで悩んでも仕方ないか。

 俺は店主にお礼を言って店を出ようとしたら、そこに獣人の冒険者たちが入ってきた。

 雰囲気と立ち振る舞いからかなり強い……かもと思っていたら、その中の一人が話し掛けてきた。

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