第547話 フォルスダンジョン・11
六六階からミノタウロスの他、上位種にあたるキングミノタウロスが出現する。
キングミノタウロスの立位置としてはボス的な扱いだが、出るタイミングは最後ではなくてランダムらしい。
そのため注意するのは、ミノタウロスが生き残っている時にキングミノタウロスが現れた時だ。
単体としても強いが、資料によるとキングミノタウロスが出現した時にミノタウロスがいるとミノタウロスを指揮して戦うということだ。
マジョリカのダンジョンでもそうだったが、上位種の指揮下に入った魔物は厄介だ。連携をとって攻撃してくるから。
またキングミノタウロスがいるとそれ以降に出現するミノタウロスも次々に指揮下に入るから、ある意味ここからの攻略ではキングミノタウロスが出現したら如何に早く倒すかで攻略の難易度が変わって来る。
ただ六六階と六七階に関してはキングミノタウロスが出て来たのが終盤に差し掛かってからだから大して苦労することなく進むことが出来た。
「いるわね」
けど六八階は、運がいいのか悪いのか最初に出現した中にいた。
もちろん俺たちはキングミノタウロスを倒すために行動に出たが、まるでキングミノタウロスを守るようにミノタウロスが盾になり時間を稼いでいる。
しかも最初に出現したミノタウロスも武器だけでなく盾持ちが多く、その中には魔法を防ぐものまであった。
階を登るにつれて魔物だけでなく、装備品までグレードアップしているようだ。
結局六八階を攻略出来たのは一時間経った後だった。
途中から戦い方を変更し、敵を引き付ける守備班と一体ずつ確実に倒していく攻撃班の二手に別れることにした。
守備班は俺を中心にカイナとヒカリとミアで、攻撃班がセラとルリカが担当することになった。クリスは臨機応変に攻撃と守備の両方を担当してもらった。
ヒカリが守備の方に就いたのは、麻痺による状態異常を中心に戦ってもらったからだ。
ミノタウロスには麻痺による攻撃が効きにくいが、それでも全く効果がないわけではないからだ。今回は持久戦を視野に戦うことにしたというのもある。
「さすがに疲れたわね」
ルリカの言葉に皆頷く。
特にクリスは負担が大きかったのもあって座り込んでしまっている。
俺も守備を中心に魔法で補助をしたりと忙しかったが、合間合間で移動のため歩いたから負担は少なかったりする。
「今日は一度戻るか? 攻略はしたいが急ぎではないし、次の階も同じように出てきたら厄介だし」
「それがいいかもさ。戻ってどう動くかを話し合うのがいいさ」
セラの言葉に反対する者はいなかった。
あと二階は少なくともミノタウロスとキングミノタウロスが出現するから、一度戻って対策……どのような状況だったらどう動くかを話し合っておいた方がいいだろう。
今回時間がかかったのも、守備的になり過ぎたというのもある。
安全を考慮して策だから間違っていないけど、体力の消耗が激し過ぎる。
今までだって長時間戦うことはあったけど、ミノタウロス級となると話は別だ。
倒せない魔物ではないけど、強敵であることは変わりないから。
それと長時間向かい合っているとなると消耗する。
なかには魔法剣などの魔法武器、防具を持っている奴もいたからな。
キングミノタウロスがそういう奴を有効に使うから始末が悪かった。
こうして一度ダンジョンから出ることにして戻ってくると、ちょうどナオトたちも戻ってきたところだったようだ。
「お、ソラたちか。今日は終わりか?」
確かに今までだったら夕食前までダンジョンに行っていたからナオトとしては早く感じたかもしれない。
今日は夕食の時間までまだ三時間は優にある。
「作戦会議をしたいから今日は帰って来たんだ……詳しくは帰ってから言うよ」
今この場には結構な冒険者がいるからな。
ここで立ち話をすれば内容を聞かれるし、たぶん邪魔になる。
ナオトもそれが分かったようだ。
そしてナオトたちも今日は戻るということで連れ立って建物から出た。
「そう言えば武闘大会が終わったけど、宿を取った方がいいんじゃないか?」
人が減れば宿にも空きが出るはずだ。
いつまでも甘えているわけにはいかないと思った。
「確かにそうだな。その辺りはアルゴたちと相談したほうがいいな。あの子たちのこともあるし」
確かに今の場所を引き払って宿に行くとなると、エルザとアルトに影響が出るかもしれない。
その後宿舎に戻って、キングミノタウロスについて話した。
話を聞いたナオトたちは驚いたが、自分たちならどう立ち回るかなど意見をいいながら、一緒に戦い方を話し合った。
それは結局夕食の時間になるまで続き、ちょうど帰ってきたアルゴたちも話に混ざりそうになったがその前に食事の声が掛かって話し合いはそこで終わった。
食事を終えて宿のことをアルゴたちに相談したら、
「しばらくこのまま利用していいって話だぞ。宿代としてたまに獣王や騎士団と戦ってくれればいいって言ってた」
という言葉が返ってきた。
その後皆でダンジョンについて話していたら、ちょうど顔を見せた獣王も混ざってきたが、途中でリュリュが姿を現すと連れて行かれてしまった。
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