第526話 弟子入りと予選通過者
「エルザさんとアルト君に教えればいいの?」
ダンジョンから戻ったら、早速カエデに相談した。
最初カエデは、ランスマスターのスキルをもっているから得意ってだけだから、基礎を覚えるなら他の人に教えてもらった方がいいんじゃないと言っていた。
確かにスキルを覚えて得意になっただと、自分が何処まで武器を扱えているのか迷うことがある。
だから俺もソードマスターのスキルを覚えた時は、ルリカたちにし……教えてもらったりした。特にサイフォンとガイツにはお世話になった。
そういう経緯もあって、カエデも最初は断ったが、最終的には引き受けてくれた。
獣王との交流があるのだから、その伝手で槍の得意な人に教えてもらった方がいいとの意見もあったが、そこはアルゴが、
「俺たちと獣人じゃ感覚が違うかもだからな。あと教え方の上手い繊細な使い手がいるかわからん」
と言ったのがカエデが引き受けた決めてだったんだよな。
獣人が大雑把なイメージなのは仕方ない。
実際セラも大雑把だったりするからな。個人差はあるのだろうけど。
「それで今からやる? それともダンジョン帰りみたいだから明日からにする?」
「今からお願いしてもいいですか?」
「うん、二人がいいなら私は大丈夫よ。それじゃ改めてエルザさん、アルト君お願いしますね……シズネも参加するの?」
「槍と杖って似てるし、駄目かな?」
「……シズネは厳しくなるけどいい?」
そう言われたシズネはちょっと迷ったようだったけど、参加することに決めたようだ。
動機がエルザとアルトと一緒にいたいから、という可能性もあるなと思った。
「それで皆早く帰ってきてたけど、負けたのか?」
「勝ったり負けたりだな。本大会まで残れた奴もいるし、負けた奴もいる。直接対決になったらどっちがか落ちるから、そこは仕方ねえよな」
サイフォンの視線を追うと、そこにはジンがいた。
「ジンが負けたのか?」
「まあな。相手が悪かったんだよ。ていうかガイツとやった。俺でもガイツと直接戦うとどうなるか分からねえからな」
「そうなのか?」
確かにガイツの守りは鉄壁だが、どちらかというと守備力が高く攻撃力は弱いというイメージがある。
「時間制限があれば別だけど、持久戦になるとどうしてもガイツが有利になる。結局攻撃するだけでも疲れるからな。本当だったら盾で受ければそれだけで衝撃も加わるから疲れるはずなんだが、ガイツはそれを受け流すのが上手いだよ」
「あれはな。俺レベルじゃないと辛いわな」
サイフォンの言葉に、アルゴは俺なら問題ないと言ってきた。
確かに王都では一緒に戦ったし、ルリカたちと模擬戦をしているのも見たことがある。けどやっぱり俺の中だとガイツの方が強いんじゃないかと思ってしまう。
たぶん新人の時に手も足も出なかったのと、親切丁寧に色々教わったというのも関係しているんだろう。
「それじゃ結局誰が本大会まで進んだんだ?」
「俺にガイツ、アルゴにシュンだな」
「ナオトは負けたんだ」
「ふ、俺が倒した」
そうか、アルゴと戦って負けたのか。
レベルではナオトの方が上だけど、そこはやっぱり経験の差かな。
ナオトたちはレベル上げのため黒い森やダンジョンで魔物と戦うことが多く、対人戦はそこまでやっていなかったみたいだからな。
よくよく考えれば、魔王城に行くに黒い森を抜けないといけないから魔物との戦闘経験を積むのは大事だけど、魔人と戦う場合はどちらかというと対人戦の経験が必要になってくる。
それを考えればもっと対人戦の経験を積ませる必要があったと思うのだが、もしかして魔王討伐後のことを考えて、王国の上の連中は対人戦の練習をあまりしなかったのかな?
強くなり過ぎるとあとあと従わせるのが厄介になると思って。
けど実際はナオトたちはイグニスに手も足も出なかったわけだけど……ナオトたちが失敗しても女神が降臨して魔王を倒すという思惑があったのかな?
女神降臨のことを王国の人間が知っていたかは分からないけど。
「それで本大会は何人で戦うんだ?」
「全部で一三人だ」
「またなんか中途半端だな」
サイフォンの言葉に俺は首を傾げた。
「獣王がシード枠で出場するからな。獣王は一回戦、二回戦と免除されてる。本当は前回大会の二位が出場するなら一二人だったらしいな。ちなみに二位が出場していたら一回戦のみ免除というかたちだったらしい」
「それって疲労とかを考えれば獣王有利じゃないのか?」
そもそも予選も免除されてるわけだし。
「その辺りは昔からのルールみたいだから仕方ないんじゃないか? 獣王は変えようとしたけど反対にあったっていってたからな」
サイフォンが苦笑しながら言っている。
自分の有利を捨てる理由……うん、ただ戦いたいってだけだなきっと。
「それで明日は抽選会で、本大会は三日後からだ。四日かけてやるみたいだな。それでソラたちはどうするんだ?」
「本大会は俺たちも観戦するよ。ただ始まるまではダンジョンに行くかもしれないかな?」
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