第489話 マジョリカダンジョン 45F・2
四十五階に下りてから、五日経過した。
その際魔物に襲われることなく、俺たちはちょうどMAPの半分ぐらい進むことが出来た。
ここまで進んで思ったことは、この階で一番厄介なのはどちらに進んでいるか方向が分からなくなることだと思った。
天気が良い時は太陽の動きで方角が分かるか、天気が良かったのは初日の昼ぐらいまでで、あとは基本空は雲に覆われているから太陽が隠れてしまっていた。
時々樹木が立っているのが見えるが、あとは基本辺り一面雪が積もっているだけだから、目印になるものが殆どない。
これはMAPがなかったら本当に苦労していた。
「確かに方角を調べる魔道具ってのはあまり聞かないな。そう考えると、ソラのスキルは便利だよな」
何でも先に攻略にあたっていた大手クランも、実際に方角が分からなくなって帰還石を使って戻ったことがあるということだった。
「それじゃ一体どうやってこの階を通過出来たんだ?」
「……確か天気の悪い時は移動を控えたとか言ってたんだったか?」
サイフォンの言葉に、ジンたちが頷いている。
時間はかかるが、確かにその方法が一番確実だと思うが、天気が良い日の方が珍しいんじゃないか?
と思っていたら、それから二日間は快晴が続いた。
なるほど、こういう時に一気に移動して、他の日は体力を温存したのか。
確か太陽の出る方角が次の階の階段がある方で、沈む方が下りて来た階段がある場所だからな。
そして運が良いことに、この時フロストジャイアントとも初めて戦った。
まずは遠距離で離れている時は魔法を使ってきたため、こちらも盾を構え、オーラシールドで魔法を防ぎながら少しずつ前進した。
距離が詰まったからか、それとも相手もMPがなくなったかは分からないが、ある程度接近すると今度は近接戦闘を挑んできた。
その数は全部で五体。俺とガイツ、ゴーレムで攻撃を受け止めて、サイフォンたちが狙いを定めて各個撃破を狙っていく。
またクリスやユーノ、ミアは魔法で援護してくれて、フロストジャイアントが攻勢に出るのを防いで妨害していた。
「言うほど強さを感じなかったな」
「本領発揮するのが雪が降っている時なのかもだね」
サイフォンの言葉に、ジンがそんなことを言った。
確かにその可能性はあるが、わざわざ確かめる必要もないだろう。
あとは何事もなく階段に到着出来さえすれば、俺としては文句はない。
俺が死体をアイテムボックスに回収すると、この日は日が暮れるまで歩いた。天気も良かったしね。
「それでソラ、魔物とはまた戦いそうか?」
「階段の近くに何体かいるから戦うことになると思う。別のパーティーが入れば戦わなくても良かったかもだけど」
現在この階には俺たちパーティーしか存在していないからね。
一度ここを通過したパーティーは、この階で稼げるような旨味が見つからなければわざわざここで狩りをしないだろうからな。
例えばこのフロストジャイアントの素材が高く売れるとか。
聞いた話だと毛皮は防寒具を作る素材としては価値があるみたいだけど。
結論から言うと、階段近くでの戦闘は吹雪の中行われた。
フロストジャイアントも魔法の威力は確かに上がったようだったけど、盾を構えた俺たちの守りを崩すまでには至らなかった。
ただ吹雪で視界が遮られたため、倒すのに時間はかかった。
一番怖いのは同士討ちのため、連携を持っての攻撃が出来なかった。
そのため一撃の攻撃力の高いサイフォンとセラ、ジンが単体で戦うことになった。
ヒカリとルリカはちょっとうずうずしていたけど、そこは我慢な。
最後の一体になった時には、クリスが最後に精霊魔法をこの吹雪の中で使って威力を確認したいということで任せたが……うん、使いどころは考える必要があるな。
使ったのは火の精霊魔法で、吹雪の中だから威力が落ちるだろうと思ってかなり強力なものを使ったようだ。
結果はその一帯の雪が吹き飛び、フロストジャイアントは髪の毛一本も残せずこの世界から消滅した。
ヒカリは素直に凄いと言っていたが、他の面々はその結果に唖然としていた。
クリス自身も、予想以上の威力に驚いていた。
その後俺たちは四十五階を攻略し終わり、一度地上に戻ることになった。
俺たちが十日ほどで戻ってきたことにギルド職員は素直に驚いていた。
「それで次はいつダンジョンに行く?」
「ダンジョンの資料が更新されているか確認もしたいし、さすがにサイフォンたちも疲れただろう?」
「……確かに少し休んで体の調子は確認したいな」
ということで、五日は休むことにした。
ただその間はただ休むのではなく、ボス部屋に挑戦しようということになった。
一応目的は帰還石の入手だけど、無理なら買うしかないと思うけど今はかなり高騰している上に、売りに出されてもすぐに買われてしまうらしいからな。
やはり下に行くほど、一階分を攻略したら帰還石で戻るというのが主流になっているからなんだろうな。
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