第475話 マジョリカダンジョン 41F
四十一階に下りてMAPを確認したら、かなりの人数が表示された。
なんというか魔物よりも人の数が圧倒的に多く表示されたのはこれが初めてかもしれない。
集団は全部で五つあり、大手の五大クランが挑戦しているという話はどうやら本当みたいだ。
一つの集団で、だいたい四十人から六十人いる。あくまでMAP上の反応を見る限りだけど。
どの集団も既にMAPの半分以上進んでいて、その近辺の魔物は殆どいない。
逆にどちらの階段近くにも魔物はいる。
特に入口近くの方の魔物は一度倒されたと思うから、再度湧いたんだと思う。
「俺たちが四十階を攻略したあとにどのクランも四十一階に入ったって話を聞いたが、準備はしてたんだろうな」
「僕たちの攻略が、先に進むためのきっかけになったってわけかな」
俺はサイフォンとジンの話を聞きながら、焦っての進軍じゃないだろうということを聞いて少しホッとした。
確かに先駆者となると名声も富も大きくなるが、そこは命あってのものだからな。
また四十二階までの記録を持つ【守護の剣】も四十一階から進んでいるのは、まだ未攻略の人たちがいるからだろう。
「ソラ、それで今回はどう進むの?」
「そうだな……とりあえずこっち側からかな? 通路に魔力反応があるから、もしかしたら罠があるかもだから注意しよう。ヒカリ頼んだぞ」
「ん、任せる」
ミアの言葉にMAPを確認した俺が進む道を指し示し、その先に罠がある可能性があることを皆に伝える。
ヒカリとルリカと並んで歩きながら、改めてダンジョンを眺める。
四十一階ともなると、俺たち十一人プラス二体が並んで歩けるだけの幅がある。
その後罠を解除しつつ進んでいけば、通路や部屋でジャイアントガードと戦うことになったが、通路なら単体か多くても三体程度。部屋でも十体から多くて二十体といった感じで、装備こそ豪華になっているがそれほど苦戦するような相手ではなかった。
確かにMAPを見ると部屋も多いしそこには魔物がいることが多い。
ただ避けて通っても先には進めるし、進む速度的に一日に部屋で戦うのは多くても三回程度で連戦もないため、初撃でクリスの精霊魔法で攻撃出来るのが大きい。
「やっぱクリスの魔法は強いね」
「次の戦闘まで時間があるからだと思います。あと、ソラが作ってくれた魔道具の校かも大きいと思います」
それは自然回復向上の効果と似たような能力のある魔道具で、MP限定ではあるけど回復力が上がるものだ。
これは創造のスキルで作ったもので、ミアとクリス、ユーノに渡してある。
「ただそれだけに頼るのも危険だし、一応精霊魔法なしでの戦いをしておくか。今度の部屋での戦闘では、通常魔法だけでお願いします」
サイフォンの言葉に、クリスは少し考えた素振りをみせたあと頷いた。
実際クリスの精霊魔法抜きでの戦闘になると、俺とガイツが中心に敵を引き付けての、単体撃破になるから戦闘時間は格段に増えた。
クリスやユーノも隙あらば魔法で倒そうとは思っているが、乱戦になると味方を巻き込む危険があるためどちらかというと補助に回ることが多くなり、近接戦闘組の負担がどうしても多くなってきた。
それでも負けることなく魔物を退けることは出来た。
それと魔物が再度湧く法則に関しても、だいたい分かってきたことがある。
通路に関しては法則性のものはなかったが、部屋に湧く魔物に関しては、少なくともその部屋の魔物を全滅させてから一日は安全地帯になることが分かった。
これは俺たちが倒した魔物だけでなく、先行するクランの人たちが倒したのをMAP上で確認していて気付いたことだ。
そのため寝る時間が近付いた時は部屋で野営をすることにした。
そのことにはクランの人たちも気付いているようで、どうも皆休む時は部屋を利用しているみたいだ。
とはいえ、ダンジョンでは何が起こるか分からないし、通路に湧く魔物はランダムで普通に部屋に迷い込む個体もいるため、完全に気を抜くことはしない。
だから交代で見張りもするし、その時ばかりはゴーレムも召喚している。
現在移動中にゴーレムを召喚していないのは、ゴーレムなしで戦えるようにしているからだ。一番の理由としては、不測の事態で冒険者と接触する可能性があるためだ。
「まあ、これだけ離れてたら大丈夫なんだろうけどな」
「それってゴーレムのこと?」
「あー、他のクランと接触することはないってことな。ただダンジョンは罠で転送されるやつもあるらしいから。これだけ人が多いと何が起こるか分からないからな」
結構通路の罠は解除されていないやつもあったが、これは元から解除されていなかったのか、それとも解除したものが復活したのかは不明だ。
ヒカリたちが言うには罠の難易度も上がっているってことだが、クランの人たちだって罠を解除する人はいるだろうし、見逃すなんてことはないと思うが……。
何にしても何が起こってもいいように準備することは大事なんだろう。
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