第473話 マジョリカダンジョン 40F・攻略
ボス部屋に入る前にルリカたちに武器を渡し、室内に入ったらゴーレムを召喚した。
ここのボス部屋は他と違い少し狭いようで、目視で全体を見渡すことが出来る。
やがて魔物が現れると、ギガンテスを除くジャイアントガードが駆けてきた。
大きな足音が鳴り響き、その姿が徐々に大きくなってくる。
ある程度ジャイアントガードが近付いたところで、既に魔法の準備を整えていたクリスがその魔法を解放した。
その精霊魔法は熱風を巻き起こし、ジャイアントガードの侵攻をまるで押し返すかのように襲い掛かった。
思わずといった感じで手や盾で顔を覆い隠す動きをジャイアントガードはとったが、魔法の猛威が収まった時に立っていたのはたったの三体だった。
「こいつはすげえな」
と聞こえてきたサイフォンの言葉には同意出来る。
俺も高位魔法を使うことが出来るが、ここまでの威力を出すのは難しい。
難点は素材も全て駄目になってしまうことだが、倒すことを優先のボス部屋では素材を気にするのはあとだ。
「一気に仕留めるぞ!」
次のサイフォンの言葉に今度は俺たちが前進をして、残りのジャイアントガードを仕留めにかかる。
しかしその後方から魔力的なものを感じてチラリと見れば、ギガンテスによって新たに呼び出されたジャイアントガードの姿が見えた。
「召喚されたようだね。ボスと引き離すよ!」
ジンの言葉に従い、瀕死のジャイアントガードと戦いながら少しずつ後退する。
この時オルガとルリカの二人が俺たちの集団から離れると、迂回してギガンテスの後方に回った。
そして一緒に前進してきたギガンテスに攻撃を仕掛け、ジャイアントガードと引き離すことに成功した。
たぶんただの攻撃だったら気にも留めなかったと思うが、オルガやルリカの光属性が付与された遠距離攻撃の猛攻に無視出来ないと判断したようだ。
ジャイアントガードの何体かを引き連れていく仕草も見せたが、そこはユーノの魔法やガイツのスキルでヘイトを稼いだから、ジャイアントガードたちはこちらに突っ込んできていた。
「それじゃいくさ」
俺とガイツ、ゴーレムで先頭のジャイアントガードの攻撃を受け止めている間に、セラとヒカリがそれぞれジャイアントガードに攻撃を仕掛けた。
セラの一撃は重く致命傷を与え、ヒカリは麻痺効果のある攻撃で徐々に動きを鈍くさせていく。
クリスが連続で精霊魔法で攻撃出来れば楽だったが、さすがにあれだけの威力の魔法を連発することは出来ない。
今は単体魔法で応戦しているが、それでもその威力は強い。連発出来ないが、ジャイナとガードの盾を破壊するほどの威力があった。
そして戦闘開始から僅か十分の間に、召喚されたジャイアントガードたちの殆どを倒すことに成功し、残り四体になっていた。
「ここまでくれば十分だ。ソラとセラは二人に合流してくれ!」
サイフォンの言葉に、俺たちは駆け出した。
途中それを阻止するためジャイアントガードが攻撃を仕掛けてきたが、それをヒカリの投擲武器や魔法による攻撃が阻み、俺たちは無事ギガンテスのもとに到着することが出来た。
俺たちが合流した時、ルリカがその素早い動きで攪乱し、オルガが後方から矢を放ちルリカを援護していた。
ギガンテスの着ていたローブは破れ、血の跡も見えるが、傷らしい傷は見えない。
どうやら再生能力で傷が塞がっているようだ。
俺はまず挑発でギガンテスの意識を誘導すると、シールドマスターのスキルパリィでその攻撃を受け止めた。
錫杖で殴られたわけだけど、その一撃はスキルを使ってもなお重く感じられた。
移動する前にミアからプロテクションをもらっていなかったらと思うと、かなりの脅威なのかもしれない。
横目でルリカの様子を見れば、額の汗を拭っている。
肌でギガンテスの攻撃の威力を感じ取っていたのかもしれないが、それでもオルガの援護があったとしても、それを相手取っていられたことを考えるとルリカもかなり成長していることが分かる。
クリスとミアの成長が著しく目立っていたが、他の面々も確実に成長している。
特に前衛陣は模擬戦も良くやっているし、技術が向上しているし戦いの幅も広がっていると思う。
それはたぶん俺にも言えることで、上達するのが分かったり褒められると嬉しかったりする。
「ルリカ、一気に攻めるさ」
そしてさすが幼馴染というべきか、二人が揃ったら息が合う攻撃でギガンテスを押していく。
そこに俺も防御をしつつ攻撃を仕掛け、オルガもここが決め所と攻撃の手を強めると、程なくしてギガンテスは俺たちの前に倒れた。
「やっぱ弱点を突いたから楽だったね」
なんてルリカは戦いが終わった後に言ったが、間違いなくルリカたちの力が大きかったと俺は思った。
こうして四十階の攻略は無事終わり、宝箱から帰還石を回収出来た俺たちは登録を済ませてダンジョンを後にした。
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