第471話 マジョリカダンジョン 39F
確かにこの階で出るジャイアントガードの装備は充実していた。
まずどの個体も軽鎧を着ていて、手には武器を持っている。
武器は鈍器や斧が目立ち、稀に剣や槍を持つ者もいる。
あとは話通り盾持ちもいて、そいつは一見するとガードが固いように見えるが、それはあくまでも正面から攻撃を止める場合に限る。
「連携して攻撃すれば問題なく倒せるな」
「そうね。複数体で出ると背中を取るのは大変だけど、こっちが守りながら確実に数を減らして行けば問題なさそうね」
俺の言葉にルリカが戦闘を振り返り分析している。
「それでどうする。このまま進むか? それとも戻るか?」
サイフォンの言葉に、俺たちは進むことを選んだ。
とりあえず一番の理由は、三十八階側は魔物がある程度いたが、三十九階に近付くほど減っているから戦闘回数が減るだろうと思ったからだ。
ジャイアントガードとの戦闘経験を積もうとしているのか、結構な数の人の反応がここでもあったからだ。
「やっぱボス部屋の前に安全に休憩出来る場所があるからなんだろうな」
「すぐに帰れるのも大きな利点なんだろう」
サイフォンの言葉に、ガイツが答えた。
帰還石は持っているとはいえ、あれは可能なら緊急脱出用にとっておきたいからな。それは分かる。
ボスの宝箱から入手出来るとはいえ、なかなか当たりを引けなかったりする。
だからそれを目当てにボスを周回する輩がいたわけだが、今は結構管理が厳しくなっているんだよな。
何でも十階と二十階のボス部屋に関しては、事前にギルドに報告しないといけないみたいだし、このまま三十階を越すパーティーが増えれば、三十階のボス部屋でも同じルールになるのではないかという話だ。
まあ、一度利用したら同一階のボス部屋を次に利用するには、クールタイムがあるから同じ人が何度も連続して挑戦することは出来ないわけだけど。
「……次からは戦う奴を決めて、少人数で戦う練習をしてみるか? もちろん安全は十分確保してだけどな。今の俺たちの人数だと、五体に囲まれたら一体に対して二、三人で対処する必要が出てくるからな」
「そうすると俺やガイツ、ゴーレム抜きで戦った方がいいのか?」
「盾持ちなしでの戦闘も経験する必要があるかもな。逆にソラやガイツには多数の魔物に囲まれたら一体ずつ抱えてもらう場面が増えるかもしれないな」
戦った感触では俺は十分に対処出来ると思う。
スキルを駆使すれば一対一で戦っても負けない自信はあるが、強力な魔法は魔力の消費も馬鹿にならないから、連続戦闘には不向きだ。
例えば武器に魔力を流して切れ味があがるわけだが、それは攻撃する時に魔力を流しているから結構それでも魔力を消費したりする。
逆にそれを戦闘前から準備して、尚且つ維持出来ればかなり戦いの幅が広がると思う。
例えば付与術で魔法を付与出来るわけだから、その魔力版があればいいわけだが……。
俺は休憩中に出来そうなスキルがないかを探したが、それを見付けた。
NEW
魔力付与Lv1
これで武器に魔力を付与することは出来るけど、付与術と違ってそのアイテムに付与した魔力は時間とともに減っていくようだ。
なら魔力を付与したアイテムをアイテムボックスに入れておくとどうかだけど、そこは減らずに維持されるみたいだ。
たださすがにレベルが低い間は、一度に付与するのに消費するMPは多いし、付与できる魔力量も低い。
ここは気長にレベルを上げていくのが正解だろう。
そうなると戦闘用と魔力付与用にミスリルの武器が一人当たり二種類欲しくなるが……今の稼ぎだとミスリルを購入するのは十分可能だ。
もちろん十五階に行って直接採掘するのもありか?
ミスリルの採掘もされてはいるけど、意外と売る人は少なかったりする。
やっぱミスリル武器は皆の憧れみたいなんだよな。
お陰でミスリルを扱うことの出来る鍛冶師も結構増えてきたようなことを聞くし。
あとは単純に魔剣とか手に入ればいいんだけど、それは滅多に見掛けないんだよな。
一応ダンジョンの宝箱から手に入ることはあるらしいだけど。
「魔剣はな~。一応俺とジンの使う武器はそうだけど、結構癖があったりするんだよな」
とはサイフォンの言葉だった。
サイフォンたちの使う魔剣は属性剣で、他には魔力を放出することで攻撃力が上がるらしい。
それは使い手の意志で解放することが可能だが、一度魔力を放出してしまうとその魔力が戻るまで著しく攻撃力が下がってしまうとのことだ。
だから普段は使わず、いざという時用らしい。
「安定でいうとミスリルの剣が扱いやすいんだよな。軽いのに切れ味があるとか、言うことなしの武器だ。まあ、だから高いんだけどよ」
サイフォンたちも通常使ってる武器は普通の武器だからな。
一応一点もので専門に鍛えてもらっている奴らしいけど。
俺たちはそんなことを話しながら三十九階を追加して、とりあえず一度地上に戻ることにした。
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