第452話 ミア無双?
サイフォンたちは既に二八階に行ったことがあるということで、俺たちは二八階の入口に飛んだ。
久しぶりだからもう少し浅い階で慣れてから行くか迷ったが、
「まあ、任せておけ」
とのサイフォンの力強い言葉に後押しされて二八階から行くことになった。
前回来た時は罠の発動で色々な魔物が出ていたが、本来ならここはリッチが出る。
俺のイメージするリッチだとかなりの強者となるが、サイフォンから言わせるとそうでもないとのことだ。
「むしろゴーストとか、実体のない奴の方が倒すのは難しい。特に俺らのパーティーは神聖魔法の使い手がいないし、魔法を使えるのもユーノだけだからな」
だから聖水などを大量に買うから出費が酷いということだ。
ならリッチは? 問えば、殴って魔石を破壊すればいいから楽だとのことだ。
俺はとりあえずMAPを使って階段を探す。
ダンジョンを探索するにあたり、俺もある程度サイフォンたちに使えるスキルを改めて教えてある。
「とりあえず進むか……」
俺はMAPの結果を皆に話してダンジョンの中を進んで行った。
現在この階には魔物の反応しかなく、その数もかなり多い。
魔物は狩らないと溜まっていくことがあるから、あまりこの階を利用する人がいないのかもしれない。
一応二八階となればかなり深い階とも言えるから、狩れる人が少ないというのもあるだろう。
以前はクラン【守護の剣】がダンジョンの階の更新を次々としていたが、今は何階まで進んだのだろうか?
この辺りも一度調べ直す必要があるな。
今回俺たちが行くのは三〇階までだから、そこまでしか調べていない。
「しかし魔物が出ないね。ソラの口ぶりだとこの辺りにいると思ってたのに」
ふとルリカの言葉を聞いて、MAPに目を落とした。
見ると魔物の位置が動いている。
「ああ、魔物も移動しているみたいだな。結構離れた場所にいるよ」
それから俺はMAPを注意しながら歩いていたが、ある異変に気付いた。
「魔物が避けている?」
そう、俺たちが移動するごとに、まるで俺たちから逃げるように魔物も移動している。
魔物の正しい動きとして、本来ならこちらに向かってくるはずなのに、逆の行動をとっているように見える。
試しに正規のルートからちょっと外れて見ると、やはりそうとは思えない動きをする。
「それは本当かよ?」
サイフォンが疑問に思うのは仕方ない。
俺だって信じられないことだ。
だが二日経っても、三日経っても俺たちは魔物と戦うことはなかった。
そして五日後。俺たちの視界には階段があった。
その前には、百体近いリッチの集団がいる。
一見すると階段を守っているように見えるが……なんかカタカタと震えているような気がするが気のせいか? いや、スケルトンもカタカタ動いていたしアンデッド特有の動きか?
「まさか階段を守るために待ち伏せしてたとか?」
「リッチは知能が高いアンデッドだしその可能性もあるかもな」
ルリカの呟きにサイフォンが答えていた。
「とにかく一度にこの数と戦うのは骨だな。とりあえずユーノとクリスに魔法で援護してもらいつつ接近するしかない」
サイフォンがため息を吐きながら言った。
「あ、ちょっと待ってくれ。戦力を増やす」
魔物との戦闘がなかったため、ゴーレムを召喚していなかった。
俺がゴーレムを召喚するとそれを見たサイフォンたちはかなり驚いていた。
「それじゃ行くか?」
俺の言葉にサイフォンがコクコクと頷いていた。
そして気合を入れて前に進んだ俺たちは、特に交戦することなく階段前まで到着した。
階段前には無数の魔石が転がり、眩い光を発していた。
うん、高品質な魔石である証だ。
何が起こったかというと、とにかく俺たちが近付くとリッチが消滅していった。
あのカタカタと震えていたのは、スケルトン特有の動きではなくて恐怖で震えたということだろうか?
アンデッドといえば生者を憎み、執拗につけ狙ってくる魔物だ。
それなのに見る影もなく、俺たちに攻撃する素振りも見せずに消えていった。
俺はそこまで考えてミアを見た。
一度他の階に行って確認する必要があるかもしれないが、アンデッドの天敵が誰かを考えて思い浮かぶのはミアだけだ。
前回ダンジョンに来たときはこのようなことがなかったから、それを踏まえて神人になったことが影響しているのでは? と思った。
「一体何が起きたんだ?」
「ああ、僕たちを何を見せられたんだい?」
サイフォンとジンが放心状態だ。
少しそっとしておこう。
そしてさっさと魔石を回収しよう。
結局俺たちはそのまま三〇階を目指した。
二九階も結果は同じで魔物と戦うことはなかった。
後日ミアを残して二一階に行ったら、しっかりスケルトンが襲い掛かってきた。
やはり原因はミアのようだった。
ちなみにミアに内緒で行ったから、それがあとでバレて凄く怒られた。
いや、だってミアに言ったら止められるし、絶対に付いて来るって言うと思ったから……。
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