第297話 ゴーレム作成・2とスキル

 翌朝ゴーレムを作り直したら驚かれた。

 素直にスキルを覚えたことを言ったら、なるほどと納得された。

 ゴーレムは人並みに歩く速度が出るようになったから、一緒に行動することにした。見た目も良くなったが、見れば土色だからそれが生き物ではないことは一目で分かる。

 とりあえず犬型の方は黒色の土で体の色を調整し、人型の方はローブを着せた。

 最終的には武器防具を装備させたいところだが、軽くて頑丈の物を作る必要がある。いっそ魔物素材を使った服系の防具を買った方が早いかもしれない。

 あとは学習能力で性能をアップさせるために、休憩中に模擬戦をしたりもした。

 休憩になってないと言われるが、別にずっと戦ってるわけじゃないから。交代で戦ってますよ。ゴーレムは休みなく戦ってますが……。

 ただお陰で問題点も分かった。

 一番はやはり耐久だろう。

 セラの一撃がヒットして無残に体の一部が破壊された。

 これは体を作った時の魔力量が少なかったのかと思ったが、時間の経過と共に体を構成している魔力が減っていっているのが原因のようだ。

 家と壁とか動かないものを作ったときはこんなことが起こらなかったから、人と同じように体を動かすことでエネルギーを消費するような感じで、魔力も失われていっているのかもしれない。

 魔力察知で注意深く観察していたら、やはり徐々に減っていっていることが分かった。

 これは吸収を付与して空気中から魔力の代わりとなるエネルギーを得ることが出来ないかを考える必要がある?

 一番は魔力を吸収出来ればいいんだが、そもそも空気中に魔力は存在しているのかさえ謎だから……ダンジョン内とかならありそうだけど。

 太陽光かあとは充電池みたいな魔力を貯めておけるタンクがあれば良さそうだけど今は作れる気がしない。


「主、武器は持たせない?」

「将来的には持たせたいけど、一番は盾だな。攻撃よりも守備を伸ばしたいと思ってるんだ」


 だから体術も攻撃というよりも防御主体で頑張ってもらっている。

 実際今の速度だと、ヒカリたちが少し本気を出すだけでまったく付いて行けずに相手にならないから。

 そこは学習能力と生命付与などのスキルがレベルアップすることで速度が上がるのに期待だな。


 他にも改めてスキルを確認して、レベルが上がって出来る幅が広がったスキルもある。

 一番は転移だろう。これはたぶん劇的に変わったと個人的には思ってる。

 今までは武器とか魔法を一瞬で移動させていたが、レベル7になって人を移動させることが出来るようになった。

 人というよりも、俺自身が瞬間移動のようにA地点からB地点に一瞬で移動出来るようになった。

 今分かっているのは最大で100メートル。目視する必要があるが、これはMAPと併用すると100メートル地点までならいけることが分かった。ちなみにそれ以上の地点を指定しても飛べなかった。MPは減っていたけど。

 他には条件付きで他の人も移動出来るが、その条件は俺と接触しているということ。ただし人数が増えればその分消費する魔力も増えるし、距離も短くなる。

 緊急離脱する時には役立つかも? といった感じだ。

 ただこのままMAXまで上がれば、一度行った場所に飛べるかも? とか期待は膨らむ。そうしたら凄く便利だ。

 色々な町を回り、色々な人と出会った。

 中にはまた会いたいと思えるような人だっている。

 とにかく移動に時間と労力が掛かる世界だから、そんな能力に成長してくれたら嬉しい。



「ゴーレムの実験はとりあえず今日で終わりにするか」

「どうして?」

「距離的に明日には遺跡に到着するからな。だからしばらくはお休みだ」


 MAPで反応は確認をするが、何が起こるか分からないから一先ずゴーレムは封印だ。

 これから先も移動中は使う機会が増えるから、その時にまた使えばいい。

 それこそ街道に人が多いようなら、少し外れて歩けばいいとも思う。

 ただそうなると、凸凹した道とか歩いてヒカリたちの負担が増えてしまうかもしれないが……ただ悪路の歩行も学習はさせたいと思う。

 黒い森とか……森の中に入るなら木の根とかもあるだろうし、一度慣らしておきたいところだ。最悪現地にいってから学習ということになるかもだが。

 その日の夜も一応街道から少し離れたところで野営を行なった。

 いよいよ明日には遺跡に到着するわけだが、この世界の遺跡ってのはどんな感じなんだろうな。


「遺跡とダンジョンってどう違うんだ?」

「私も遺跡には行ったことがないし、あまりそういうのが発見されたって話は聞かないですね」


 物知りのクリスも知らないようだ。

 学園の図書館でもそのような本は見なかった。そもそも別のことを調べていたから、探せばあったかもしれないけど。


「けど魔物が出たってことはダンジョンみたいな感じなのか?」

「その可能性もありますね。ただ……」


 クリスはペンダントを握って、遺跡のある方へと視線を向けている。

 気になっているようだが、遺跡に入れるかを心配しているのかもしれない。

 国が調査をしているような場所だ。何の権限もない俺たちが普通に行って入れるかも分からない。無理と追い払われる可能性の方が高いと思う。

 クリスもそれが分かっているが、やはり見た夢というのが気になって仕方がないんだろう。

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