第219話 ミスリル武器と魔防具
馬車に乗っている間窓の外を眺めていてもそれなりに楽しめるが、折角なので武器の作成をしようと思う。
ミスリルを用意したらまずは自分用のミスリルの剣を作成する。
イメージは既に出来ているから、それに沿って作る。もっとも今使っている剣の形に似せてミスリルの剣を作っただけだ。唯一違う点は、ヒカリとルリカに施した装飾、マークのようなものを柄のところに付けたところか。
それが終わったら次はセラの斧を作る。やはり今使っているような感じで、両刃の形が良いということで、軸となる柄を鉱石を使って作成し、そこにミスリルの刃を取り付ける。ミスリルは少し軽いようなので、軸となる部分を少し重くしてと頼まれた。
あとは少量の魔力でも武器に魔力を流せるように、魔石を使った仕掛けを付ける。出番があるかは分からないが、何かの時に役立つかもしれない。セラには使い方を説明し、あとは休憩で馬車から下りた時に使い勝手を確認してもらえばいいだろう。
「主、作業終わった?」
「他にも作りたいものはあるけど、少し休憩だな。そろそろお昼時だし」
流石に馬も休憩させる必要があるからな。
御者もそれが分かっているから、休憩出来るスペースがあるところで馬車を停めると早速馬の世話をする。慣れているため、手際がいい。
その間に俺はお昼の準備。下準備は済ませているから、基本温めるだけだけど。それを御者の分も用意して食事を始める。
「そういえばソラ、先日ギルドでサイフォンさんたちに会ったけど、お礼を言っておいてくれって頼まれたわよ」
食休みをしている時に、ルリカから冒険者ギルドでの一幕を聞いた。
確かヒカリと街を歩いている時にフレッドとサイフォンのコンビに会ったから、各種ポーションを渡したんだった。お金を支払うようなことをフレッドが言ってきたけど、そこは断ったんだよな。世話になったから、と言って。
フレッドは訳が分からないといった顔だったけど、主にサイフォンに向けてだったから仕方ない。
今は無理でも、いずれ名乗り出ることがあるかもしれないが、その時は是非お礼を言いたい。サイフォンたちにはお世話になったからな。
「それで私たちが街を発つことを話したら、サイフォンさんたちも街を発つようなことを言ってきたの」
「そうなのか?」
クリスが聞いた話だと、プレケスに行くとのことらしい。
「確か向こうのダンジョンが使えなくて、こっちに来たんじゃなかったのか?」
「うん、だけどダンジョンに入れるようなことを聞いたみたいです。それで向こうに行ってみようって話になったみたい」
何でもさらにメンバーが増えて、十五人ぐらいでパーティーを組んでいるらしい。
何でもガイツの指導に感銘を受けた人たちで、女性が増えたとフレッドたちは喜んでいたらしい。
「けど何でまた慣れたダンジョンを捨てて向こうに行くことにしたんだ?」
「何でも五階で活動しているうちに、フィールド型のダンジョンに興味が出たらしいよ。私たちもそうだけど、通路よりも広々としたところの方が戦い易かったりってのはあると思うしね」
その辺りは慣れかもだけど、適応出来ない人はいるかもしれないな。
それに向こうのダンジョンは、一階ごとに出入り出来るとか良い点もあるみたいだしな。噂によればだけど。
「そっか。なら今度会う機会があったら、どんなところか土産話でも聞けたらいいな」
早々会うような機会はないだろうけど。
休憩が終わったら、また馬車の中へ。
今度はジェイクからもらった魔石を使ってクリスとミアの装備を作る。
ミスリルに魔鉱石と魔水晶を使って腕輪を作る。そこに複数の魔石を合成して出来上がった質の良い魔石を埋め込み、さらに魔力を流しながら加工する。
「これはどんな効果があるの?」
ミアの質問に、実際に使って見せる。
魔力を流し込むと、半透明の盾のようなものが腕輪を中心に展開された。
「魔力を使った盾かな。どれぐらいの強度かとか、魔力の量でどう変わるかとかの実験は必要だと思うけど」
「私たちの防御力を上げて、誰かが護衛に回らなくても良いようにですか?」
「それもあるけど。やっぱ一番は身を守れる手段が欲しいと思ったからかな。それに二人は魔力が多いから、使いこなせると思うんだ」
これが前衛職の三人だと、魔力が足りなくなりそうなんだよな。特にセラは難しいだろう。ヒカリとルリカならもしかしたら使いこなせるかもだけど、そうすると攻撃に使う分の魔力がなくなりそうだ。マナポーションを飲む前提なら良いかもだけど。
同じ品質の魔石が手に入ったら、予備として作るのはありだと思うが、なかなかお眼鏡にかなう奴は手に入らない。
自分で狩るとなると、それはそれで討伐が大変そうだし。そう何度も上位種と遭遇することもないだろうしな。
マジョリカを出発して十日後。ロキアを経由して、エーファ魔導国家とルフレ竜王国の国境都市であるリエルに到着した。
そこからルフレ竜王国の方を眺めれば、雄大な山脈が視界一杯に広がる。それはまるで、こちらからの来訪を拒むように見えてならなかった。
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