第160話 マジョリカ・13
今回のボス討伐では宝箱がドロップされなかった。
フレッド曰く、別段珍しいことではないとのこと。
ボス周回をする者にとっては、武器のメンテや消耗品代で赤字になる場合があるけど、それでも一発当てれば大きいからやる人が絶えないとのことだ。
ゴブリンキングの魔石を回収し、死体をそのまま収納してダンジョンを出る。
乱獲されているから素材としての価値は低いけど、それでも防具としてある程度使えるから多少の値が付くようだ。
「けど不思議だよな。あれだけ硬かった皮膚も、死ぬと何故か劣化するんだろ?」
「ああ、あれだけの硬度で装備が出来たらかなり防御力が上がるんだけどな」
俺が不思議に思い疑問を口にすれば、心底残念だとフレッドは言う。
しかも重いから使いどころが難しいらしい。
もしかして軽くするために薄く加工するために防御力が下がっているのか? その点は職人の腕次第なのかもしれないが。
あ、肉は流石ゴブリンの王様。激マズで食べることが出来ないらしい。
処分料で費用が
清算を済ませてフレッドたちとは別れた。
別れ際、また仲間を探して一から頑張ってみると、前向きな意見を言われた。
それ以外の選択肢は考えられないんだけどと、苦笑しながら言われたけど。
「お疲れ様。装備のメンテナンスもあるし、三日間は完全休業に当てよう。ルリカたちもこの街に来たばかりだし、色々見て回るのもいいと思う。悪いけどセラ、案内してやってくれ」
戦士にも休息は必要だ。もう少し休みは長くなるかもだけど、そこはメンテナンスにかかる日数次第かな。もちろん疲れが抜けきらなかったら、無理をしないで延長するけど。
その間俺は十一階以降の情報収集と、ポーションの納品先を探すか。今のところは商業ギルドで良いと思っている。ここは普通に接してくれるし。
あとは少し創造のスキルを使って熟練度を稼ぎたいな。ある程度レベルを上げて、次の探索の前までにミスリルで武器を作りたい。
戦力的にも在庫的にもヒカリとルリカ用かな?
特にルリカは気にしているような感じだったからな。
翌朝。セラたち幼なじみズとヒカリは一緒に街を回るようで、ミアは俺に付いて来ることになった。なんでも一人で行動させるのは怖いという意見でまとまったらしい。とは、ミアから聞かされた。そんなに?
休養日だから付いて来ると休みにならないかもと言ったけど、そこは問題ないと言われた。
まずは冒険者ギルドにある資料室に向かう。一応ミアが付いてきたのは魔物に関しての勉強を兼ねているとのことだ。
色々と質問をされたりするけど、俺も知らない魔物が多いんだよな。十一階以降から出るというスライムにコボルト、ホブゴブリンも戦ったことがない。十五階に出るロックバードもだ。十八階に出るタイガーウルフは見たことがあるというレベルだな。唯一戦ったことがあるのは十九階に出るオークぐらいか。
また特徴的なのは十一階から罠があるということか。特に十一階は魔物が出ない罠の階層らしい。他の階層に比べて宝箱の発見率が高いから密かに人気らしいけど、難易度の高い罠も混ざっているため、それで負傷したり命を失ったりすることもあると資料には記載されている。
しかし罠専用の階層とか、ダンジョンは親切なのか? まるで罠の練習をして下さいとでもいうように用意された階だな。他にも資料としては罠の種類から特徴、解除方法なども載っている。前を歩くことになる三人にも一度目を通して貰った方がいいな。
半日資料室に籠り、お昼は露店で買って食べ歩いた。
「どうしたのですか?」
串肉を頬張るミアを見ていたら首を傾げられた。
「昔のミアからは考えられないな、と思って」
聖都で初めて露店で食事をしたら、食べ歩くのははしたないと言われたことがあった気がする。それが今では普通に歩きながら食べている。
そんなことを言ったら頬を染めて黙ってしまった。別に悪いことじゃないから気にする必要なんてないのに。むしろ今の方が肩肘張らずに付き合えていいと思う。
それからいくつか道具屋を回ってポーションの価格調査を行う。
ここでは鑑定を使って、適正価格で販売している道具屋をチェックする。
ギルドで売ると決めているけど、ついつい調べてしまう。やっぱり高く売れるに越したことはないからな。
あとは武器屋に寄って捨て値で売っている武器をいくつか買った。
廃棄処分寸前の格安品だ。鉱石類を買うのもいいけど、武器を錬金術で分解して再利用出来るかの実験をしたいと思ったからだ。必要な金属も手に入るかもだし。
午後は俺は錬金術、女性陣は皆で魔力のコントロールの練習をするらしい。もう一つ魔力視眼鏡が欲しいところだけど、作成するのに必要な品質の魔石が手持ちにない。ゴブリンキングの魔石じゃダメだったし。
ひとまず買ってきた武器を錬金術で分解して金属を分けていく。どうやら問題ないようだ。
そのまま投擲用のナイフにしてもいいけど、これは良く使うヒカリとルリカに投げやすい形状を聞いてからだな。数本自分用のも一応作っておくか。軽い方がスピードは出るけど、威力が落ちたり逆に投げ難かったりするから調整が必要になってくる。
本当なら練習出来る庭とかがあればいいけど、この借家にはそれほど広いスペースが残念ながらない。
それから創造のスキルのレシピに載っているアイテムで、素材があって作成可能なものを作っていく。青空露店のような、フリーマーケットがあれば在庫処分として売るのだけど、このままではアイテムボックス内に不良在庫のごとく用途不明品が増えていくかもしれない。
地元民であるタリヤかエルザに聞けば分かるかな?
集中してやっていたら、創造スキルのLvが4になっていた。
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