第129話 マジョリカダンジョン 5F・5

 男たちとの合流から五日が過ぎた。

 今はセラ隊長のもと、頑張って魔物と戦っている。

 何故こうなったかというと、ゴブリンの団体さんと遭遇してセラが無双したからだ。

 レベル差倍ぐらいあるしな。そりゃセラは強い。なかには姐さんと慕う者までいる始末だ。セラは迷惑そうにしているが。一部不満そうな者はいるが、表立って何か言って来はしない。

 MAPを埋めつつ、まずは生き残りがいないかを確認している。結果二人を拾い、今では一四人の集団になった。

 俺の立ち位置ですか? 料理担当ですが?

 一度任せろと言って料理を任せたら、ヒカリが大層怒りました。

 材料を駄目にするわ不味いわで、失敗作を全て食べ終わるまで、腕を組んで仁王立ちして監視していた。

 何人か涙を流しながら呑み込んでいたのが印象的だ。もちろん俺たちは普通に俺が料理したものを食べていたが。

 ヒカリに乞われて彼らの分も料理をして、それを食べた男たちは二度と自分から料理をしようと言わなくなった。まあ、いいけど。俺も食べるなら上手い飯の方がいいし。

 あとはミアがホーリーアローの練習を魔物と遭遇するごとにしているけど、それを見て絶望の表情を浮かべていた。分かったか? これが今のミアの実力よ? 変に期待されてミアも困っていたしこれでいいんだろう。

 その夜から、時間が出来たら色々と相談しているフレッドたちの姿を見るようになった。


「主様、六階への階段のある場所が目的地でいいのかい?」

「ああ、とりあえずどんな状態なのか一度確認してみたい」


 鑑定で、もしかしたら何か分かるかもしれないし、通り道だしな。


「最終的にどうするつもりだい? ボクは主様が戦えと言うなら戦うよ」

「手がなければ戦わないといけないだろうな。俺もここで朽ち果てるつもりはないし」

「主様がいれば、ここで長年過ごせそうな気がするよ」


 今この場には俺たちしかいない。フレッドたちは交代で見張りをしたり、少し離れた場所で休んでいる。


「問題はセラの武器で有効打を当てられなかった場合だ。ミアに頼ることになるか……最悪俺も頑張るが」


 ヒカリが心配そうに見てくる。あまり大っぴらに使える力じゃないからな。頑張って言い訳を考えるか。

 その時不意にミアが笑った。何故?


「何だかんだとソラは優しい、と思って。良く私に言うけど、ソラも十分お人好しだと思う」


 そうか? そんなことはないと思うが。俺の場合はただの我が儘だし。

 それに一応ボス部屋に閉じ込められた当事者なんだ。仕方ないじゃないか。


「仮に戦うとしたら開けた場所がいいか? それとも森の中がいいか」

「どっちも利点メリットもあれば欠点デメリットもあるから。開けた場所ならボクは戦いやすいけど、ミアは当てにくい。森だとそれが逆になるからさ」

「取り巻きのウルフもいるから森よりも野原とか、平地のがいいんだろうな。そういえば、ダンジョンで魔物を倒すだろう。次のリポップ、魔物が再び出現するのはいつになるんだろう」

「ボクもダンジョンは詳しくないから。彼らに聞けば分かるんじゃないか?」

「そうだな。明日にでも聞いてみるよ。それじゃ今日は休もう。明日もまた歩くことになるからな」


 俺は横になり、三人が眠りに付くのを確認してステータスを呼び出す。


名前「藤宮そら」 職業「魔剣士」 種族「異世界人」 レベルなし


HP660/660(+100) MP660/660(+100) SP660/660


筋力…650(+100)  体力…650(+0)  素早…650(+0)

魔力…650(+100)  器用…650(+0)  幸運…650(+0)


スキル「ウォーキングLv66」

効果「どんなに歩いても疲れない(一歩歩くごとに経験値1習得)」

経験値カウンター 7028/66000


スキルポイント 15


習得スキル

「鑑定LvMAX」「人物鑑定Lv7」「鑑定阻害Lv7」「並列思考Lv9」


「ソードマスターLv8」「身体強化Lv9」「気配察知LvMAX」「魔力察知Lv6」

「自然回復向上Lv9」「状態異常耐性Lv5」「痛覚軽減Lv3」「気配遮断Lv9」

「暗視Lv5」

投擲とうてき・射撃Lv5」


「魔力操作Lv9」「生活魔法Lv9」「火魔法Lv6」「水魔法Lv6」「風魔法Lv5」

「土魔法Lv6」「光魔法Lv5」「闇魔法Lv3」「空間魔法Lv9」「神聖魔法Lv5」

「錬金術LvMAX」「付与術Lv5」


「料理Lv9」


 新しいスキルは特に覚えてない。

 俺はアイテムボックスから予備の剣を取り出し魔法を付与する。属性は聖、神聖魔法だ。これでなんちゃって聖剣の出来上がりだ。魔力をかなり消費したな。

 鑑定して出来を確認する。


 欠陥魔法剣Lv1(聖属性付与) 効果「聖属性の付与された剣。耐久度1。一度振るうと壊れる」


 一発勝負か。しかも効果を出すには魔力を流しながら振るう必要がある、か。

 この耐久度。元々が普通の店買いの特徴のない剣だ。魔力を流して使ったことは今までもあるけど、実際に付与をしたのはこれが初めてだ。ということは、魔法を付与すると武器が壊れやすくなるのか? 今度確認、検証する必要があるな。

 これで仕留められなかったら、諦めて……銃で倒すか。これなら魔道具と誤魔化すことが出来る。魔法は一度使えるのが分かると言い訳のしようがないからな。

 ただレイラに銃のことが伝わると根掘り葉掘り聞かれそうなんだよな。一応家宝のアイテムと言ったから。

 フレッドにはギルドが何か手を打ってくれるなんて言ったが、望み薄だろう。そんなことが出来るならボス部屋に人を入れ放題になるし、一度でもそれが出来ると分かれば、少なくとも噂程度には流れるはずだ。

 それがないということは、まあ、そういうことだろう。余程ギルドが規制を強化して秘密にしていない限りは。

 面倒なことになった、と。俺もシーツに包まり眠りに付いた。もちろん眠ると言っても、気を抜かないけど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る