第112話 再会・1
露店で野菜を大量購入していたら、露店の一角に置かれた卵を発見した。この世界に来てから卵料理は見た記憶がなかった。さらにチーズも発見。買い占めないと。
お店のおばちゃんに牛乳はないかと聞いたら、現地に行けば買えると言われたので場所を教えてもらい明日行くことにした。
翌朝歩いて村まで向かう。町から離れていくにつれて長閑な風景が広がり、牛の鳴き声が聞こえてくる。豚っぽいのもいるな。あれは鶏か?
いくつかの村に行ったことがあったが、ここまで色々なものが揃っている場所は初めて見たな。品ぞろい豊富で目移りする。
これは肉も仕入れた方がいいな。出来れば出汁をとるようの骨も欲しい。けど骨で出汁がとれるなら魔物の骨、ウルフやオークのでも試してみるのもありか?
色々と食材の調達は無事済んだ。形が悪い野菜も安めに売って貰えたので、良かった。保存魔法をかけるのが一番大変だったかもしれない。空間魔法を早くMAXにしないと。
その後農場見学をさせてもらった。ミアは子供の頃は畑の手伝いをしたことがあったようで、おばちゃんの説明に頷いていた。あの頃は作業がきつかったから、農作業には嫌な記憶が多かったけどと、懐かしそうに言っていた。少し寂しそうでもあったな。
機会があれば里帰りをさせて上げたいと思うが、余計なお世話かもしれないか。
その後は町に戻って屋台をハシゴした。色々な種類を買って、皆で分けて食べた。好評なものは追加で購入しアイテムボックスに。これはマジョリカまでの道中で消費されるだろうな。
午後は町を出て南側の森の方に移動。別に薬草採取をしに来たわけでなく、模擬戦やら魔力の練習をするためだ。
最も、メインは別にある。土魔法で調理場を作成したら、そこで料理の実験。鍋を複数用意して、骨、野菜、牛乳、トマト他と、同時に色々煮込む。いっぺんに色々見るのは大変な様に見えるが、料理スキルのお陰で手が回る。
ぐつぐつ煮込んでいくと良い香りがしてきて、三人は気になるのかチラチラと見てくるが気付かない振りだ。我慢してくれ。決して意地悪をしてるわけじゃないんだ。
スキルの補正があるとはいえ、一度にやり過ぎた。並列思考があっても追い付かない。
それぞれを味見して、問題ないのを確認してアイテムボックスに鍋ごと収納。一品だけ最後に調味料を加えて味を調えると、お皿を出してよそう。三人を呼んで試食してもらう。イメージとしてはコーンスープを作成した。
「どうだ?」
味の意見を求めたら誰も答えてくれなかった。一心不乱に食べてるから問題ないに違いない。
「主……」
空になったお皿を差し出してもおかわりはあげませんよ?
「食べ過ぎると夜の食事が食べられなくなるからな」
理由を言ってやんわりと断っておく。これはこれで旅の楽しみにとっておいてもらうのだ。次から次へと新作を要求されても困るし。
ミアは味以上に料理に興味があるようだったから、今度教えながら作るのもありだな。覚えてくれればその時間で別のことが出来るようになるし。
結局帰るまでどんな料理を作るかという、話を中心にしてまったり過ごした。もちろんセラやミアからは、二人が知っている料理について色々聞いた。参考には……なるときが来るはずだと思いたい。
後片付け、土魔法で作った調理場を元に戻しただけだが、をして、町に戻った。そろそろ日が暮れるから、人通りも少なくなっている。ちらほらと家に明かりが灯っている。
「ソラ?」
不意に声を掛けられた。気配察知をきっていたとはいえ、久しぶりの不意打ちにびっくりした。
振り返るとそこには武装解除した、旅装をしたレイラの姿があった。
相手も俺を見て驚いたのか、大きく目と口を見開いている。ちょっとはしたないですよ?
「レイラじゃないか。どうしてここに?」
理由は魔法学園に戻るためだろうけど、問題はそこではない。スタンピードの依頼を受けていたんだ。確かに急いで移動していたわけではないが、それでもこんなに早く追い付かれるとは思っていなかった。
それともスタンピードは発生から収まるまで、それほど時間がかからないものなのだろうか?
声を掛けると我に返ったレイラが詰め寄ってくるが、直ぐに往来の真ん中であることに気付いたのか態度を改めた。
「色々と聞きたいことがありますわ。この時間に町にいるということは、今日は泊まるのですよね?」
「ああ、明日には町を出るつもりだがな」
「徒歩で移動するのですの?」
「そうだが?」
「乗合馬車は明日は出てないって言われましたわ」
歩くのが当たり前になっていて、乗合馬車を利用するというのが抜け落ちていた。
「なら、私たちも歩いて行きますわ」
「無理しなくてもいいと思うが?」
「しばらく作物の移動で馬車の利用まで時間がかかるようですの。なので問題ありませんわ」
本人たちが納得しているならいいのか。
「聞きたいことも色々あるし。明日の朝、西門の出たところで集合しないか? それとも宿の方がいいか?」
「宿はどちらで泊ってますの? うん、……違う宿のようですし、西門を出たところで待ち合わせですの。詳しい話は明日聞かせて貰いますわ」
慌ただしく去って行ったな。ミアの存在に気付かないまま。
「騒がしい旅になるかもな……」
良くも悪くも説明するのに骨が折れそうだが。聖王国を出たから、詳しい事情を話しても問題ないだろう。しばらくはマジョリカに滞在する予定だしな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます