第104話 聖都騒乱・24
重苦しい空気の中、屋敷を出た。
街も同様に重苦しい空気に包まれている。歩いていると、そこかしこで聖女の死を嘆き悲しむ者の姿が見える。
朝、別れる時にレイラには街を出ることを伝えた。
五代目の銃を乱射して無双しようとは思わない。目立つし、自分の身に危険が及ばない限りは率先して介入しようとは思わない。多くの高ランク冒険者もいるようだし、任せた方がいいだろう。俺が行っても足並みは揃えられそうにない。
レイラは何か言いたそうにしていたが、結局何も言わなかった。大丈夫だと思うが無理はするなとは注意し、魔人の特徴を教えておいた。俺よりも経験豊富だし、心配することじゃないかもだが言わずにはいられなかった。
魔人は別格だと思った方がいい。少なくとも俺の知るものは、そういうレベルだと強くなった今でも思う。
目当ての道具屋は朝が早かったが既に開いていた。
「なんじゃ小僧。まだいたのか」
行商人って話してたしな、危険な街からさっさと退避したと思われていたようだ。
「ポーションが少し残ったからどうかと思ってな」
陳列棚を見ると在庫がほぼない。
「それは助かるが良いのか? 買取価格はここだと前回とかわらんぞ」
「別にいいよ。しっかりと査定してくれたし、困った時はお互い様さ」
「それは商人としてはどうかと思うが、助かるのう」
別の店に行って査定やら交渉をするのが面倒臭いとは言えないな。
俺は回復とスタミナポーションを五〇本。マナポーションを三〇本売却した。これで所持金の合計が金貨五〇枚ぐらいになった。
今回は無理を言って、カードに入金ではなくて金貨と銀貨、銅貨に分けて現金で支払って貰った。
面倒じゃな、とブツブツ文句を言われたけど、それでも用意してくれたのには感謝した。
露店を眺めながら西門に向かう。食料関係の値段が上がっている。アイテムボックス内には肉は多いが野菜が不足してるんだよな。
迷ったが買うのは止めた。一人で消費する分には困らない数があったからだ。
門近くにある乗合馬車の駅には、馬車の姿が数えるほどしかなかった。しかも当分は発つことがないと言われた。ここに残っている馬車は万が一の場合に備えての予備と説明された。
同じように説明を受けている商人と思われる人たちの姿がある。どうにかならないかと詰め寄る者もいた。
俺はカードを提示して街を出た。出る時に心配されたな。旅の道具類の殆どをアイテムボックスに入れているから、かなりの軽装に見えたんだろう。
MAPを表示させて、ルートを確認する。聖都からテンスに行くのに、レントを経由すると遠回りになる。なので街道を逸れて真っ直ぐ進めば、それなりに時間短縮になる、と考えた。
一人だと危ないんじゃないか? と思われるが、そこはスタンピードの影響で魔物がいなくなっているらしいからな。皆無ではないかもしれないが、気配察知と魔力察知を併用すれば大丈夫だろう。土魔法で防壁も完備する予定だし。
歩きはじめると街道を歩いて進む一団がいるのに気付いた。重そうなバッグを背負っている。屈強な体付きだし、奴隷も混ざっているようだ。護衛も奴隷っぽいな。今だと冒険者を雇うのは難しいか? Eランクは参加しないから雇えるが、下手したら元冒険者とかだったら奴隷の方が強いのかもしれない。
俺もしばらく街道に沿って歩いたが、途中で道を外れていく。
ここから先は少し森が続くんだよな。それほど深い森ではないようで、比較的歩きやすい。根も地中にしっかり埋まっているようで、木の近くを歩かない限り、足を引っ掛けることもない。むしろ木の実を探す余裕すらある。
食事と睡眠の時間以外は、ただひたすら歩いた。疲れないからペースも崩れない。
また森の中を歩くと先が見通せなくて、木の先から何かが飛び出してくるんじゃないかと不安を覚えるが、それもMAPと気配察知で何もないことが分かるから変なストレスを感じずに歩ける。夜になっても暗視のお陰で視界は良好だ。
スキル様様だな。
その夜。寝る前に久しぶりにステータス確認をすることにした。
名前「藤宮そら」 職業「魔導士」 種族「異世界人」 レベルなし
HP620/620 MP620/620(+200) SP620/620
筋力…610(+0) 体力…610(+0) 素早…610(+0)
魔力…610(+200) 器用…610(+0) 幸運…610(+0)
スキル「ウォーキングLv62」
効果「どんなに歩いても疲れない(一歩歩くごとに経験値1習得)」
経験値カウンター 49023/62000
スキルポイント 12
習得スキル
「鑑定LvMAX」「人物鑑定Lv6」「鑑定阻害Lv6」「並列思考Lv8」
「ソードマスターLv7」「身体強化Lv9」「気配察知LvMAX」「魔力察知Lv6」
「自然回復向上Lv9」「状態異常耐性Lv5」「痛覚軽減Lv3」「気配遮断Lv8」
「暗視Lv5」
「
「魔力操作Lv9」「生活魔法Lv8」「火魔法Lv6」「水魔法Lv5」「風魔法Lv5」
「土魔法Lv5」「光魔法Lv5」「闇魔法Lv3」「空間魔法Lv9」「神聖魔法Lv5」
「錬金術LvMAX」「付与術Lv4」
「料理Lv8」
全体的にスキルのレベルも上がって成長している。
魔法系はあまり直接攻撃魔法を使ってないけど、応用的に使ったり付与術で併用したりしてるから上がっている。
俺はMAPを開き現在位置を確認。七日間歩いて、旅程の三分の二を消化した感じか。このままだとヒカリたちよりも早くテンスに到着するかもしれない。
そんなことを思いながら、俺は眠りについた。
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