第65話 攻防戦・12(レイラ視点)
オークのあの連携は脅威だと思い、森の中である程度数を減らすことを提案しました。
メンバーは私、ケーシーちゃん、タリアちゃん、ヒカリちゃんの四人。
今回はソラとルイルイちゃんは防衛の方に残って貰いました。
作戦としましては、タリアちゃんとヒカリちゃんがオークを私たちの方に誘導して、私とケーシーちゃんで止めを刺すことにしました。
しましたけど、森の奥に二人が移動してから時間が経ちますが、一向にオークが来る気配がありません。
それどころか、雄叫びと悲鳴が聞こえてきます。オークの。
私はケーシーちゃんと顔を見合わせ、移動することにしました。
もちろん気配を探りながら、注意をするのを怠りません。
落ち葉に注意して足音を消します。
呼吸を整えて、僅かな気配と音を探ります。
すると枝葉を踏む音が聞こえてきます。
私とケーシーちゃんは距離をとり、木の後ろに身を隠す様に動きます。
注意しながら覗き込むと、そこにはオークが一体、二体います。
警戒して進んできますが、私たちには気付いていません。
私はケーシーちゃんに合図を送り、タイミングを決めます。
まずは私に近付いてきたオークを、魔力を流した剣で一刀の元に斬り伏します。
オークの倒れる音が鳴り、注意がこちらに向きます。
すぐにケーシーちゃんが背後より忍び寄り一閃。抵抗なく剣が通り、そのオークも倒れました。
私はオークを倒した手を見て、驚きました。
本当に抵抗なく剣がオークの体の中に入り、通過していきました。斬ったという感触をあまり感じませんでした。
それはケーシーちゃんも同じようで、自分の手元を見て驚いています。
と、驚いている場合ではありません。
私は少し考え、先に進む選択をしました。
簡単に倒せてしまったため、欲が出てしまいました。
頭の中には、もう少しオークを減らしておきたいという思いで一杯になっていました。
タリアちゃんとヒカリちゃんが戻って来なかったというのもあります。
私たちは二人を探しながら、さらに森の奥に入っていきます。
相変わらずオークの雄叫びと悲鳴が森の中に木霊します。
あの二人は何をしているの?
そんなことを考えていると、再び前からオークがやってきました。
前に出ることはしないで、自分の得意な間合いに入ってきてから斬りかかります。
十分不意を付けたと思ったのに、反応されました。
剣で受け止められ……剣を真っ二つにしました。
それには私も驚きました。ソラが実演したのを見たとはいえ、まさか自分にも出来るとは思っていませんでした。
それ以上に驚いたのはオークのようでした。
お互いの動きが止まりましたが、最初に復帰したのは私です。
すぐに次の攻撃に移り、首を
そこで私は気怠さを覚えました。この感じ、魔力が大分減った証拠です。
練習中に何度もこの感覚に襲われました。ソラが言うには、自分の限界を見極めるために、最初は魔力を枯渇させるように使えと言われました。
私はアイテム袋からマナポーションを取り出して飲みました。
気怠さがスッとなくなります。
マナポーションさえあれば何度でも魔力を籠めて戦えそうですが、ポーションは水と同じなので、何本も飲むとお腹に溜まるので動けなくなってしまいます。
それに、その、近くになってしまいますから……。
ゴホン、それでは続きです。
今どれぐらい倒したのでしょうか。私とケーシーちゃんで四体なので、残りは一一体のはずです。が、あの悲鳴を聞く限りもっと減っているのは明白です。
どこまで行ったのでしょうと心配していると、タリアちゃんが戻ってきました。
聞くと五体倒したと言いました。
えっ、と、聞き間違いではないですよね? 五体ですか?
驚いているとヒカリちゃんもやってきました。
三体倒したそうです。そうですか。
残りは三体……顔を見合わせて相談です。
疲労は? ないです。
負傷は? していません。
魔力は? 問題ありません。
分かりました。ただジェネラルが残っています。注意していきましょう。
ジェネラルを目指して進むと一体が少し前にでていたので素早く倒しました。
これで残り二体。四方から囲んで、一気に攻めることにしました。
ジェネラルは確かに強敵でしたが、四方からの攻撃に相棒のオークが倒れると、背後を守るものがいなくなり、あとは大した抵抗も出来ないまま剣の錆になりました。
倒せてしまいました。正直自分でも驚いています。
ジェネラルってこんなに簡単に倒せるものなの?
ふと、ソラの言った言葉が脳裏によみがえりました。
確かにこれは危険な力です。慢心してしまいそうです。
タリアちゃんとケーシーちゃんにはあとでしっかり言わないとです。
ヒカリちゃんがソラが来るまで血抜きしておくと言うので、出来るだけ死体を集めることにしました。
はい、全部は無理でした。
到着したソラからは、再度魔力の扱い方の注意点をくどくど言われました。
けどそれに反発はしません。タリアちゃんとケーシーちゃんもそれが分かったのか、真剣に耳を傾けています。
最後に「良くやった」と褒められたので、それは素直に喜ぶことにしました。
ただ、いえ、ヒカリちゃんだけ頭をナデナデされたのは納得いきません。
羨ましいなんて思っていませんよ?
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