第40話 閑話・2
「……報告します。対象は中継都市フェシスで解散後、何日か滞在し南門都市エピカに向かったようです」
「……滞在中の行動は?」
「薬草の採取依頼を受けていたようです。好評で、短い時間でかなりの数を採取していたようです」
「……薬草採取の難易度は?」
「普通の冒険者では多くを集めるのは難しいようです」
「……確か使えない野草を納品する者が少なからずいるんだったか? 所詮冒険者だからか……」
「……はい。そう考えるとかなり頭がきれるかもしれません」
「……ふむ。タイガーウルフの件はどうなった?」
「調査した結果、奥深くに巣を発見したそうです」
「……厄介な。冒険者どもだけで討伐は可能か?」
「あそこにはランクA冒険者が、今現在複数パーティー滞在しているようです。任せて大丈夫かと思います」
「距離があるから仕方あるまいか。……勇者どもの装備はどうなった?」
「……鍛冶師との話し合いの場を設け、現在進行形で作成させています」
「……武器が出来次第試運転をさせろ。問題がないようなら黒の森に派遣しろ」
「黒の森ですか? 大丈夫でしょうか?」
「……深部に行く必要はない。まずは外周部で野営をさせながら様子を見るが良い」
「……介入は?」
「……危なくなったら介入しろ。ぎりぎりまでは観察だ。ただし失うことは許せない。それを肝に銘じ徹底しろ」
「……了解しました。騎士団長にはどう指示をしますか?」
「……今回は第三騎士団を動かせ。近頃緩んでいるらしいからな、良い刺激になるはずだ」
「……南門都市より報告がありました」
「……オーク討伐の件か。無事終わったか」
「…………」
「どうした?」
「……オーク討伐は終了したようです。上位種が数体いたようです」
「……それだけ規模が多かったことか。それで? オーク討伐はとは?」
「……はい。討伐中、魔人に襲われたとの報告がありました」
「魔人、だと?」
「……はい」
「……討伐出来たのか?」
「……それが見逃されたようです。こちらの被害は大きかった模様」
「……そうか。ついに魔人が確認されたか……」
「被害が大きかったため、南門都市では既に噂が広がっています」
「……それは構わん。むしろ他国にもギルドを通じて報告させろ。重い腰を上げさせるにはちょうど良い」
「……了解しました」
「……今魔人と対峙して、勇者たちは勝てるか?」
「報告を受けた限りでは難しいかと」
「……黒の森での戦闘は問題なかったのだろう? それを受けても無理か?」
「……相手にならないと思います。今回の戦闘ではレベルも上がらなかったと報告を受けています」
「……この辺りでレベルを上げるには深部に行くしかないか……」
「……深部は魔王の領域です。魔人との遭遇率が上がると思います」
「分かっておる。なら何処か良い場所はあるのか?」
「……この際ダンジョンに派遣してはどうでしょうか?」
「……ダンジョンだと?」
「はい。あそこでなら未知の魔道具や武器も手に入ります。戦力の増強にもなると思いますし、色々な魔物と戦えるので良い経験にもなると思います」
「……ダンジョンなら魔人も現れないか。どのダンジョンに派遣するのが最適か調査を行え」
「……13号とのリンクがきれました」
「……あれを見張らせていた?」
「……はい」
「監視がバレて撃退された可能性は?」
「それはないと思います。討伐依頼も相変わらずウルフどまりのようですし。普通に勝負をして遅れをとるとは思いません」
「……それは身びいきなしでの意見か?」
「……はい」
「それでやつの足取りは?」
「……それが、ウルフの討伐依頼で行った先の村でオークの被害の話をきいたらしく、そこでオークと戦ったらしいです」
「らしいとは?」
「……誰も実際に戦っている姿を見ていないらしく。ただ何日待っても戻ってこなかったため冒険者を連れて探しに行ったところ、やつの使っていた破損した武器とギルドカード、血濡れたローブなどもろもろが見つかったと報告がありました。オークの死体と共に」
「……それではやつが討伐したのか?」
「わかりません。村人の話ではオークは五体いたらしく、死体は三体分しかなかったようです。それと、そこで破壊された仮面が見つかりました」
「……やつがオークに殺されそうになって介入したのか?」
「……可能性はあります」
「13号はオークを倒せるのか?」
「……倒せる技量はあると思います。が、相性は悪いです。それと元冒険者の村人の話ですが、一体は上位種だった可能性もあるようです」
「……やつらの死体は確認できたのか?」
「……死体は確認できていません。オークは人肉を食べますので……」
「……食料として持って帰った可能性もあるか……」
「……はい」
「……一応周辺の調査を。上位種なら放っておくのも危険だ。あとは……このことが勇者の耳に入らないように情報操作を忘れるな」
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